2022/11/2
裏妙義・中木川烏帽子沢左俣~烏帽子岩~赤岩~丁須ノ頭
秋暮るる、ようよう寒し。
静かに御殿が輝く。
11月。
藪岩に沢を織り交ぜてみる。
自由律な山旅に心躍る。
国民宿舎裏妙義跡から籠沢沿いを歩く。
植林から次第に岩壁や岩塔に囲まれる。
紅葉の盛りはもう少し後だろうか。
木戸壁を過ぎて、「木戸」の標識から100mほど進む。
鎖場がいくつか続いた先、右岸から入る烏帽子沢。
登山道から離れ、詰めていくと最初の8mチョックストン。
これがいい目印となる。
この滝は左岸ルンゼから巻き。
川床への復帰は泥壁の灌木頼りで悪い。
妙義は上越や南会津のように灌木が手がかりとして信用ならない。
これは降雪が少なく、冬に乾燥するためだろうか。
樹に粘りがなく折れやすい上に、岩の間隙に張る根は浅い。
烏帽子沢は晩秋ともなれば水流も少なく、沢というよりはルンゼといった風情。
断続的に滝も現れるが、岩は脆く、逆層が多い。
ガイドには「初心者向」とあるが決して容易ではない。
枝沢も多く、ルーファイも含めて沢や岩の技術向上に良いかと思う。
地形図の烏帽子岩と風穴尾根の頭の中間鞍部を目指していく。
滝は直登と小さな巻きで越えていく。
前述の通り、灌木には注意が必要だ。
詰めは落葉の乗るザラついたナメを用心深く登る。
右の支尾根に上がれば登山道までは一投足。
一休みしたら、今度は藪岩モード。
以前、西大星から見た岩と藪の塔、烏帽子岩と赤岩へと向かう。
烏帽子岩の手前を右にトラバースする登山道から離れて、岩壁に向けて登っていく。
正面岩壁は取付くしまもないが、踏み跡に従って岩壁基部を右にトラバースする。
上部に行くと傾斜も増して、足元が切れ落ちてくるので少し緊張する。
立木も豊富だが、やはり腕ほどの立木が根元からポキりと折れることもあり要注意。
頂の視界は少ないが軽井沢方面がよく見える。
浅間山の頂あたりは雪で白い。
下降は往路を懸垂下降。
40mロープ1本を使って2回。
あとはクライムダウンで何とかなる。
登山道を赤岩へ向かう。
赤岩基部のトラバースはフォトジェニックな場面。
一度、赤岩を右からやり過ごし、「赤岩」という標識がある所から今度は左に回り込み戻るような形で赤岩の尾根に乗る。
踏み跡は次第に不明瞭になるが、テーピングに導かれていく。
岩はともかく、ズルズルの泥壁に気を遣う。
赤岩の主尾根に乗るとテーピングも消えるがあとは尾根を登っていけばいい。
頂の北端に上がるところは、踏み跡こそあれ、灌木も脆弱。
切れ落ちた高度感に足も竦む。
これを越えると平坦となり、南端の頂まで。
全方向とはいかないが、眺望もすばらしい。
往路を戻るが、登り以上に慎重さを要したい。
あとは丁須ノ頭を経由して籠沢を国民宿舎跡まで。
夕暮れに向かって歩く。
谷筋は思いのほか暗い。
しかし、見上げる樹幹の先に空はまだ青い。
-誰彼 我莫問 霜月 君待吾-
斜陽を受けて浮かびあがる影が、落葉の絨毯に滲んだ。
sak
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