座っている時間が長いほど、長く生きられない、という記事が世間を騒がせている。しかし、ほんとうか、統計データはあるのか、などと事を荒立てるのは大人の仕業ではない。とりわけ、大の大人や政治家が、外国の戦争用空母に駄々こねて乗せてもらうというような、子供じみた振る舞いをするのは厳に慎むべきであろう。
それにしても、私など、仕事がら四十年もの間、ほとんど座りっぱなしで座り癖がついた者や、他にも、殿様や茶人、華道家、書家、漫画家、もの書き、美術館などの監視員、相撲の審判、習い事のお師匠さんや猫など、彼らの中にはしっかり正座したり三つ指ついたりしなければ商売にならない方々さえいる。
大きな椅子にふんぞり返る方々が短命なのはわからないわけではないが、職業、生業などにより、やむを得ず座り続けなければならない人々を言葉で脅すのでなく、かわいそうな彼らのために、何らかの延命法を教授するくらいの気を遣ってほしいと思う。(2015.10.20)