エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

日本人の組織の「いじめ」と「無責任の体系」から脱却するには… パートⅡ

2014-07-25 13:34:54 | エリクソンの発達臨床心理

 


「日常生活の儀式化」=日常生活に対する一つの見方

2013-07-25 02:39:14 | エリクソンの発達臨床心理

 

 赤ちゃんは、生まれた家族に独特の色に、馴染んでいかなくてはなりません。しかし、家族が持っている色は、文字通り、いろいろなのです。その色は、その赤ちゃんの生き方を無意識裏に決定します。何故か? それは、その色には、自分に対する見方相手(他者)に対する見方、そして、自分と相手に対する見方が、無意識裏に含まれているからなのです。しかし、この3つの見方は、それぞれ強調点が異なるだけで、1つの見方、自分と相手の見方なのです。ただ、角度を変えてみただけです。この自分と相手がセットのなった見方の中に、無意識裏に「人間を上下2つに分けるウソ」という偏見が入り込んでしまうのです。通常、家族が持つ色がいろいろなのは、このウソ・偏見が非常に強い~あまり強くない、の範囲で違いがある、ということです。家族の色には、「人間を上下2つに分けるウソ」という偏見が大なり小なりある、というのが真実でしょう

 しかも、このウソ・偏見には、猛烈な慣性があります から、ほっておいたら、赤ちゃんは一生、このウソ・偏見を信じたまま、おじいさん・お婆さんになって、そして、死んでいくのです。その間に、このウソ・偏見は、その赤ちゃんが大人になってから、授かった赤ちゃんにまた、おんなじウソ・偏見を引き継いでいってしまうのです。このウソ・偏見世代を超えて、継承されてしまうのです

 このウソ・偏見を取り除き、デトックス(解毒)するためには “本物の教育“ 、心理的支援が必要です。残念ながら、教科教育と、30年か40年前に決まった行事と「生徒指導」を、ただただ繰り返している、いま日本の学校教育では、対応できないのが普通です。“本物の教育“、ないしは、心理的支援が必要です。


 

   丸山眞男教授は、1946年、岩波書店の雑誌『世界』に書いた、「超国家主義の論理と心理」の冒頭に、「日本国民を永きにわたって隷従的境界に押しつけ、世界に対して今次の戦争に駆り立てたところのイデオロギー的要因は連合国によってウルトラナショナリズム(超国家主義)とかエクストリームナショナリズム(極端国家主義)とかという名で漠然と呼ばれているが、…」(『丸山眞男集』第三巻p17)と述べています。

 このウルトラナショナリズム・エクストリームナショナリズムを、もっとやさしい言葉で申し上げれば、昨年の今日のブログで翻訳しましたように、「人間を上下2つに分けるウソ」ということになります。こちらの方が日常的で、分かりやすいと思います。

 どなたでも、自分をしっかりさせたい、確かにしたいと思うはずですね。そうでなければ、不安で不安で生きた心地もいたしませんでしょ。そこで活躍するのが、代々家族に伝わっている「人間を上下2つに分けるウソ」なんですね。人を見たら、「自分が上」なのか? それとも、「自分が下」なのか? ということを無意識裏に計算します。「自分が上」だとなれば、エバッタ態度で相手に接します。そうでなければ、謙虚を演じつつ、自分に不都合なことがある場合は、感情○出して、相手に食ってかかります。「自分が下」となれば、うやうやしく接して、ご機嫌取り、太鼓持ちに徹します。それでいて、「自分が上」になる隙がないか、無意識裏に計算します。その計算機は、日本が世界に誇る超大型コンピータ「京」をはるかに超えて、速いんですね。「自分が上」となった、束の間に、うっすらと「生きている」実感が持てるからです。

 日本人は「人間を上下2つに分けるウソ」の熱心な、しかし、無自覚な信者さんが非常に多いんですね。それが、丸山眞男教授が鮮やかに示して下すった「無責任の体系」の始まりなんです。これは、丸山眞男教授が70年も前に、愚かな戦争なのに、ほとんどの日本人がその戦争に賛成し続けた、日本人の論理と心理を分析して得た結論が、今現在のほとんどの日本人にも、そっくりそのままいまだに当てはまってしまう、悲しい現実なんですね。

 てすから、私どもは、「人間を上下2つに分けるウソ」に対して、意識的に、自覚を持って、ハッキリと「NO! ノー!」と言ってやるところから始めなくっちゃ、ならないのさ!(最後にきざな物言いになりましたことを、ここにお詫びいたします)。

