活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

湖南アルプスとミホ ミュージアム2

2013-11-12 17:58:41 | 活版印刷のふるさと紀行


 ミホ ミュージアムの本年秋季特別展タイトルは、<朱漆「根来」―中世に咲いた華>。
「根来(ねごろ)」とは、歴史小説などでおなじみの根来衆の略称みたいですが、さにあらず、中世のころから日本のお寺や神社で使われてきた朱漆塗りの什器のことをいいます。
 この特別展にはその朱漆のお盆とかお椀とか酒器とかが出品されていますが、400年から600年も前の年期のはいった什器を単に鑑賞するというのではありません。

 たとえば、写真右のお盆は鎌倉時代から奈良東大寺の二月堂で使用されたものですが、長い間に朱塗りが擦れて下地の黒がまるで模様のように浮き出て来ています。それがまるでデザインのようでいっそう什器の美しさをきわださせています。なお、左は神社で使われた瓶子ですがいずれもMIHO MUSEUM通信32からの借用であることをおことわりします。

 と、文章にしてしまうとそれだけですが、照度を落とした会場で一点、一点「根来」の器物と対面していますと、鎌倉や江戸の時代の気配というか空気感がそこはかとなく感じられてきました。しっとりと落ち着いた展示空間でした。

 また、常設展会場でも日本の古美術ものはもちろん、パキスタンのガンダーラ仏立像やエジプトの隼頭神像などその場でずっと足をとどめていたい展示物がたくさんありました。雪の降りだす前に湖南アルプスの自然をめでながらのミホ ミュージアム探訪をぜひお勧めします。
根来展は2013年12月15日までです。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

湖南アルプスとミホ ミュージアム1

2013-11-12 12:43:09 | 活版印刷のふるさと紀行
 湖南アルプスは初耳でした。ミホ ミュージアムも館名を聞いたことがある程度の私が神田川大曲塾の研修旅行で初めて本日、訪ねることになったのです。
 湖南アルプスは紅葉が始まっていました。

 予備知識がなかっただけに、その美術館見学は驚きの連続でした。ミホ ミュージアムの所在地は滋賀県甲賀市信楽町、JR石山駅が最寄り駅とありましたが、私たちは大津からマイクロバスで50分ほどで到着できました。

 まず驚いたのはクルマが着いたのはレセプション棟、そこから美術館棟まではなんとゴルフ場のセルフカートの超デラックス版のような電気自動車をインフォメーション嬢が運転してくれる。もちろん、紅葉をめでながら徒歩で行くこともできます。

 次に驚いたのはミホ ミュージアムの建物の素晴らしさ。建築設計がルーブルのガラスのピラミッドやワシントンのナショナルギャラリー東館で有名なI.M.ペイ氏と聞いて納得。とにかく湖南アルプス山中に忽然と現れた構造美に目を奪われた次第。

 美術館スペースはエジプト、西アジア、ギリシア、ローマ、南アジア、中国、ペルシア、中央アジアなどの古代美術の展示している南館と特別展の会場にあてられる北館からなっていますが、われわれが本日めざすのは特別展「根来」、朱漆の世界です。それについては次回。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする