青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

Shin-syu Silient Story

2009年11月01日 11時01分56秒 | 日常

(画像:赤岳をバックに)

では、昨日に引き続いて小海線のカットを。
大カーブを逆サイドから撮るとこうなります。
築堤の下から見上げる形になるんで、ちょっと窮屈かな。

インから見ると甲斐駒ケ岳、アウトから見ると八ヶ岳連峰。
八ヶ岳の裾野を大きく巻いて、高度を上げて行く雄大さがここの魅力です。
カーブの内側の水田は、四季折々に表情があってそれもまたいい。
春先の水鏡、夏の青苗、秋の黄金、冬の静寂ってか。

 

高原列車のイメージが強い小海線ですが、それも小淵沢から野辺山まで。
鉄道最高地点のサミットを過ぎると、列車は千曲川が刻む谷に沿って走ります。
その千曲川の源流部の山里が、長野県は南佐久郡川上村。
お隣野辺山同様、高原野菜の生産地です。
野辺山から川上村に降りて行ったんですが、山のあまりに見事な染まりぶりに息を飲む。
紅葉と言っても色々で、この辺りは針葉樹林が作り出す赤銅色の山肌だ。

川上村から一つ峠を越えた千曲川の谷底に、ポツンと駅がある。
小海線・佐久広瀬駅。
集落から離れた田舎道の途中から、さらに細い脇道を千曲川に向けて降りた先にあった。
普通知らなかったら全く分からないであろう場所にあります。

  

いわゆる「秘境駅」の部類に入る駅でしょう。
片面一本のホームに、小さな待合所が一つ。
山の燃え盛る紅葉に向かって線路は真っ直ぐに進み、トンネルに入っている。
ホームにはベンチがあり、ベンチに座って眺めるのは紅葉の岩山。
標高1,851mの「男山」と言う山らしいのだが、見事と言うほかない眺め。
このベンチは、駅から0分の特等席。

深い山に沈むような佐久広瀬の駅。
何もないのに全てがある、いい駅です。
小渕沢で弁当とお茶買って、駅のベンチで食ってみたい。
それだけでいい休日の過ごし方が出来そうだ。

そんな黄金の秋を走る小海線。
あくまで控えめなキハ110系が、信濃川上に向けて大カーブを回る。
山の黄金は雪崩を打って、小さな列車を飲み込んで行く。

カーブを回ってもうワンカット。
築堤の名もなき雑木も色付き、秋に笑う奥千曲の風景。

  

小海線が誇るハイブリッド気動車・キハE200系がやって来た。
今日はこれを一本は捕まえたかったんで、ようやくの登場です。
リチウムイオン電池を搭載し、従来の気動車より10%の燃費上昇に貢献しています。
斜光に輝くカラマツ林を抜けて、車体側面の「HYBRID」のロゴも輝く。

さすがにハイブリッド車、静かに静かに佐久広瀬駅へ到着。
燃える山にアイドリング音は響かず、静かに静かに広瀬トンネルに消えて行きましたとさ。

信州に 銀の静寂 走り去り
燃える山さえ 気づかぬままに

コメント (2)
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