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#心理学のバイブル

2014-07-25 12:00:08 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

 自分を大事にすること、それは有徳な行いなんですね。

 p55の4行目から。

 

 

 

 

 

 私どもは根っこにある心理的前提まで、ようやく来ましたね。この前提は、私どもの議論が結論を出す際に前提とすべきものなんですね。一般的に、これらの前提は、次の通りです。他者だけじゃぁなくて、私自身も、私どもの感情や態度の対象になるわけです。他者に対すると同時に自分に対する態度は、相矛盾するどころか、人と人を結びつけるのに役立ちます。目下の課題に関して申し上げれば、こうです。つまり、他者を大事にすることと、自分を大事にすることは、これかあれか、ではありません。それどころか、反対に、自分自身を大事にする態度は、他者を大事にしている人々すべてに当てはまることでしょう。人を大事にすることは、原理的に申し上げれば、眼には見えませんでしょ。それは、「相手」と「自分自身」との関係に関する限りそうなんです。純粋に人を大事にすることは、物事を産み出し育むことですし、弱い立場の人の世話をすること、弱い立場の人を個として認めること、弱い立場の人の声にならない声に応えること、弱い立場の人を謙虚な気持ちで理解することなんですね。人を大事にすることは「感情」なんぞではありません。誰かから思われることなんかじゃぁありません。そうじゃぁなくって、大事に思っている他者が成長し、幸せになるために、能動的に努力することなんですね。しかも、それは、自分自身を大事にすることに根ざしているんですね。

 

 

 

 

 人は自分を大事にすることができる分量だけ、他者を大事にできるんですね。それが聖書で「あなたは自分自身を大事にするように、あなたの隣人をだいじにできるはずですよ」と言っていることの意味なんですね。

 そういう意味では、バイブルは、心理学のバイブルでもあるわけですね。

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信頼できずにいる人々向けの話し言葉

2014-07-25 05:37:32 | アイデンティティの根源

 

 自分の眼で見て、自分の耳で聴く。これは、一見当たり前のようで、その実、これ程、難しいことはありませんよ。大体が「常識」と言う眼で見て、組織に都合のいい「耳」で聴いていることの方が、はるかに多くはないでしょうか? 自分の眼で見る、自分の耳で聴く、というのは、非常に意識の高い能動的選択を経た態度なんですね。

 p326の最後の行から。

 

 

 

 

 

 しかしながら、マタイよれば、この(感覚にまつわる)話し言葉は、癒しや奇跡ほど民衆の関心を引きませんでした。イエスは、できる限り癒して上げたいという思いやりに突き動かされているように見えます。ただし、イエスは神の国が来る、劇的な「しるし」を示す用に求められることがあまりにも多いことを残念に感じているように思われますけれども。さらには、私どもは、イエスが癒しをするときに語った(本物の)言葉を聞くときに、明らかになるのは、イエスが迷子の羊の羊飼いになると宣言したことは、誰かの苦難や不幸を、単に元通りにするだけじゃぁなくて、イエスの時代の生き方を正したいという意図を表していた、ということです。実際問題、イエスの話し言葉は、当時は詩的な形(たぶん、生来のアラム語で、しかも、韻を踏んでいた)だったはずですが、信頼できずにいる状態に向けて話されているんですね。この人びとが信頼できずにいる状態は、当時の政治的な状況を反映した民族の症状だったわけですね(ユダヤ教では、この信頼できずにいる状態は、ユダヤ教そのものと言えるほどでした)。

 

 

 

 

 

 当時のユダヤは、今の日本と同じなんですね。ユダヤ人が当時、信頼できずにいたとすれば、まさに今の日本も、ほとんどの人が信頼できずにいるのです。私が小学校に行くたびに、少なくない数の子ども、少し前までは、20-25%程と考えていましたが、最近は50%程の子どもが、まさに信頼できずにいる、と感じるようになったんです。子どもがこれほど信頼できずにいるということは、それは大人の世界の鏡なんですから、大人が信頼できずにいることを象徴しているんです。それもそうでしょう。国を挙げてウソとゴマカシを、原発や「集団的自衛権」でやっていますし、東電やJR北海道、そごう、東急、東武、西部、伊勢丹、高島屋、そごう、小田急、松坂屋…、挙げればきりがないほどの「一流」企業も、ウソとゴマカシをやっているんですからね。信頼のかけらもない、と言った方が、実態に近いでしょう。

 イエスの話し言葉が、当時のユダヤに必要だったように、今の日本にもぜひとも必要ですね。

 

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