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エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

悪い良心から解放されたら

2016-01-20 07:49:02 | アイデンティティの根源

 

 

 
人を大事にすること = やりとりすること 改訂版
  人を大事にすることの意味を学び続けることが、とっても大事。 p5の4行目から。    &nbs...
 

 良心が、組織やこの世的な「正しいこと」から解放されたら、それは豊かで、実に生き生きとした、しなやかで晴れやかな全うさが実現しますね。

 今日は、Young Man Luther 『青年ルター』、第Ⅷ章 終章(エピローグ)のp.252の、最後の行の途中から。

 

 

 

 

 

フロイトは、ひとりびとりの洞察力を、「正しいこと」を強調する人たちの(悪い)良心から解放しようとしました。フロイトの真っ当さは、ひとりびとりの自我の真っ当さですが、問題なのは、集団になった人間が、真っ当な人間に相応しい世の中を作り出すのか否か、ということなんですね。

 

 

 

 

 ルターも、フロイトも、人間の信頼と洞察力という、最も価値あるものを、悪い良心から自由にしようとした点で一致していました。それは、信頼も洞察力も、悪い良心から解放されたら、人間らしい暮らしを作り出す上で、これ以上頼りになるものはないからです。

 

 

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命がけの事業

2016-01-20 07:39:04 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 
人を大事にすること = やりとりすること 改訂版
  人を大事にすることの意味を学び続けることが、とっても大事。 p5の4行目から。    &nbs...
 


 エリクソン夫妻は、90になると、死を意識せざるを得なくなりました。

 The lie cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』の始めに戻って、「完成版の前書き」、p.4の、第4パラグラフから。 

 

 

 

 

 

 エリックが91才の時、エリックと私は結婚して64年でした。エリックはお尻の手術をして以来、引退し、穏やかな引退暮らしをしていました。彼は落ち込んだり、まごまごしたりすることもありませんでしたし、相変わらず観察眼が鋭いままでしたし、世話を焼く人たちに対して静かに感謝していました。老年期が眼の前に来たら、あんなに、賢く、親切で、年老いたことを心に収めておきたいなぁ、と思うほどでした。私は今93才ですし、年を「ゆっくり」取るという避けがたい事態を次第に経験するようになってきました。私は未だ引退していませんが、穏やかな気分でも、優雅な暮らしでもありません。現に、遅すぎになったり、仕事がきつくなりすぎたり、大仕事になり過ぎる前に、この最後の舞台を改定する仕事を終わらせたいと願っています。

 

 

 

 

 エリックが、亡くなったのが1994年、92才の時です。そして、この改訂版が出版されるのが1997年です。エリックが亡くなって、すでに3年の月日がたった後のことです。そして、ジョアンは、この改訂版が出されると同時に亡くなっています。

 文字通り、ライフサイクルの地図は、命がけの事業でしたね。

 

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デブの敵? 抗精神病薬

2016-01-20 03:02:01 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
ルターのイメージ
  「新たな洞察の光で見た時の黄金律」が終了しまして、次は? と考えました。『青年ルター』にしようと思い立ち、じゃぁ、また訳し終えた後に戻ろうかと思いましたが、そ...
 

 第2世代の精神科薬も、あんまり使いたくありません。トラウマ治療は、基本、あんまり薬は使わない方が良いみたい。

 ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第13章 Healing from trauma : Owing your self 「トラウマから癒されること :本当の自分を生きること」p.228の、第2パラグラフから。

 

 

 

 

 

