活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

太田 久さんの「イコンの世界」

2011-09-18 12:27:35 | 活版印刷のふるさと紀行

 国立新美術館の第75回新制作協会展に行ってきました。
今日は太田久さんのあたらしい「イコンの世界」に触れるのが目的ですから
2階会場の作品の前に直行しました。

 ありました。『レクイエム』と題する2点が並んでいました。
マリアと12使徒がイエスの死を悼み、見送る痛切なシーンです。
 
私が太田さんの紡ぐイエスの生涯のイコンの世界に心惹かれて何年になる
でしょうか。
 
 たぶん、彼は信徒ではないと思います。しかし、彼の作品に描き出されて
いるのは、凝縮され、透徹された祈りであり、救いへの願望であり、その前に
立つとこちらの心まで心地よく澄まされるような気がするのです。
 大袈裟にいいますと、私が『ドラードの生涯』や『千々石ミゲル』を書きな
がら、ときどき夢想した快い感覚に近いものがあります。

 日本画用の絵の具を油絵用に画伯自らの手でこねたという絵の具の質感が
ぎりぎりまで抑えた12使徒の悲しみを静謐な画面に不思議な安寧とひろがり
をあたえていました。まさに「レクイエム2011」です。
 
 吊るし、磔、降ろしの3部作から成った『受難』は2008年でしたでしょうか、
その前前年でしたかの『エルサレム入城』、昨年の『すくい、鎮魂』太田久さん
のイエスの生涯のイコンを一堂に集めての展覧会を観たいものです。
(写真は新制作協会第75会展ポストカードから)

 



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