エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

個人の自立と自由

2016-08-27 08:56:13 | 間奏曲

 

 

 今朝は、早稲田の教養ゼミで習ったことのある、城塚登先生( 1927720 - 2003428)の言葉から学びます。放送大学の古いテキスト『社会思想史』から。

 

 

 

 

 

 

 ルター(Martin Luther, 1483-1546)によって始められた宗教改革は、個人が内面的信仰を通じて直接に神につながる道をひらいたのであり、個人の自立と自由の自覚をもたらすものであった。…

 ルターは、「内的な人間」と「外的な人間」とを峻別することによって、どのような状況にあっても、人間は内的に自由であるとし、個人の自由を基礎づけたのである。

 

 

 

 

 

 「自由」と、様々な「≪超越≫との繋がり、関係」が、ほとんど同義語であることがお分かりだと思います。

 

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「親しくするのが怖い」 悲しい関係を思い出すから

2016-08-27 07:56:32 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す

 

 

 Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self   consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、脳科学、治療』の翻訳。発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の、スージーさんの話は、実にミョウチクリンです。

 最終章の第7章、p.285から。

 

 

 

 

 

 同じ面接で、スージーは親しい関係になるのがかなり煩わしい、「ゴメンなんですね(笑)。親しい関係は、ゾッとします。私は長い間、親しくすることを締め出してきました。それは、私が話したくないことです。親しくすることが怖いんです」と言いました。実際、トラウマ・ストレスの症状があると、親しい関係で味わって来た、悲しい関係を思い出すんです(ランバート、エング、ハスブン、ホルツァー、2012)。

 

 

 

 

 

 発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子どもは、中高生くらいになると、対人恐怖を訴える場合が少なくありません。あるいは、友達との関係がしっくりいかなくなる場合も実に多いんですね。その場合、友人関係そのものの改善をやろうとしても、空回りになる場合がほとんどです。なぜならば、発達トラウマ障害(DTD)を抱え込むほどの、残念な母子関係と、その母子関係を内面化して「悪い良心」を、友人関係に投影している場合がほとんどだからです。

 ですから、私どもサイコセラピストは、個人面接で、非言語的な投影法、すなわち、プレイセラピー、箱庭療法、コラージュ療法などを用いて、安心して気持ちや感じを表現する機会を提供したり、自分で内省する方法論、すなわち、記や個人の内面史を付けることや、マインドアルネスなどを伝えることになりますね。

 

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コナーが勘違いな訳

2016-08-27 06:26:27 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 

 発達トラウマ障害DTD愛着障害の子ども。ブルース・ペリー教授によれば、対人関係は教えても、対人関係に付き物の、言葉にならない合図、キューがいつになっても解かりません。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第6章、本のタイトルにもなっている「犬として育てられた少年」のp.149の第2パラグラフから。

 

 

 

 

 

 ある時、私はコナーの身なりについて話そうとしました。コナーの身なりも、友達を困惑させる元になっていたからです。身なりは、対人スキルを反映したものの1つです。流行りを身に着けたいと思ったら、人をよく観察しなくちゃいけませんし、「何が流行ってる?」とか「何が流行りじゃない」ということに関する無言の合図を読まなくっちゃいけません。それが出来れば、自分に合った形で流行りを身に着ける仕方が分かりますから。流行りのいろんな印は、あいまいで、個人の選択でもありますから、うまく流行りを取り入れるためには、個性と似合っていることの両方がなくっちゃいけませんよね。思春期の人たちの間では、こういったいろんな流行りの目印を無視すれば、対人関係ではひどいことになります。かくして、コナーは勘違いな人になりました。

 

 

 

 

 

  流行りは、個性を生かすと同時に、流行りに合わせることが必要らしい。しかし、流行りの目印も、言葉にしきれない、あいまいなものである以上、そういう言葉にならない目印、合図を読み取る力が弱いコナーは、身なりもひどいものであったらしい…。

 

 

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大いなる勘違い

2016-08-27 01:08:51 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 発達トラウマ障害(DTD)の子ども。どなたでも、内省すること、自分の心を探って、自分自身を見つけることは、「夜の航海」になることに、決まっています。どこを目指して、今どこにいるのかさえ、おぼつかず、不安と怖れの中にいるのが普通です。頼りになるのは、夜空に輝く、北極星だけ…。

 あなたも、ご自分の北極星を見つけることが出来たら、良いですね。

 The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.125。第8章。エピグラフの後から。

 

 

 

 

 

 マリリンは背がスッと高くて、陸上選手みたいな、30台半ばの女性で、近郊の街の病院の手術室付きの看護師として働いていました。マリリンが私に、「2・3ケ月前、マイケルという名のボストン市の消防士と一緒に、通っているスポーツクラブでテニスを始めた」って言うんですね。マリリンは男を避けるのが普通だと、いってましたが、マイケルとは次第に打ち解けて、テニスの試合の後にピザでも食べに行こう、という誘いに乗りました。2人はテニス、映画、甥や姪の話をしましたが、自分自身の話は1つもしませんでした。マイケルはマリリンと一緒にいることを楽しんでいたに違いありませんが、マリリンにしてみれば、マイケルは自分のことはホントは何も知らない、という感じでした。

 

 

 

 

 

 一見おしゃべりな子、趣味や学校の話はする子…、親や教員は、その子どもと話が出来ている、仲がいい…と勘違いしている場合が、少なくありません

 子どもは話したいこと、相談したいこと、分かってもらいたいことを、親がきいているわけじゃあ、ありませんね。自分が耳にしても、心の負担にならないこと、たわいもないこと、人畜無害な話を吐いているだけ。つまり、親や大人が何かアクションを起こさなくてはならない、手間のかかる話は聞きたくない空なんですね。

 親や大人に、子どもの本音を聴く耳がない

 子どもの方は、親や大人に、その「聴く耳がない」ことがハッキリ、クッキリ分かるので、本音を語ることはありません。

 すると、本音という中心の周りをグルグル回ったような話を、延々にやる訳です。親や大人の方は、話しが弾んだような、感じがして、自己満足的な勘違いをやってるとも知らない…

 子どもが不登校になったり、リストカットをしたり、家出をしたり、心の病気になったり、発達障害みたいに見えるようになる(本当は発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども)のは、そんな時です。

 

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