はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

外国語には女ことばはあるのか?『女ことばってなんなのかしら』④

2024年10月03日 | 
2024/10/03


『女ことばってなんなのかしら』の続きです。

女ことばがあるのは日本語だけだそう。

西洋語には女ことばはないけれど
女性特有の話し方の特徴はあります。

西洋語でも女性は
親密感を目的に振る舞う話し方になる。 


・(命令でなく)一緒にやりましょう。
・あなたもそう思わない?
・ひょっとして、今日は時間ある?
・もしだれも反対でなかったら・・・

 本当は何を言いたいのか
相手に察してくれるように求めているのだ。

力関係が反映される話し方になるのです。




面白いなと思ったのはこの文章。

〈長谷川町子の人気漫画
『意地悪ばあさん」が受け入れられたのは、
老いと女という絶対的な弱さ
を抱えた存在だからです。〉

ああ、老いていること
女であること
弱いということなんだな。

〈『トムとジェリー』で、
弱者のネズミと強者である猫のトムに
痛快さを感じるのと同じ。〉

 〈つくづく思うのは、意地悪は弱者のもの
おかれた立場からそうなった。〉(p.128)
と著者は書いています。

なるほどなあ。
強い人は意地悪をする必要もない。
力で抑えることができる。


〇女と男では意味が違う言葉

女盛り/男盛り  
「女盛り」は女が成熟して色気たっぷり。 
「男盛り」は働き盛りを連想する。

女々しい/雄々しい
「女々しい」はネガティブな意味合い。
「雄々しい」は褒め言葉。

女手/男手  
「女手ひとつ」では
主として仕事をして収入を得たことを示す。
「男手ひとつ」では男ながら
家事や育児をしたことを示す。

この対語には
男女役割分担意識がうかがわれる。


「男らしい」は無条件にほめ言葉であり、
女らしさは過剰なときに批判される。
男らしさは足りないときに批判される。
「男らしくない」と言われたら完全な否定。
「女らしくない」と言われたら
活発さのイメージで肯定される。 
(p.159)



小説では男性は姓で記すが(大谷、高橋など)
女性は名前で書かれている(ゆり子、マリなど)。

そういわれればそうだわ。

〈女性の姓がわからないことについては、
三島由紀夫の『綾の鼓』を訳したときに
頭を痛めた問題だとして、
ドナルド・キーンが次のように書いている。

≪問題というのは、登場人物の一人華子に
姓がついていないことだった。
日本語ならば、姓がなくても
「奥様」と言えば、それで事が足りる。
しかし英語では、姓なしで単に「ミセス」
とは言えないのだ。≫ 
(P.149)

〈キーンによれば、マダムという呼び方はあるが、
同じ劇ですでにマダムと呼ばれる
別の人物が出てくるため、
三島は英訳本のために特別に「月岡」
という姓を創ったとか。
今まで違和感を感じなかったが、
この反対だったら奇妙に感じたことだろう。〉

〈そのわけは家制度にある。
明治以降は生家の姓を名乗り続けるのは男子だけで、
女子はいずれ他家へ嫁ぐものとされていた。〉
からだそうである。


〈ちなみに近松門左衛門の作 
『小春治兵衛』『お初徳兵衛』(曽根崎心中)、
『梅川忠兵衛』(冥途の飛脚)は
女の名前が先に来ている。
当時の日本にはレディファーストの習慣はない。〉

山本健吉によれば、
「古来女は成仏するのが難しいとされたため」 
女人救済の気持ちがあったのでは」 
ということだそうですが
成仏できない女が憐れだから
ということかしら。

仏教思想は男尊女卑ですね。

ちなみに西洋のお芝居では
『ロミオとジュリエット』
『ダフニスとクロエ』
『アントニーとクレオパトラ』
『ポールとヴィルジニー』
と男・女順の名前になっているそうです。




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