奥多摩・倉沢谷「マイモ-ズの悪場」
いつか行かねばならない場所。
マイモ-ズ。
奥多摩最難と謳われるゴルジュ。
わずか数歩。それが、及ばなかった。
F1
倉沢谷F1
そうだよ、この陰鬱さだよ。
さらに激しく放出される水流の圧力で気圧さえ高くなっているかのような重苦しい雰囲気。
仄暗い水面を湛える大きな釜を見て昨年の事を思い出した。
正直「なんでまた来ちゃったんだろう」と思ったよ。
パ-トナ-はmatくん。
「ゴルジュをやってみたい」という言葉に背中を押された形となった。
・・・・。後悔してない?(笑)
F1は高さ6mほどながら水量は多い。明らかに水流右を人工で行く。
一見し水量が多いか?と感じたが、どうやら釜が深くなったようだ。
肩まで浸かりながら、ハ-ケンを打てそうな場所を探してはトライしてみる。
しかし、なかなか入らない。
何という地味さだろう。ハンマ-を振るう腕もビリビリと痺れる。
浅打ち、タイオフで何とか1本目。
水中に揺らめくアブミに乗り込む。
2、3本目は左にトラバ-ス。
すぐ左上に4本目を打つが、アブミに乗り込むと外れ、釜に沈む。
F1上から
立て直して、4本目を打ち込み乗る。
この時点でようやく上半身が水中から出る。
すると、途端に寒くて震えがくる。
左に大きく体を振ると、見覚えのある残置ラ-プ。
そこからは水中を脱するが、この後もハンマ-は欠かせない。支点構築しながらの地味な人工登攀が続く。
「これはもうね、大工さんになれるよね。」と心中、ボヤく。
とはいえ、途中には錆びで今にも欠けそうなハ-ケンや、頭が曲がり3ミリスリングを要するハ-ケンなど、ありがたくも癖のある残置が出てくる。
しっかりしたリングボルトまで到達したならF1終盤戦。
外傾したナメ岩に立ち込んで支点構築。
頭上の倒木を目指す。
matくん
F1のフォロ-はユマ-リング。
matくん、初めての経験で消耗したらしい。
ハ-ケンを回収できなかったということで、sakが一旦懸垂下降しながら回収。
あとはユマ-リングで再度登り、F1終了。
3時間ほどかかっただろうか。
F2
F2(1m)左岸はすべすべ。胸下まで浸かるが、流心を突破するほうが楽。
F3
F3(2m)は手前の右壁を一段登ってテラス。
この右壁が物凄いスベスベぬるぬる度。アブミ動員。
スベスベぬるぬる度MAX。テラス上から
テラスで一休み。
見上げれば倉沢橋。出発前に見下ろしたその場所だ。
遅々とした進捗だが、見上げる倉沢橋の向こうには夏空。
安心感はそこにある。
F3左岸をトラバ-ス。
するとすぐに右折し、釜の大きなF4(5m)。
F4は左岸のスラブ~外傾ナメ岩を行く。
一定間隔でリングがあるが、ちょっと遠い。
乾いたスラブは快適。
上部の立ったところはアブミ動員。
最上段に立っても次のリング+スリングに届かない。
アブミのリストル-プとリングボルトに立ち込み、何とか届く。
F4
さて、問題はこの先だ。
昨年もこの場所に立っていた。
後になってしまえば「他に策があったのでは?」と悔やまれた。
自分の引き出しが少なかったのだとも思う。
正直なところ、ちょっと悔しかった。
外傾ナメ岩トラバ-ス。
リングボルトから1歩2歩。ガバ目のカチを取る。
ココから左下の遠い一歩。ホ-ルドなく嫌な感じで外傾し、苔も多い。
F4上から
支点が取れれば、思切り良く行けそうなのだが、昨年はハ-ケンを打てず、雨も強まり敗退した。
今年にしてもそのいやらしさは同様だ。
場所を変え、ハ-ケンの種類を変えてトライするが、そのどれもが受け入れてくれない。
「何とか入ってくれぇ~頼むぜ、頼む。」と悲痛な心の叫びとともにハンマ-を振るう。
ハ-ケンは火花散らすばかり。
おおいに逡巡と躊躇を繰り返し、一進一退。
状況を変えたのがスカイフック。
苔に隠れた極細ヘアクラックにカチリとハマった。
しかし、下に引かねば効きはしないし、いつ外れるかともわからないシロモノ。
ゆっくりと体重をかけ、張力をかけたまま体重移動。
何かしら、ヨガポ-ズのような体勢で、ようやく届いた岩穴にアングルが効いてくれた!
