山梨のワインのブログ

山梨の酒屋の4代目が、ワインを中心に、山梨の酒を、愛を込めて書き溜めます。

楽園葡萄酒訪問 市川三郷町

2015-05-17 14:05:27 | ワイナリー訪問記

 市川三郷町の楽園葡萄酒に行ってきました。

無名です。業界の方にもあまり知られていません。ワインも一般に流通していません。

山梨には、70社以上のワイナリーがありますが、10社程度は、一般にワインが流通していません。その理由は2つ。

一つは、ワイナリーが葡萄栽培農家の集まりで、栽培した葡萄をワインにして農家に戻すことが目的のため。ワインが栽培農家に渡るだけで、一般には流通しません。勝沼を中心に数社あります。

もう一つは、家族経営のワイナリーのため生産量が少なく、ワイナリー直売だけで経営が成り立っているため。楽園葡萄酒がそれです。

 楽園葡萄酒の社長、一瀬明徳氏は3代目で、祖父の楽三氏が創業。社名の楽園は創業者に由来。

 70年以上の歴史を誇ります。目を引くワインラベルのデザインは、画家山下正人氏の作。

ブランド名は楽園ですが、アホウドリという驚くようなブランドもあります。以前、東京のアホウドリという飲食店用のワインだったのですが、その飲食店が廃業してからも、楽園のブランドとして発売。伝書鳩が趣味の社長が、洒落で販売を続けているそうです。

白を基調とした明るい直売所には、社長手造りのアンプやアンティークなオーディオの他、野外コンサート用の山水製の巨大スピーカーが4基。

このアンサンブルというアンプは、甲府のヤザキ製とのことですが、私には判りません。

社長の人柄でしょうか、宣伝にはまったく無関心ですが、直売所の施設だけでも、もっと活用すべきものです。

直売所に併設されたデッキには、昔の葡萄の搾り機が、放置されていました。

醸造所内部です。

地下の倉庫は、地上より8℃低かったです。

これは打栓機というのでしょうか。楽園ワインの一升瓶は王冠です。

王冠使用のワインは、今では楽園さんだけでないでしょうか。

白ワインは甲州種で秀逸です。赤ワインは、周辺のマスカットベリーA種30%とチリ産カベルネソービニヨン70%のブレンドです。

以前、ヨーロッパ系のシラーやプティベルドーを栽培したそうですが、玉割れが頻繁で、止めたそうです。

流通していないワイナリーのワインは、洗練されていないワインが多いのですが、ここのワインはレベル以上。

直売所でしか販売していないのが残念です。

市川三郷町は、酒税が鰍沢(かじかざわ)税務署管内で、以前管内には10社程度のワイナリーがあったそうですが、現在は楽園葡萄酒1社のみ。

孤高のワイナリーです。

最後に自宅裏の伝書鳩の小屋を。

ワインの利益は、すべてここに費やされる、とのことです。

 

 


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