 抗精神病薬、たとえば、リスパーダル、アビリファイ、あるいは、セロクエルは、感情脳の働きをかなりダメにしますから、クライアントは、気分が落ち着き、あまり怒らなくなります。でもね、それと同時に、クライアントは、嬉しかったり、危険だったり、良かったと満足することだったりする、微妙な兆しが分かりずらくなります。この薬を飲むと、太りますし、糖尿病になるリスクを上げますし、また、感覚が鈍くなりますから、人から相手にされない感じをますます強めることになってしまいます。こういった精神病薬は、双極性障害(躁うつ病)や気分障害(うつ病)と誤診された、虐待された子どもの治療に、よく使われます。50万以上の子どもや青年らがアメリカでは、抗精神病薬を服用し、落ち着きを取り戻しているけれども、年齢にふさわしい学びや他の子どもと友達になることを難しくしています。コロンビア大学の最近の研究によれば、個人保険の加入する2才から5才の子どもに対して、抗精神病薬を処方することが、2000年から2007年の間に2倍になっているとのことです。しかも、その内の40%しか、適切なメンタルヘルスのアセスメントがなされていなかったのです。

 

 

 

 

 太り勝ちな私も、太るという副作用にある、これらの抗精神病薬は使いたくありません。

 

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加藤周一さんの「メタノイア」 今晩こそは

2016-01-20 02:01:30 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
この世のあの世 改訂版
    マザーテレサ。1979年ノーベル平和賞受賞。コルカタ(カルカッタ)の聖女。いろんな呼び名があります。 大学生の頃かしらね。そのマザーテレサが来日したと...
 

 加藤周一さん。昨日書こうと思ったことを、今夜、書くことにします。昨日は宮田光雄先生のお写真を見て、そのことに触れてからと思っていましたら、いつの間にか、それで一つの文章が出来てたんですね。

 なんで、加藤周一さんのことを書こうと思ったかというと、また横道ですけれども、昨日、北星学園の大山綱夫先生からお手紙を戴いたんです。西村秀夫の「聖書を学ぶ会」で、教えていただいてきた大山先生です。20才からですから、もう30年以上前からのお付き合いです。それで、私が「聖書を学ぶ会」でレポーターになった時のレジュメから、このブログにも何かを書こうと思った訳ですね。

 それは、ルカによる福音書 22章63節から65節を学んだ時のレジュメです。私の翻訳ですと、この聖句は、

「63そして、イエスの見張りをしていた、あの男たちが、イエスを繰り返しバカにして笑って、殴った。64それから、その男たちはイエスに眼隠しをして、何度も何度も要求して言った。65「当ててみろ。打ったのは、だ~れだ。」(男たちは)他にもたくさん悪口を言って、イエスに向かっていつまでも(ぶつぶつ)言い続けた。」

になります。この時のレジュメのタイトルは「『闇の支配』と『キリストの信頼』」です。この聖句の直接の学びについては、また別の機会としたいと思います。今回は、この聖句の学びの時に、加藤周一さんの文書も援用した、その文書をご紹介したいと思います。それは、「下」、あるいは、「闇」=「病」と見なされる場に踏みとどまる所から、視点が転回する=メタノイアがもたらされることについて、述べているところで、加藤周一さんの文書を引用したんですね。次がその文書です。

「戦車は結局プラハの春を押し潰してしまうのですけれども、押し潰される前に、あるいは押し潰されるときに、それを歌うこと、それは戦車に対する批判なのです。その批判は、戦車がどうしても壊すことができないものです。(中略)新約聖書に有名な『汝ら野の百合を見よ』という言葉があります。『ソロモンの栄華の極みのときだにも、その装いはこの花の一つにしかざりき』と。野の百合の一つはソロモンの宮殿の栄華のすべてよりもきれいだということです。(中略)私のいおうとしていることは、伝統的な約束事、社会の価値の上下関係から自由になるということです。つまり価値の転換です。文学というのは価値体系を転換する事業なのです」(加藤周一『私にとっての二○世紀』(岩波現代文庫)pp.249-252 

 ここで加藤周一さんが「価値の転換」「価値転換」と言っていることが、まさに、メタノイアの真実な意味だと、私はレジョメを書いた当時も考え、そして、いまも、そのように考えているのですね。

 

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