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2023.9.9 『花美有山』(309m) 胆振東部地震から5年が経過
先日9月6日、「胆振東部地震」が発生して5年が経過した。
5年前の9月6日午前3時07に発生した「胆振東部地震」は、
44人もの犠牲者を出した。
震源地から遠く離れた我が家でも、
大きく揺れることで目が覚めた。
と同時に停電となり、
照明のスイッチを何度入れても、
灯りがつかないことに戸惑ったことを、
昨日のことのように思い出す。
幸い我が家においては直接的被害はなかったが、
停電のまま迎えたその夜は、
心細い灯の下で、
女房と手回し充電式のラジオを頼りに、
退屈な夜を過ごした。
そして我々が生きている間には、
もう二度とこのようなことはないだろう、
と話し合ったものだ。
そんな「胆振東部地震」の一区切りを迎えた今、
地震による大規模表層崩壊の風景を、
今一度心に留め置く思いで厚真町に出かけた。
昨日の朝、Hiromiを拾って厚真町へと車を走らせた。
厚真町高丘地区に入ると、
いまだ災害復旧工事現場が目に入る。
テレビや新聞等のニュースでは、
表立って目に映るところだけを取り上げて、
復旧工事が大詰めを迎えたように叫ばれるが、
一歩山に足を踏み入れると、
5年が経過しても、
何ら変わらない表層崩壊の風景が、
そこら中に広がっている。
そんな風景を誰よりも見てきたと自負する私としては、
今一度表層崩壊の風景を伝えたい。
厚真町高丘地区の奥で、
「パンケ沢川」に沿って伸びる、
「幌内高丘林道」に入った。
この林道は厚真町で過疎地の高丘地区と、
幌内地区を結んでいるものだから、
車が通行することはほとんどない。
林道に入って2.5kmほど走ると、
林道に傾斜が出てくるので、
その手前を駐車地として、
伐採地に入った。
伐採地から沢筋を詰めて、
崩壊地の風景を眺めながら、
直接ピークに突き上げ、
下山は「幌内高丘林道」を歩きながら、
表層崩壊の風景を眺め、
周遊して駐車地に戻るルートとした。
伐採地の奥は初めてこの沢筋に足を踏み入れた3年前の時点で、
まだ流倒木が一帯を埋め尽くし、
ひどく苦労して越えたことを思い出す。
しかし現在は全てかたずけられ、
タイヤ痕がうっすらと残る作業道が、
奥へと続いていた。
ただ沢筋の両側には、
そのまま崩壊地が続いている。
水量の少ない沢筋は、
やがて水が切れる。
すると正面に目指すピークが現れ、
最後は崩壊地の急登で締めくくる。
しかし土色一色だった崩壊地も、
時の流れとともに植物が芽吹き、
緑が多く見られるようになった。
その中にはカラマツの幼木も成長し始め、
自然がなせる業に感心させられる。
そして二等三角点「花美有山」。
そこに昨年まではなかった、
私製標識が付けられていた。
二つ付けられた私製標識の一つは、
例の黄色地に黒文字のもので、
やはり樹皮に木ネジで打ち込まれている。
またもう一つは小板にマジックインキで書かれ、
コイル状の針金でとめられている。
この独特のコイル状針金は、
栗山町の「天狗山」(四等三角点・330m)や、
当別町の「金沢」(二等三角点・126m)で目にした記憶がある。
下山は尾根筋を西に向かい、
「幌内高丘林道」の最高標高付近に下った。
この林道もかつては、
表層崩壊の中でズタズタに崩れ去り、
全線の復旧工事が終了したのは2年前だった。
そしてこの林道からも表層崩壊の風景が、
随分広範囲にわたって見渡せる。
そんな表層崩壊の風景を、
あらためて心に留め置き、
駐車地に戻った。