はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

東京都現代美術館 『坂本龍一 音を視る 時を聴く 』

2025年01月06日 | 美術館・博物館
2025/01/06



東京都現代美術館で開催中の
『坂本龍一  音を視る 時を聴く  』に
行ってきました。




どんな展覧会だったかというと
坂本龍一が長年の関心を持っていた
音と時間をテーマに未発表の新作と
これまでの代表作からなる
没入型・体感型サウンド・インスタレーション作品
ということです。

「音を空間に設置する」という芸術的挑戦と
「時間とは何か」という問いかけ。


実は昨年9月にWOWOWで放送された
坂本龍一+高谷史郎氏のコラボ作品を見ており
難解だなあと思っていたのでした。


そして今回も多少予想はしていましたが
やはり私には理解不可能な部分がありました。


《TIME TIME》(坂本龍一+高谷史郎)では
足元も見えないほどの暗い部屋に入ると
モノクロのスクリーンがあり
夏目漱石の「夢十夜」や中国古典の「邯鄲」
という夢にまつわる物語を
舞踊家の田中泯が語っています。

笙の音やBGMのような静かな音が聴こえます。

しばらく部屋に座ってスクリーンを見つめ
朗読を聴いていると
ああ、分析したり理解しようと努めるものではない。

ただこの空間にいて感じればいいのだ
と思ったのでした。

眼が暗がりに慣れていくと
部屋にはぎっしりと大勢の人がおりました。



坂本龍一 + 高谷史郎、async–immersion tokyo


坂本の没後に
本展に合わせて製作された作品です。
アルバム「async」シリーズを深化させた
大型インスタレーション。

空間に投影された坂本氏の映像が
まるでこの場で弾いているかのようでした。



坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎、LIFE – WELL TOKYO


地下2階のサンクンガーデンは屋外ですが
「霧の彫刻」というのがあって
霧が立ち込めていて
これは文句なく楽しかったです。


刊行物、楽譜など






これらを見て、やっと展覧会らしいと
思ったのでした。




展覧会タイトルにある“音を視る 時を聴く”。
実はこれは、1982年に刊行された
哲学者・大森荘蔵と坂本龍一の対談本
に由来する言葉だそう。

当時の坂本が抱いていた問いに
大森が哲学的に答えていくという本です。

この本を読んでおけば
ここに至る彼の思考の過程が
もう少し理解できたかもしれません。


 
 

4日に行ったのですが
まだ正月休みの人が多かったようで
かなり混んでおりました。

年配者よりも若い人が多く
幅広い年代に、今も変わらぬ人気がある
のだなあと感じました。


外に出て、明るい青空の下
彫刻作品を見たとき
やっと現実に戻ってきたような気が
したのでした。





期間は3月30日までです。






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