2019/5/4-5 ジャンダルム飛騨尾根-奥穂高岳
届かなかった。
その悔しさは何れ晴れる。
否、晴らさなければならない。
本当は、もう少し早ければ良かったんだけど。
未練を試練に代えて。
同じ景色を見るために。
そしてその先の景色を伝えるために。
2019/5/4
「二日」
これが、何とか確保できたスケジュ-ル。
本当は三日あれば、、、というのは叶わぬ願い。
前回だってそうだったじゃないか。
そして、その経験は生きてくる。
パ-トナ-はisiさん
事前に「初日はハ-ドに行くからね」と折込済み。
新穂高の駐車場で2時間の仮眠。
4時半には出立して、白出沢出合まで。
ここまでに途中で先行したのが1パ-ティ-。
トレ-スを拾って沢通しでいく。
天狗沢を望む
天狗沢出合に着くと、テントが1張。
そして先のパ-ティ-が飛騨尾根に入るべく、天狗沢を詰めていた。
一休みしながら尾根への取付き方を協議。
末端からではなく、少し登った尾根の側斜面からD尾根に乗る。
尾根には雪も豊富。
トレ-スもあるのでラクなんだけど、ひたすらな登り。
視界が開けて幕場跡など見るようになると眼前に飛騨尾根が俊立。
先行パ-ティ-が飛騨尾根へのトラバ-ス終盤を迎えていた。
苦しい登り
D尾根最後のダケカンバで一休み。
isiさんは余裕の表情。sakはここまでの登りが一番堪えた。
D尾根最後のダケカンバ
この木を目印にルンゼをトラバ-ス。
トラバ-ス開始
細いルンゼをひと登り
小尾根末端を掠めて細いルンゼをひと登りしてから右の草付に乗る。
一段上がって雪の斜面を行き、飛騨尾根に乗る。
飛騨尾根にのる(ハイマツMAX!)
尾根上は予想外のヤブコギ。
少し下に雪はあるけど、もうグズグズ。
それでも少し我慢すれば踏み跡もあり、ヤブコギグレ-ドⅡ+といったところか。
正面の岩峰はロ-プを使うまでもなく、ひと登り。
切れたリッジのコルに出てからロ-プを出す。
ここからロ-プを出す
飛騨尾根の岩は節理が発達してクラック、ガバも多い。
高度感に加えて、快適なクライミング。そしてこの静穏好天。
ただひたすらに、無心となってリッジ、スラブ、フェイスを行く。
支点が少ないものの、取り立てて不安はない。
ただし、傾斜は強くそして長い。
高度の影響もあり息が切れる、体力勝負のル-ト。
今日は、「とにかく日暮れまでに行けるところまで行く作戦」。
そのため、事前にビバ-クポイントはしっかり押さえておいた。
ア-ベントロ-トがあらゆるものをオレンジ色に染める中、岩峰を行く。
行きついた、T1。
リッジの雪を均した1帖ほどの平坦地に幕を張る。
眼前にジャンダルムが大きい。
質素な食事をとったら昨夜の寝不足解消と行きたいところだが、水作りやら何やらで結局21:00の就寝。
気温は零度くらい。寒さもほぼ感じない。
2019/5/5
夜半から強風。
幕が潰されないだろうかと不安になる。
5時。外の様子をうかがうと天気は抜群に良い。
あとは風次第。
経験上の見込みもあって7時まで待つことにする。
ダメなら岳沢エスケ-プも検討しようと、isiさんに意思を伝えて二度寝。
7時。静穏。
外は今までなんだったのだろうと思うほどに無風。
これ、お天道さまの力なんだよね。
幕場(撤収済み)とジャンダルム
朝食のカップめんを食べて手早く登攀準備。
昨日の先行パ-ティ-がロバの耳あたりに見える。
ジャンダルムの天使
2ピッチでジャンダルム。
天使との出逢い。
ジャンダルムは15mくらいの懸垂下降。
リッジを進み、ロバの耳。
ここからの懸垂下降はトリッキ-&ロ-プスタックの恐れがあるらしい。
ロバの耳トラバ-ス(奥穂側からの写真)
奥穂からトラバ-スル-トを歩いてきた単独行者のトレ-スもあり、リスクを回避し踏み跡を追う。
それでもロバ耳を10mくらいクライムダウンしたところにある支点から15m位の懸垂下降。
降りついた左手に半分雪に埋もれた鎖が見える。
念の為、ここからもロ-プを出して、トラバ-スル-トに入る。
奥穂への花道
あとは、奥穂高岳までの花道を残すのみ。
山頂で、山荘側から登りついた人たちと喜びを分かち合う。
奥穂高岳
ここからは稜線漫歩というにふさわしい。
穂高山荘最後の下りを終えて
最後の下りに気を付ければ、穂高岳山荘。
涸沢から詰め上げてくる人達、下っていく人達。
人々の期待と余韻が交差し、ここ山荘前で混じり合う。
ジャンダルムと飛騨尾根
「ジャン飛騨、行かない?」
本心から言えば、行きたかった。
けれども仕事を理由に参加を見送ったあの夜。
今日という日は、5年前から始まっていた。
そしてその続き、系譜は継がれていくのだ。
穂高岳山荘の裏手から白出沢を快調に下る。
大滝は夏道を行くが、グズグズの雪。
飛騨尾根を振り返る
天狗沢出合を経て、新穂高温泉まではエピロ-グ。
これからの事を考えるに、丁度いい道程であった。
sak