活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

日記についての考察

2015-01-10 10:53:44 | 活版印刷のふるさと紀行

 あなたは日記をつけていますか。正月早々だからというわけではありません。実は昨日、ギンザ・グラフィック・ギャラリー第341回企画展のオープンングパーティで『日記』で驚かされましたのでその報告。

 「浅葉克己のタイポグラフィ展」が今回の企画展のタイトル、いまさら紹介するまでもありませんが、浅葉さんは日本のアートディレクターの大御所、JAGDA(日本グラフィックデザイナーズ協会)の会長で30年近く前に東京タイポディレクターズクラブを設立、タイポグラフィーとグラフィックデザインが醸し出す鮮烈な作品で数々の賞を受けておられます。

 今回は会場の大半を占める新作をふくめ数々の作品や記録写真などで浅葉克己の世界を知ることができますが、なんといっても私は壁面狭しと展示されている日記の展示に心を奪われてしまったのです。いままでこの日記でADCやTDC,あるいはJAGDAで受賞されていますから知らないわけではありませんでしたが、今回の量には圧倒されました。

 大きなダイアリーの見開きに緻密なペン字で記された文章にイラスト、写真、新聞の訃報記事まで貼られていてその丹念さ、構成の美しさ、まさに「参った」です。いったい多忙な制作活動のなかで何十年とこんな日記を書きつづけられるものでしょうか。

 会場のコーナーに上製本に仕立てられた日記の合本何冊かの横に毎日の日記のラフスケッチまでありました。ご当人にはうかがいそこねましたが、毎日の日記はそれほどの周到さで書かれたものだったのです。さらに驚いたのは、小学校5年生の時のざら紙ノートの日記も添えられていましたが、それがなんと文章とイラストに部分的には筆文字まで入って見事なデザイン設計、まさにミニチュア版なのです、三つ子の魂?いやいや、その才能恐るべしです。

 私は博文館の三年連用日記と30年以上つきあっていますが、とても、とても、見るからに稚拙な生活行動日記になっています。ときには朝日の天声人語ふうを気取ろうとしたこともありましたがムリでした。とにかく「百聞は一見に如かず」ギンザ・グラフィック・ギャラリーに足を運んでください。1月31日までです。

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