2021/03/11
東日本大震災から10年経つのですね。
私にはあっという間のような気がします。
3月11日の午前中のことは全く思い出せないのに、地震後のことは鮮明に覚えています。
10年前の3月11日、私は区の子育てひろばで仕事をしていて、地震に遭遇しました。
10年経った今日は偶然、その子育てひろばでのリトミックでした。そこでのリトミックは月に1回しかないのに、ちょうど10年前と同じ日でした。
4月からここは民営化してNPO法人となります。
やっている最中に新所長が部屋にいらしてリトミックを見学していました。新所長は10年前にも、ここの施設の所長だった方なのです。
久しぶりにお会いしました。終わった後、新所長と話しをしました。
「10年間もここでリトミックを続けていたのね」と私のことを驚いていました。その言葉で、3月11日のことをまざまざと思い出したのです。
10年前の3月11日、私はここで仕事中にあの地震に遭ったのです。長くて、何度も揺れて、いつもと違う怖さを感じました。私のいた所にはテレビもラジオもなく、電話も殺到しているのか区の本庁とは通じませんでした。
私はガラケーのワンセグを見て、情報を得ていました。「7mの津波が来るんだって!」と、聞いたこともない津波の高さに驚いたのを覚えています。
所長は高齢者ひろばのほうにいらして、同じ建物内ですが別のところでした。私のいた子育てひろばは6時閉館でした。でも、地震の後は来館者はみんな帰って、誰も来館する人はいません。
私は「もう誰も来ていません。家のことが心配なので5時に帰らせてほしい」と所長に頼みました。そして許可を得て、1時間早く館を閉めて帰ったのでした。
10年前に「5時に帰らせて」と頼んだことを思い出して、その話をすると、所長は全然覚えていないというのです。
「あなたよく覚えているわねえ」
あれから10年経ったなんて思えないくらい、昨日のことのようです。
でも話をしていて、10年間ずっと会わなかった所長に、ちょうどこの日に同じ場所で会うのも奇遇だなと思いました。
思うのは、昨日と変わりのない日常がなんと尊いことなのか。
何も起こらなかった日というのは、退屈でも平凡でもない。
とても貴重な、ありがたいことなのだと思います。