エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

発達トラウマ障害(DTD)の人たちの根っこの気持ちは、一人ぼっち。言うに言われぬ淋しさ。

2016-08-14 06:10:37 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す

 

 

 

 
あなたは「捨て身」になれるかな? 命と時間
  特に大人になる時期は、それまで人生で培って来たものが、大事になります。謙虚を装っても、バカ丸出しの、チッチャナ「大人」もいれば、野村實先生先生のように慎み深いのに、人格......
 

 

 Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self   consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、脳科学、治療』の翻訳。発達トラウマ障害(DTD)の子どもで、TRASCがあつてもなくても、早期治療するの限ります。

 最終章の第7章、p.282の、ブランクの後から。

 

 

 

 

 

  ≪本当の自分≫の再生 : 物語を作ること、深く悲しむこと、人生の意味を創り出すこと

 

 トラウマ・セラピーの焦点は、クライアントが過去を過去とすることができるように支援します。それは、粘り強さを育む、まとまりのある人生の物語を創り出して、トラウマを負わされた人生経験を深く悲しむことによって、可能になります。第三章と、第四章で申し上げましたように、トラウマを負わされた記憶は、思い出すと言うよりも、時間と無関係にバラバラな感覚が蘇ってくるものとして経験されることがほとんどですからね。さらには、トラウマを負わされた人はひとりびとり、トラウマを負わされた記憶を言葉にすることができませんし、言葉にならない恐怖に囚われて、しかも、その恐怖を人に伝えることもできずにいますから、いつまでも、孤独と淋しさを感じ続けることのなる訳です。

 

 

 

 

 

 さすが、ラニウス教授らも臨床が深い。発達トラウマ障害(DTD)の人たちの気持ちを見事に言い表わした言葉です。

 発達トラウマ障害(DTD)の場合、虐待をまず考えますでしょ。でも、私は、発達トラウマ障害(DTD)の基本形はネグレクトだ、と確信しています。ですから、発達トラウマ障害(DTD)の人の一番根っこの気持ちは、一人ぼっち、です。

 言うに言われぬ淋しさ、とでも言いましょうか。

 

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加藤周一さんの、「関係に誠実であること」と「自由」

2016-08-14 05:20:58 | 間奏曲

 

 

 
あなたは、間違いに対して、ハッキリ「NO」が言えますか?
  本当の自分を組織化するためには、それなりの時間が必要です。でも、単に時間を過ごしてるだけでは、組織の同調圧力や利益誘導にかないませんから、いつまで経っても、本当の自分を......
 

 昨晩は、「ETV特集「加藤周一 その青春と戦争」」という番組がありましたね。私は、就寝時間が早いので、先ほど録画で拝見しました。中身はなるほどね、やっぱりね、という感じでしたね。自由が、加藤周一さんにとっても、最も大事なものだった、ということです。さらに申し上げれば、その自由をどのように使うかかが、決定的に大事で、その自由を大切に使ったのが、加藤周一さんの生涯であった、と強く感じた次第です。

 番組の中で、加藤周一さんがなくなった後に、机の上に残された草稿が紹介されましたね。その中に、加藤周一さんは、「私は戦争で二人の親友を失った。もしその彼らが生きていたら、決して日本が戦争への道を歩み出すことを黙って見てはいないだろう。…私は親友を裏切りたくない」という一文があることを知らされました。加藤周一さんの戦後の活動は、執筆活動も、講演活動も、反戦運動などもすべて、戦争で殺された親友との関係に誠実でありたい、との願いを実現するためのものだったことが、ハッキリ再確認することが出来ました。

 今日は、そのことがハッキリと出てくる件をご紹介したいと思います。『私にとっての二〇世紀』から。

 

 

 

 

 いろいろな個人が連帯感をもって地下運動をやる。しかし、連帯が補償されるのは、究極的には自由意思の問題です。どちらへも動ける。同志との連帯を取るのか、あるいは裏切りを取るのかということは、その場に臨んでの個人の自由です。

 

 

 

 

 

 

 この自由を、組織に従属するため、「強いモノ」になびくために使うのではない。

 無念な思いで死んでいった者、弱い立場の人との関係に誠実、を体現するために、自由を使う者こそ、幸い

 

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皆と違うと、仲間はずれだぞぉ!

