活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

『活字礼讃』という名の本

2012-06-27 11:42:42 | 活版印刷のふるさと紀行

 私の手元に『活字礼讃』という本があります。活字文化社の発行で、発行者は近東火雄さん、1991年10月初版となっていますからかれこれ20年前に出ています。これがなんとも珍しい本なので紹介することにしましょう。

 まず、装丁からして凝ったつくりです。もちろん上製、紙函入りで、函の貼り紙もクロスもシボ入りの明るい黄土色、背文字は「活字禮讃 全」と書名が貼られています。同色の見返しの次に布川角左衛門さんが揮毫された『活字礼讃』の肉太文字がおどっております。さらにとも紙の扉には書名の脇に西谷能雄・矢作勝美・杉浦明平さんら26人の執筆者名が配されています。

 本文ページをめくると、奇数ぺージにタイトルと執筆者名、その裏の偶数ページに執筆者の紹介があり、その次の奇数ページから文章がはじまる仕組みです。なぜかノンブルは奇数ページだけに入っており、書き出し1字下げは使われていません。四六版で40字詰め18行、ページの天の方は狭いくらいの空きですが、下の方はたっぷり空いております。

 印刷は精興社、製本は牧製本、印刷と一流どころ、さすがに組も製本もきれいです。活字礼讃の書名の手前もあってか、この本で使われている活字の一切合財が奥付けに使用活字一覧で示されています。用紙については触れていませんがクリームの上質です。奥付けのレイアウトもかわっていますが、定価六千五百円はちょっとびっくり。

 さて、この『活字礼讃』の中身については、次回ということにします。

   

 

 

 

 

 

 

 

 

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