クライミングロ-ド2020秋 ④
◆2020/11/13 二子山・中央稜
大テラスで一息つきながら、前半を振り返る。
1ピッチは体慣らし。
取り付きから直上、右のクラックを抜けるところが少し緊張する。
2ピッチ目は突き出たフェイスの登りが爽快だった。
3ピッチ目は逆Yのクラック。
レイバックとジャミングで体を上げ、乾いた岩にスメアも効く。
核心では左クラックに手がかりを求めるがなかなか決まらず、無念のA0。
そこで、思い出したのが過去の記憶だ。
二子山中央稜に来たのは3度目だが、なぜか記録は残していなかった。
最初に来たのはmさんと、もう16年前のことだ。
次に来たのはいつ誰とであったか、朧げだ。
ただ、濡れた石灰岩に難儀し、このピッチでセミになりかけた苦い記憶だけが残っている。
二子山再訪に間が空いたのは、そんな闇に囚われたか。
今回の旅の終着点、二子山の選択に他意はなかった。
しかし、それは闇を振り払うためだったのかもしれない。
でも、また宿題となってしまったなと、そんなことを思いながら後半ピッチはkumさんにリ-ド交代。
ここから先は楽しい記憶しかないピッチですよ。
核心ピッチで消耗したようであったが、「行きます!」と元気に答える。
そうこなきゃ、ね。
ここからのクライミングは実に楽しい。
開放的な景色、程よい傾斜に手がかり。
kumさん、endさんには、それを感じてほしい。
kumさんのクライミングはしなやかだ。
慎重さも兼ね備えており、安定している。
アルパイン向きだ。
endさんも快調に高度を稼ぐ。
高度感にもずいぶん慣れて来たようだ。
場数を踏めば、優れた身体能力を活かせることだろう。
終了点でロ-プを畳んだら、山頂へ。
後続を見ながら、登攀の余韻に浸る。
脳裏に流れるのは、あの曲だ。
♪~
旅には、音楽と出逢いと学びがある。
僕らはそれらに笑い、躓き、気づき、成長する。
あと、10年若かったら。
思い返してみれば、約10年前 -正確には9年8カ月程前だが- にも同じことを言っていた。
苦笑する。
しかしながら、今もこうして一緒に山へと向き合う仲間がいる。
ありがたいことだ。
これからも共に笑い、躓き、気づき、成長していく。
そういう物語が続けていけたら、いい。
了
sak