2020/1/22 精進湖パノラマ台~三方分山
前週、kei2さんが精進湖から三方分山~パノラマ台を歩いたという。
何か引っかかるものがあったのは、少年時代に端を発する。
40年近くも昔の夏。家族旅行での出来事だ。
精進湖畔の宿に身を寄せ、湖畔越しに仰ぎ見る富士の雄大さに魅せられたものだった。
記憶を辿り始めると、宿での何気ない出来事を思い出す。
湖畔からの眺望が500円紙幣に印刷されたものに似ていると興奮したこと。
(正しくは、雁ケ腹摺山山頂からの景色だそうだ。)
姉と二人、湖面に水切り石を何度も投げたこと。
父から禁じられていたビデオゲ-ム(アーケ-ドゲ-ムともいうようだ)をこの夜限りに許されたこと。
今は亡き母との数少ない旅の一つであったこと。
そういえば宿の名は何だったかな?
などと思い出を手繰り、行きついたのが「パノラマ台」への登路での出来事だった。
その登路は宿の脇から始まっていた。
15分くらいで登れるのだろうと高をくくって姉と二人で登り始めた。
つづら折りの急登、はるか眼下に精進湖の湖面。
最初は、ずいぶん高くまで登ったことに高揚した。
そしてもう少しでたどり着くのではないかという期待。
裏腹に、このまま進んだら帰れなくなってしまうのではないかという不安。
登るにつれ、それが大きくなっていったのは言うまでもない。
「もう帰ろう。」
どちらともなく、そう切り出した。
そして、無言のまま下り始めた山道。
下り終え、父から「どこ行ってたんだ」と叱られた反面、心から安堵した。
40年の時を遡り、今思う。
あの先には、どんな景色が待っていたのだろう?
そんな山旅も一興。
結局、目指したパノラマ台から富士を眺めることはかなわなかった。
どうにか、富士を望めないだろうかと三方分山までの上り下り。
結局、ちっとも景色には恵まれない山旅だった。
しかし小さな胸の痞えが癒えた山旅でもあった。
時は過去を美しくする。
精進湖畔からの富士は変わらぬ美しさであった。
sak