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エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

問いある生活

2016-01-21 07:18:40 | アイデンティティの根源

 

 

 
 “糞づまり”から出た宝物 「幸いなるかな」への不可欠な道 四訂版
  ルターは、改革や刷新とは無縁な「中世的人物」と思われていたみたい。偉大な改革者とは全く無縁に見えた、ということらしい。でもね、…。 p176...
 

 良心や洞察力みたいに、人間らしさの源を求めて、悪い良心から解放することは、何よりも大事なことなんですね。ですから、子どもを悪い良心から自由にすることほど、大事な大人の務めはないんですね

 今日は、Young Man Luther 『青年ルター』、第Ⅷ章 終章(エピローグ)のp.253の、4行目から。

 

 

 

 

 

 ルターは、人間が神からかけ離れていることを、実存的で、絶対的なこととして認めました。それと同時に、「私がこれだけやったんだから、神様は救って下さるはずだ」という取引をすることを断固として拒否しました。フロイトは、人が人と取引する際に、傲慢不遜にも自由意思を要求したり、公平に善意を要求したりするよりも前に、人は無意識裡に道徳や現実と取引するものだ、ということを何としてもよくよく知っておいた方が良い、とそっと教えてくれています。

 

 

 

 

 

 ルターも、フロイトも、ふつうは意識できないところで、心が取引をしていることに、よくよく気付いていたことが分かります。2人とも内省に内省を重ねた結果、この気付きを与えられていたことに間違いありません。言葉を換えて言えば、2人は、一日一日を、目的や問いを見失って、自動運転で生活するのではなしに、「今日は、どんな一日だったかな?」「明日はどう生きたいと自分は思っているのかなぁ?」「神様の御心はどこにあるのかなぁ?」などという問いと共に、日々暮らしていたからに違いありません。

 私どもも、問いある生活をしていたいですね。

 

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私どもはどこに向かっているのか? 根をもつこと

2016-01-21 02:54:10 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 

 
 “糞づまり”から出た宝物 「幸いなるかな」への不可欠な道 四訂版
  ルターは、改革や刷新とは無縁な「中世的人物」と思われていたみたい。偉大な改革者とは全く無縁に見えた、ということらしい。でもね、…。 p176...
 

 先日のブログでご紹介した、井上ひさしさんのことばが掲載された朝日新聞、その翌日がこの、シモーヌ・ヴェイユの言葉でした。

 シモーヌ・ヴェイユは、私が好きな女性哲学者の一人です。この人の文書も、折に触れて、読み返しています。それは、命がけで信頼や真実を守ろうとした人に対してだけ感じることが出来る、あの輝きを、シモーヌ・ヴェイユにも非常に強く感じるからなんですね。

 がしかし、新聞に出ていたシモーヌ・ヴェイユの言葉を読んだことはありません。

 私どもはどこに向かっているのでしょうか? 鷲田清一さんは、重い課題があるとは分かっても、それにどう立ち向かったらいいのか、途方に暮れている今のニッポン人についても語ります。

 重い課題に直面するためには、私どもはそれだけの心のエネルギーが必要ではないですか。エネルギーの源は「根」からくるものでしょう。ご存知の方もあるとは思いますが、シモーヌ・ヴェイユのキーワードは、ヒュポメノー(神を待ち望む)と、「根をもつこと」L'enracinementです。しかし、この「根をもつこと」は、簡単そうで、難しい。シモーヌ・ヴェイユ自身が「根をもつこと、それはおそらく人間の魂の最も重要な欲求であると同時、最も無視されている欲求である。またもっとも定義が難しい欲求でもある」と言うほどです。しかし、私どもは様々な集団に参与することで「根をもつ」ことが出来るのだそうです。根をもつことは、「道徳的・知的・霊的な生の全体性なるもの受け取ること」でもある、とも言います。

 私どもは、重い課題を引き受けるためにも、参与する「集団」に対して、意識的、意図的、内省的でありたいものですね。

 

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人生行路用の地図 アイデンティティの危機を超えてきたからこそ、出来た地図

2016-01-21 01:42:23 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 
世界最高の特効薬 : 子どもの共感性、どうやったら伸びるのかしら?
  「人の気持ちが分かることになってほしい」。親御さんや先生の立場の大人なら、一度は思ったことがあることじゃぁないかしらね。じゃぁ、どうすればいいのか?それをハッ...
 


 ライフサイクルの地図は、エリクソン夫妻が、命がけで編出した、人生行路用の地図です。

 The lie cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』の始めに戻って、「完成版の前書き」、p.4の、下から3行目から。

 

 

 

 

 

 The lie cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』を1982に出版した後も、エリックはそれを繰り返し批判的に読み返していました。エリックは、この本の端から端まで、赤、黒、青のインクで下線を引き、容赦なく、書き込みを書き込みました。私はエリックが使った本を調べたのが、偶然にも、エリックの死の直前でした。下線、感嘆符、書き込みのないページは、1ページもありませんでした。エリックは、画家なればこそ、こんなに大胆で、こんなに率直なんですね。

 

 

 

 

 確かに、エリックは画家志望でしたもんね。ですから、大学も出ていません。アンナ・フロイトから教育分析を受けてはいても、医者でもありません。でも、臨床の腕が超一流だった。人が投げ出すケースも引き受けて、治療が出来ました。

 父親も知らず、言葉も宗教も変えてきたエリック、文字通り何度もアイデンティティの危機を乗り越えたればこそ、セラピーの腕を上げることが出来たわけですね

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感情脳を鈍くする抗精神病薬も、発達トラウマには効かない

2016-01-21 01:10:52 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
人を大事にする時にも大事な、直観力 改訂版
  人を大事にすることも一つの技術。ですから、人を大事にすることは抽象論ではなくて、非常に具体的。実践的。 p5の第3段落以降。  ...
 

 

 感情脳を鈍感にしてしまう精神病薬も、あんまり使いたくありません。やっぱり、トラウマ治療は、基本、あんまり薬は使わない方が良いみたい。

 ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第13章 Healing from trauma : Owing your self 「トラウマから癒されること :本当の自分を生きること」p.228の、第3パラグラフから。

 

 

 

 

 

 特許がなくなるまで、製薬会社ジョンソン・アンド・ジョンソン社は、児童精神科医の待合室のために、「レスペダル」とスタンプが押してあるレゴを配りました。貧困家庭の子ども等は、個人保険に加入している子ども等の4倍も、抗精神病薬を飲んでいます。1年間に間だけでも、テキサス州の貧困家庭向け公的医療保険(メディケイド)は9,600万ドル(おおよそ、120億円)も、10代以下の子ども等の抗精神病薬に支払っています。その中には、1才になるまでに抗精神病薬を服薬した赤ちゃんが3人いたという未確認情報もあります。発達途上にある脳に対して、抗精神病薬がどのように影響するのか?という研究は、今まで1つもありません。解離、自傷、バラバラな記憶、健忘には、こういった精神病薬は全く効きません。

 

 

 

 

 

 感情脳を鈍感にする抗精神病薬、発達トラウマには、全く使えません。

 

 

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