エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

自由な良心=信頼することの豊かな全うさ

2016-01-19 08:14:17 | アイデンティティの根源

 

 

 
人を大事にすることの意味を学びましょう 改訂版
  相手に夢中なのは、一人ぼっちの証拠。 p4第3パラグラフ。      この態度は...
 

 人格的真理が反発を喰らうのは、その相手が人格的真理を頭デッカチにしか理解していない場合が多い。

 今日は、Young Man Luther 『青年ルター』、第Ⅷ章 終章(エピローグ)のp.252の下から3行目から。

 

 

 

 

 

 ルターはひとりびとりの良心を、組織のためだ」を強調する人たちが口にする「正しいこと」から自由にしようとしたんです。ルターは本気で、信頼することの真っ当さを、人に与えようとしたのに、あぁ、悲しいかな、エバッタ態度を補強し、強めることになっちゃったのでした。

 

 

 

 

 

 ここも、西平さんの翻訳は訳が分からない。ここは、信頼の豊かさ、根源的信頼感の豊かさを物語っているところです。ルターは信頼の豊かさは、「組織のためだ」を強調するような人が語る「正しいこと」から、自由であって初めて可能だ、ということを言いたかったし、その信頼することの豊かな全うさ(真っ当さ)を実現しようとしたことを、エリクソンは言ってんですね。

 

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近くにあったデス・ドア

2016-01-19 08:00:02 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 
やり取りは永遠
  本当の自分の気付くことと、それがいつでもどこでもできるような技術と結びついていること。 「新たな洞察の光で見た時の黄金律」も今日が最後。 p243最後...
 

 エリクソン夫妻が高齢期の困難に出くわしたのは、90になってからでした。

 The lie cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』の始めに戻って、「完成版の前書き」、p.4の、第3パラグラフから。

 

 

 

 

 

 私ども2人が、generativity ジェネラティヴィティ《次世代の人や事を、自分が損しても、育むこと》の何年間かを過ぎ去った後でも、人生行路の終わりが今ここにあるなどとは思っても見ないことでした。私ども2人は、まだ数年は当然あるものだと思ってました。90になって、見える風景が違ってきましたね。眼の前に見える景色が狭くなり、ハッキリしなくなりました。デス・ドア、死の扉、私ども2人は、いつか来るものと思っていましたけれども、平然と受け流してきたものが、いまや、すぐ近くになる感じでした。

 

 

 

 

 

 エリクソン夫妻が、いかに実感を大事にしたかが分かります。エリクソンが教えてくれているライフサイクルの地図は、客観的真理というよりも、人格的真理であることがハッキリ分かってきますよね。

 

 

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加藤周一さんの「メタノイア」改め、宮田光雄先生の3.11

2016-01-19 07:10:42 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
なんと空しいことか 改訂版
  なんとむなしいことか、と言うと、ニヒリズム、と思われるかもしれませんね。 1月17日を迎えて、また、まもなく、3.11を迎えるにあたって、4年前の文書をい...
 

 宮田光雄先生(コラムの写真が、宮田光雄先生)が、昨年末に岩波書店から『カール・バルト 神の愉快なパルティザン』を上梓されました。御年87才。目黒教会などで、講演を一、二回伺っただけですけれども、学生時代から、繰り返し、絶えず読み返している先生のお一人です。厳しさと優しさを兼ね備えていることが文体に滲み出ている感じの方ですね。宮田光雄先生は、アベ・詐欺師ちゃんのことは「デマゴギー」(大ウソつき)とハッキリとおっしゃいます

 3.11のすぐ後も、岩波の総合雑誌『世界』(No.817, 5,2011)(東日本大震災・原発災害 特別編集 生きよう!)で、「いま人間であること」という文書を寄稿しています。宮田光雄先生は東北大学名誉教授で、仙台にお住まいです。3.11の時には、書庫で本の整理をしていたとか。崩れ落ちてきた、大量の本の下敷きになったそうですが、幸い、ケガはなかったとのことです。お家も守られました。

 宮田光雄先生のところに最初にあった見舞いの電話は、ドイツの国際政治学者からのものだったそうです。その方は、原発の影響を心配していたそうです。「原発からどれくらい離れているのか?」と問われて、宮田光雄先生が、フクシマからの距離が「だいたい百キロメートルぐらいだと思う」と応えたそうです。すると、「近い!」と怒鳴られたと言います。

 宮田光雄先生は、「私たちが現に生きている文明社会は、自然を破壊し、自然から収奪することによって、今日まで成り立ってきました。…資源と環境とをあまりにも自己本位で濫費してきたのです。…今回の出来事は、これまで私たちが無視してきた自然の大きな力によって、しっぺ返しを食らったというのが真実ではないでしょうか」と言います。傾聴に値する大切な言葉ではないでしょうか?

 宮田光雄先生は、3.11後すぐに、「内村鑑三が関東大震災の折に『聖書之研究』誌に書き綴った文書を」読み直したそうです。さすがですね。宮田光雄先生の恩師が、南原繁。南原繁の恩師が内村鑑三ですからね。そして、宮田光雄先生は記します。「彼は、大震災に『末日の模型』を見ながら、なお、それを通して『より善き、より潔き日本が現われんとしている』と励ましと希望をつたえています」、と。

 そして、宮田光雄先生は「地球市民としての連帯性に生きる責任を担う」ことを提案されています。

 

 

 「加藤周一さんの『メタノイア』」を書こうと思ったのに、結果として、「宮田光雄先生の3.11」を書く結果となりましたね。

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第2世代の精神科薬も、使わない方が良い

2016-01-19 01:06:24 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
なんと空しいことか 改訂版
  なんとむなしいことか、と言うと、ニヒリズム、と思われるかもしれませんね。 1月17日を迎えて、また、まもなく、3.11を迎えるにあたって、4年前の文書をい...
 

 

 ヴァン・デ・コーク教授みたいに、薬に飲まれないような処方をしてくださる良心的な精神科医だと良いですね。

 ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第13章 Healing from trauma : Owing your self 「トラウマから癒されること :本当の自分を生きること」p.227の、下から3行目から。

 

 

 

 

 

 抗けいれん剤や抗不安剤は、たとえば、リチウムとか、バルプロエートとかは、穏やかな効果があり、過覚醒やパニックを和らげてくれることを示す研究も少しはありますよ。一番問題のある薬は、いわゆる第二世代の抗精神病薬で、たとえば、レスペダルやセロケルがありますけれども、アメリカで一番売れた精神科薬です(2008年には、146億ドル、1兆7000億円のお買い上げです)。少量であれば、第2世代の精神科薬も、戦闘に巻き込まれた退役軍人やら、こどものころに虐待されたPTSDの女性患者やら、に役立ちます。第2世代の精神科薬を使うことが正しい場合もありますけれども、それは、クライアントが、自分で自分をコントロール出来ず、眠れない場合とか、他に方法がない仕方のない場合くらいです。しかし、忘れてはならないのは、こういった薬が効くのは、ドーパミンの働き、すなわち、報酬系の働きを邪魔することによっている、ということでして、それは、同時に、喜びややる気に火を付ける働きも邪魔してますよ、ということなんですね。

 

 

 

 

 

 第2世代の精神科薬も、なるべく使わない方が良い。喜びややる気を出す、ドーパミンの働きを邪魔してしまうからです。人生の目的を邪魔する薬は、使わない方が良い。

 

 

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