「あぁ、神よ。あなたはこんなところにいらしたのですね」という気分だ。
この辺をヨガポ-ズで抜けた
この難局を乗り切れば、あとは沢ヤなら何とかなるだろう。
それでも沢床に下降するのにアブミや長めのスリングを使う。
倉沢橋を見上げる
F4上から上流
もうすぐゴルジュ終わり
この滝場を越え、S字にうねった小滝をいくと、ゴルジュは終了。
見覚えのある倉沢谷本谷の入渓点。
右岸のガ-ドレ-ルまでひと登り。
駐車場所までわずか30mほど。
倉沢橋
とびきり短かな遡行距離。
しかし、要した時間は、わずかではない。
まさにマイモ-ズ(蝸牛)だ。
とにかく、届いた。
今はそれだけでいい。
sak
いつか行かねばならない場所。
マイモ-ズ。
奥多摩最難と謳われるゴルジュ。
わずか数歩。それが、及ばなかった。
F1
倉沢谷F1
そうだよ、この陰鬱さだよ。
さらに激しく放出される水流の圧力で気圧さえ高くなっているかのような重苦しい雰囲気。
仄暗い水面を湛える大きな釜を見て昨年の事を思い出した。
正直「なんでまた来ちゃったんだろう」と思ったよ。
パ-トナ-はmatくん。
「ゴルジュをやってみたい」という言葉に背中を押された形となった。
・・・・。後悔してない?(笑)
F1は高さ6mほどながら水量は多い。明らかに水流右を人工で行く。
一見し水量が多いか?と感じたが、どうやら釜が深くなったようだ。
肩まで浸かりながら、ハ-ケンを打てそうな場所を探してはトライしてみる。
しかし、なかなか入らない。
何という地味さだろう。ハンマ-を振るう腕もビリビリと痺れる。
浅打ち、タイオフで何とか1本目。
水中に揺らめくアブミに乗り込む。
2、3本目は左にトラバ-ス。
すぐ左上に4本目を打つが、アブミに乗り込むと外れ、釜に沈む。
F1上から
立て直して、4本目を打ち込み乗る。
この時点でようやく上半身が水中から出る。
すると、途端に寒くて震えがくる。
左に大きく体を振ると、見覚えのある残置ラ-プ。
そこからは水中を脱するが、この後もハンマ-は欠かせない。支点構築しながらの地味な人工登攀が続く。
「これはもうね、大工さんになれるよね。」と心中、ボヤく。
とはいえ、途中には錆びで今にも欠けそうなハ-ケンや、頭が曲がり3ミリスリングを要するハ-ケンなど、ありがたくも癖のある残置が出てくる。
しっかりしたリングボルトまで到達したならF1終盤戦。
外傾したナメ岩に立ち込んで支点構築。
頭上の倒木を目指す。
matくん
F1のフォロ-はユマ-リング。
matくん、初めての経験で消耗したらしい。
ハ-ケンを回収できなかったということで、sakが一旦懸垂下降しながら回収。
あとはユマ-リングで再度登り、F1終了。
3時間ほどかかっただろうか。
F2
F2(1m)左岸はすべすべ。胸下まで浸かるが、流心を突破するほうが楽。
F3
F3(2m)は手前の右壁を一段登ってテラス。
この右壁が物凄いスベスベぬるぬる度。アブミ動員。
スベスベぬるぬる度MAX。テラス上から
テラスで一休み。
見上げれば倉沢橋。出発前に見下ろしたその場所だ。
遅々とした進捗だが、見上げる倉沢橋の向こうには夏空。
安心感はそこにある。
F3左岸をトラバ-ス。
するとすぐに右折し、釜の大きなF4(5m)。
F4は左岸のスラブ~外傾ナメ岩を行く。
一定間隔でリングがあるが、ちょっと遠い。
乾いたスラブは快適。
上部の立ったところはアブミ動員。
最上段に立っても次のリング+スリングに届かない。
アブミのリストル-プとリングボルトに立ち込み、何とか届く。
F4
さて、問題はこの先だ。
昨年もこの場所に立っていた。
後になってしまえば「他に策があったのでは?」と悔やまれた。
自分の引き出しが少なかったのだとも思う。
正直なところ、ちょっと悔しかった。
外傾ナメ岩トラバ-ス。
リングボルトから1歩2歩。ガバ目のカチを取る。
ココから左下の遠い一歩。ホ-ルドなく嫌な感じで外傾し、苔も多い。
F4上から
支点が取れれば、思切り良く行けそうなのだが、昨年はハ-ケンを打てず、雨も強まり敗退した。
今年にしてもそのいやらしさは同様だ。
場所を変え、ハ-ケンの種類を変えてトライするが、そのどれもが受け入れてくれない。
「何とか入ってくれぇ~頼むぜ、頼む。」と悲痛な心の叫びとともにハンマ-を振るう。
ハ-ケンは火花散らすばかり。
おおいに逡巡と躊躇を繰り返し、一進一退。
状況を変えたのがスカイフック。
苔に隠れた極細ヘアクラックにカチリとハマった。
しかし、下に引かねば効きはしないし、いつ外れるかともわからないシロモノ。
ゆっくりと体重をかけ、張力をかけたまま体重移動。
何かしら、ヨガポ-ズのような体勢で、ようやく届いた岩穴にアングルが効いてくれた!
「あぁ、神よ。あなたはこんなところにいらしたのですね」という気分だ。
この辺をヨガポ-ズで抜けた
この難局を乗り切れば、あとは沢ヤなら何とかなるだろう。
それでも沢床に下降するのにアブミや長めのスリングを使う。
倉沢橋を見上げる
F4上から上流
もうすぐゴルジュ終わり
この滝場を越え、S字にうねった小滝をいくと、ゴルジュは終了。
見覚えのある倉沢谷本谷の入渓点。
右岸のガ-ドレ-ルまでひと登り。
駐車場所までわずか30mほど。
倉沢橋
とびきり短かな遡行距離。
しかし、要した時間は、わずかではない。
まさにマイモ-ズ(蝸牛)だ。
とにかく、届いた。
今はそれだけでいい。
sak