最近、マスカットベイリA種が気になります。
日本独自の赤ワインの葡萄品種。明治時代、新潟の富農、川上善兵衛氏が交配品種し、それを越す品種が現代でも出ていない、日本を代表する赤ワイン品種。
白ワインの甲州種が、国際ぶどう・ワイン機構(OIV)に登録され、輸出は年間3万本以上。
マスカットベイリA種も、甲州種に遅れましたが、日本独自のワイン品種として、OIVに登録されました。
しかし、マスカットベイリA種の甘い香り、少ない渋さは、外国では通用しないとの評判。
日本でも、外国ワインに飲み慣れている方には、物足りないとの事。
マスカットベイリA種を越える、日本独自の葡萄品種を待望していました。
品種改良は常に続けられ、いろいろな品種が誕生していますが、新しい品種は一長一短で、マスカットベイリA種を越すまでには至っていません。
また、マスカットベイリA種の研究も続けられています。さらに外国赤ワインに近づける努力がされていました。
最近、メルシャン主催のマスカットベイリA種の講習会で大いなる希望がありました。要点は以下の通り。
①独特の甘い香りは長所として残す。外国のワイン専門家は拒否するが、その他大勢の方は、そんなに気にしない。チャーミング、ユニークという事は言われるが。日本人にはマッチする香り。いちごや綿菓子と同じ香りで、みりん、醤油、砂糖を使った料理に合う。やきとりには非常にマッチする。
②渋さが足りない点は改良できる。樽で熟成させたり、葡萄の茎を少し入れて、発酵させることで、渋さは2倍、3倍になる。瓶熟成も有効。
③日本の風土に合っている。これは大切な事で、上手に育たない外国品種を無理して育てても美味しくない。
その話の中で、メルシャンの醸造家は、勝沼のダイヤモンド酒造の雨宮吉男さんの事を出していました。雨宮氏の実行していることは、科学的に証明できる、と。
雨宮氏は、フランス・ブルゴーニュで研修していますが、ブルゴーニュでは、茎も一緒に醸す方法がかなり出回っている、雨宮氏はそれを実行している、と。
違う機会で、ダイヤモンド酒造のマスカットベイリAプラスは、2000円クラスの赤では山梨のトップ、と指摘させたこともあります。
マスカットベイリA種の将来には、大いなる可能性があります。