2023/9/29 谷川・白毛門沢
土砂降りの雨
これはどうにもならないな、そんな夢で目が覚めた
そして車窓の外へ目をやると、水たまりに雨粒がいくつも輪を重ねていた
土樽パーキングの高架下で雨宿り車中泊
これはどうにもならないな、と二度寝を決め込む
降雨レーダーによると、午前8時頃には雨が上がるらしい
パートナーのENさんとその情報に一縷の望みを託す
実際、そのころに雨はあがった
なんとか気持ちを立て直して向かうは万太郎谷
井戸小屋沢を目指してのことだった
身支度を整えて入渓するも、明らかに水量は多く流れは強い
普段なら、この先の渓相に夢膨らましながら、サクサクと通過する序盤から緊張を強いられる流れなのだからどうしようもない
この時、すでに転戦先を考え始めていた
-国境の長いトンネルを抜けると-
万太郎谷を後に遡行服のまま車を走らせた
関越自動車道・湯沢インターチェンジから東京方面へ
先ほどまで燻っていた場所の上を通過し、関越トンネルに入る
そして、その先
モノクロームの世界から、総天然色の世界へ
悩むことなき、快晴
革命的な出来事にENさんと二人、気分は高揚した
時間は9時を回っており、時間的余裕もない
そして、白毛門沢へと向かうこととした
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白毛門登山口で再び準備を整えて出立
陽差しが眩しい
爽やかな風に口元も緩む
ハナゲの滝は中段から巻いて、東黒沢出合
ここから白毛門に向かう
序盤はナメ滝が続く
この短時間に悪天から好天の遡行へ転進した気分の高揚を体現するかのように、泳ぐ必要もない釜で泳いでみたりしながら進む
足元はヌメる場面もあるので、慎重に行く
中盤は滝が続く
直登をためらう滝にはしっかりと巻き道もあるので、安心だ
そういえば、白毛門沢にはその昔、単身で遡ったことがあった
残っている記憶といえば、ハナゲの滝下部でヌメに足を取られて転んだことと白毛門山頂へダイレクトに突き上げ、気分のいいクライマックスだったということ
中盤のF1(10m滝)やタラタラノセンの印象はなく、それはそれで新鮮な遡行を楽しめた
上部稜線が近づくと終盤のスラブ帯
傾斜は強くなるが手がかり足掛かりは豊富なのでグイグイ登れて、景観も広がる
息を切らしながらも源頭
この好天と爽やかな風
遡ってきた白毛門沢の沢筋を眺めながら小休止
ここを登ってきたのか
振り返れば、今日という一日の長さを知る
あっという間の出来事のようで、意外と長い道程だ
いずれにせよパートナーがいてこそ、山行は豊かになる
良きも悪しきも、共にしてくれたことへの感謝
最後は小笹の踏み跡を行けば、白毛門の山頂
いうまでもないが、視界を遮る物はない
あとは登山道をひたすら下る
いつもながら、膝に負担がかかる下りだ
ジジ岩、ババ岩を横目に見覚えのある場所で手を合わせる
「今日も、無事下山できそうです」
あの日のパートナーにも感謝で返す
失意の朝から、何とか立て直すことができた今日
「楽しい」と思えるのは、特別なこと
そこに特別なものはなくてもいい
sak
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