2016-08-14 04:24:27 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 
無意識が下さる「叡智」
   ≪いまここ≫と≪超越≫「生きている不思議 死んでいく不思議」とこの世を超えるヴィジョン2013-08-12 01:42:24 | エリクソンの発達臨床......
 

 発達トラウマ障害DTD愛着障害の子ども。赤ちゃんは、にもかかわらず、大事にされる存在です。分かりますか? 一方的に大事にされる存在だ、ということです。発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子どもも、大人も、魂は、心は、赤ちゃんですから、にもかかわらず、大事にされていかないと、回復しないんです。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第6章、本のタイトルにもなっている「犬として育てられた少年」のp.146から。

 

 

 

 

 

 2番目の人との関係の舞台では、その子どもは、友達の世界、掟破りは許されない、ということを身に付けなくてはなりません。ここでは、ルールは言わず語らずで、「こうなさい」と直接言われることよりも、「周りのふり見て我がふり直せ」で分かる場合がほとんどです間違いがあれば、「みんなと違う」者、すなわち、付き合い方が分からず、口の利き方も知らない輩は、すぐに仲間はずれにされる、という残念な結果が続きます

 

 

 

 

 

 どこの世の中でも、子どものルールにそんなに違いないのですね。赤ちゃんの時は、一方的に許しがあり、その次には、みんなと違えば、許されない仲間社会があります。

 問題は、大人の社会になった時に、どれだけ違いを認め合うのは、すなわち、どれだけ自由があるのか、ということです。

 

 

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自分の気持ちが分かるようになる、その初め

2016-08-14 03:25:42 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
あなたは、間違いに対して、ハッキリ「NO」が言えますか?
  本当の自分を組織化するためには、それなりの時間が必要です。でも、単に時間を過ごしてるだけでは、組織の同調圧力や利益誘導にかないませんから、いつまで経っても、本当の自分を......
 

 

 発達トラウマ障害(DTD)の子どもには、読み・書き・ソロバンよりも、幼いころの記憶にない体験が、脳や身体の発達にどのような悪影響をもたらし、それが、怒りや怖れや恥などの感情、体が感じる不快な感覚、思うに任せない友人関係の背景に、なっているかを明確に伝えていくことが、何よりも自己理解に繋がることでしょう。

 The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.356の第3パラグラフから。

 

 

 

 

 

 気持ちが分かり始めるのは、自分自身のいろんな気持ちを名付けることから、身近な人たちのいろんな気持ちに、自分の気持ちを合わせることからです。私どもは、極めて素朴なところから始まるものです。それも鏡をつかって。鏡を覗き込むことによって、子ども等は、自分が悲しだり、怒ったり、退屈にしてたり、落ち込んでたりする時に、人からどう見られるのかに気付くのに役立ちます。それで、私どもは人に「こんな顔したら、どう思うの?」と尋ねます。私どもは子ども達に、脳がどのように形作られて、自分のいろんな気持ちを、身近な人たちにどうやって伝えるのかを教えます。私どもは、表情が自分の気持ちを身近な人たちに伝えるきっかけになることを学んでから、表情がどのように周りの人たちに影響するのか、ということも学びますでしょ。

 

 

 

 

 

 脳の働きと感情の結びつき、それと表情と対人関係について、ヴァン・デ・コーク教授がどのように教えているかを具体的に示してくれているところですね。

 発達トラウマ障害(DTD)の子ども達は、自分の気持ちも分からないのは、人から自分の気持ちを理解してもらった経験が、極端に少ないからです。

 

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