はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

グレン・グールドの「ゴールドベルク変奏曲」

2018年03月20日 | 音楽
  2018/03/20


私は寝る前に、いつも何かの曲を聴いてから眠りに就こうと思っているのです。
ずっとショパンが多かったですね。
バラード、ノクターンなどでした。ノクターンはどれもいいですね。

最近聴くようになったのが、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」。
この曲は不眠に悩む伯爵のために作られたとかで、とても静かな出だしです。

「ゴールドベルク変奏曲」といえばグレン・グールド。
前からCDを持っていて聴いたことはあったけれど、
それほど心が動いたわけではなかったのです。

それよりグレン・グールドの逸話のほうがおもしろかった。

父親手作りの35cmの高さの椅子に腰掛けて、
猫背になって鍵盤に顔を近づけるようにして弾く姿とか、
病気恐怖症で、夏でもコートを着ていた、いつも抗生剤やビタミン剤を常用していたなど・・。

そんな逸話とか、ものすごい速さで弾く箇所に、
(さすがにこの速さはおかしい)とか(変わった人)と思ってました。

でも、久しぶりに「ゴールドベルク変奏曲」(1981年)のCDをかけてみると・・・

瞬間に、私のまわりの空気が変わったんです。
日常の生活はすっかり消えて、静かな、清らかな世界に入ったのです。

今まで、笑えると思っていた録音時のハミングも
どれだけこの曲を愛しているのか、まさしく歌うように弾いているのだなと感じられます。

それから毎日聴き続けています。

ひとつひとつの音がはっきりと浮かび上がって、細部まで明瞭な演奏。
バッハの曲が素晴らしいということもあるでしょうが、ほんとうに聴き飽きない。


   

グレン・グールドのピアノをいつくしむように弾く姿を見ると、
ほんとうにこの人はピアノを、この曲を愛していたんだなあと思います。
まるで、大きな子どものような姿ですね。

グレン・グールドは、この翌年になくなってしまったんです。

変わり者だったかもしれないけれど、突出した才能を持った人が
愛した曲を聴けるなんて、幸せなことだなあと思います。

「芸術の目的は、瞬間的なアドレナリンの解放ではなく、
むしろ、驚嘆と静寂の精神状態を生涯かけて構築することにある」
(グールド)

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