市川三郷町の楽園葡萄酒に行ってきました。
無名です。業界の方にもあまり知られていません。ワインも一般に流通していません。
山梨には、70社以上のワイナリーがありますが、10社程度は、一般にワインが流通していません。その理由は2つ。
一つは、ワイナリーが葡萄栽培農家の集まりで、栽培した葡萄をワインにして農家に戻すことが目的のため。ワインが栽培農家に渡るだけで、一般には流通しません。勝沼を中心に数社あります。
もう一つは、家族経営のワイナリーのため生産量が少なく、ワイナリー直売だけで経営が成り立っているため。楽園葡萄酒がそれです。
楽園葡萄酒の社長、一瀬明徳氏は3代目で、祖父の楽三氏が創業。社名の楽園は創業者に由来。
70年以上の歴史を誇ります。目を引くワインラベルのデザインは、画家山下正人氏の作。
ブランド名は楽園ですが、アホウドリという驚くようなブランドもあります。以前、東京のアホウドリという飲食店用のワインだったのですが、その飲食店が廃業してからも、楽園のブランドとして発売。伝書鳩が趣味の社長が、洒落で販売を続けているそうです。
白を基調とした明るい直売所には、社長手造りのアンプやアンティークなオーディオの他、野外コンサート用の山水製の巨大スピーカーが4基。
このアンサンブルというアンプは、甲府のヤザキ製とのことですが、私には判りません。
社長の人柄でしょうか、宣伝にはまったく無関心ですが、直売所の施設だけでも、もっと活用すべきものです。
直売所に併設されたデッキには、昔の葡萄の搾り機が、放置されていました。
醸造所内部です。
地下の倉庫は、地上より8℃低かったです。
これは打栓機というのでしょうか。楽園ワインの一升瓶は王冠です。
王冠使用のワインは、今では楽園さんだけでないでしょうか。
白ワインは甲州種で秀逸です。赤ワインは、周辺のマスカットベリーA種30%とチリ産カベルネソービニヨン70%のブレンドです。
以前、ヨーロッパ系のシラーやプティベルドーを栽培したそうですが、玉割れが頻繁で、止めたそうです。
流通していないワイナリーのワインは、洗練されていないワインが多いのですが、ここのワインはレベル以上。
直売所でしか販売していないのが残念です。
市川三郷町は、酒税が鰍沢(かじかざわ)税務署管内で、以前管内には10社程度のワイナリーがあったそうですが、現在は楽園葡萄酒1社のみ。
孤高のワイナリーです。
最後に自宅裏の伝書鳩の小屋を。
ワインの利益は、すべてここに費やされる、とのことです。