エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

全米に広がる、発達トラウマ・センター

2016-08-01 09:50:51 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
≪究極的な見通し≫が、人生を左右するのにね
  高齢者が、「ひどい目にもあったけど、人生は上手く出来てるね」と感じるのか? それとも、「良いこともあったけど、人生に何の望みもありゃしない」と感じるのか? という危機に......
 

 

 発達トラウマ障害(DTD)の子ども公衆衛生上でも、社会福祉の上でも、学校教育の上でも、最大の問題だ、と考えますが、ニッポンでは、まだ、発達トラウマ障害(DTD)の存在すら認識されていないのが、悲しき現状です。残念です。

 発達トラウマ障害(DTD)は、境界性人格障害、うつ、統合失調症などの精神病だけではなく、薬物やアルコール、家庭内暴力やストーカー、仕切り屋にならないではいられない、いろんな依存症、心臓病やガンなどのストレス関連の病気など、病気のてんこ盛りの人生です。

 The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.353の、第3パラグラフから。

 

 

 

 

 

 私の同僚と私は、私どもの研究を、トラウマが一番衝撃を及ぼすところ、すなわち、子どもの時期と思春期に集中させています。私どもが「国立子どもトラウマ・ストレス・ネットワーク」を2001年に設立して以来、アメリカ中の150以上のトラウマ・センターにネットワークが広がっています。一つ一つのセンターは、学校、若年の犯罪者更生施設、児童福祉施設、ホームレスのシェルター、軍事施設、居住型グループホームなどで、プログラムを創意工夫しました。

 

 

 

 

 

 実際、インターネットで「発達トラウマ・センター」を検索してみますと、全米50州だけではなく、グアムなどの準州にも、発達トラウマ・センターが出来て、発達トラウマ障害(DTD)の子ども向けのプログラムを創意工夫していることが分かります。

 ニッポンでは、発達トラウマ障害(DTD)のセラピーなどをする、発達トラウマ・センターはこれからです。いまは、福井大と浜松医大と、岡田尊司さんの大阪のクリニック(2つのクリニック)、それから、横浜の子どもの虹情報研修センターの4つくらいでしょう。

 

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良い親子関係は、ダンスのように2人のリズムが合ってきて

2016-08-01 09:04:08 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 
天候や社会情勢によって、人は鬱になりやすい
  憂鬱に対して、ラテン人とゲルマン人では、その見方が正反対になるのは、生まれ育った場の気候も影響するんですかね? Young Man Luther 『青年ルター』p2......
 

 発達トラウマ障害DTD愛着障害の子ども。身体のいろんなリズム、怖いですね。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第6章、本のタイトルにもなっている「犬として育てられた少年」のp.143、第2パラグラフから。

 

 

 

 

 

 こういったリズムが、親子のやり取りの基本的な音色を決める際にいかに大事なものなのか、評価する人はほとんどいません。もし、1人の赤ちゃんの最初のメトロノーム、すなわち、脳幹がうまく働かなければ、ストレスに対するホルモンと感情の反応だけが調整しずらくなるだけではなくて、その赤ちゃんがのお腹がすくサイクルも、眠くなるサイクルも予測できないものになってしまうでしょう。こうなれば、その赤ちゃんの子育てが、とても困難なものになってしまうかも分かりませんね。赤ちゃんのニーズがとても分かりやすいのは、赤ちゃんのニーズが予測したタイミングで確実にある場合です。もし、赤ちゃんが決まった時間にお腹を空かし、決まった時間にくたびれるのであれば、親は赤ちゃんが必要とするものに合わせることは簡単で、全般的に赤ちゃんのストレスを減らすことができますでしょ身体のリズムがあまり調整されない時に関わるのは、最初に予期していたよりも、遥かに骨が折れます。

 

 

 

 

 

 ですから、良い親子関係は、ダンスのように2人がリズムに乗っているものです。

 悪い親子関係は、リズムがなく、2人はバラバラです

 

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津久井やまゆり園の事件と、バラバラな自分があると、人もバラバラにしたくなる

2016-08-01 07:51:12 | 聖書の言葉から

 

 

 
裸の王様には、本当という一撃を!
   ≪いまここ≫を生きる現代の礼拝 治療的儀式化=新しい儀式化→新たな物の見方・価値の創造2013-07-30 03:06:57 |&n...>続......
 


 

 エリクソンの言葉を学ぶシリーズ。エリクソンの言葉がなぜ「聖書の言葉」になるかって? それはみなさんで考えてもらいたいと思います。

 今日は、津久井やまゆり園の事件の「犯人」の心理を、エリクソンの言葉から、もう少し学んでみようと思います。今宵は、Erikson, E. H. (1977).  Toys and Reasons: Stages in the ritualization of experienceNew York: W. W. Norton. から。P.94-95. ここも、一歳半~三歳くらいの時期のことをエリクソンが述べている件です。

 

 

 

 

 

 親達や目上の者たちは、子ども自身が(あるいは、自分達が)見張っていなければ、そうなるかもしれない存在と、その子どもとを比べます。このようにして、子どもは、2つの対立するイメージを自分に対して抱くようになります。そして、こここそが、「ダメな自分」が生育歴の中に生まれる源です。その「ダメな自分」は、人間を上下2つに分けるウソ」をイメージの面で支える際になくてはならないものです。というのも、「ダメな自分」は、自分がそのように思われてもいけませんし、そのように見えてもいけない代物だからです。しかも、「ダメな自分」は、もしかしたら、そうなるかもしれないと感じているものでもあるからです。…自分に対する疑いと心深く隠れている恥が、「見ないようにしている」「ダメな自分」と結びつく時、その人間の中に、抑圧されたあの激しい怒りを生み出すのです。この抑圧されたあの激しい怒り、「正しいことを押し付ける大人」に反抗したり、人に対して(訳注:自分勝手な)正義を振りかざして、非難したり、ということになります。私はこのことを暗く描きましたが、それは、「ダメな自分」が生育歴の中に生まれる源こそが、「バラバラな自分」の源であるばかりではなくて、「いがみ合う人類(人類をばらばらにする)」の源でもあるからです。

 

 

 

 

 

 エリクソンが教えてくれているように、「ダメな自分」がありますと、自分はバラバラになります。でも、聖書の神様は、この世をおつくりになった時に、全てを「良し」としてくださったのに、「ダメな自分」と、神様が「良し」としてくださっていることと、矛盾しますでしょ。

 その「ダメな自分」は、ほんとうは「良い」ものなのに、「ダメ」と烙印を押され続けるものだから、必ず「激しい怒り」を伴うと同時に、その「激しい怒り」は抑圧される訳です。

 今回の津久井やまゆり園の事件でも、「ダメな自分」が、「重度の知的障害者」に投影されて、首を切って、他人の頭と胴体をバラバラにしたもの、と考えると、了解可能なものになる、と私は考えますね。

 ですから、私どもが学ぶべき教訓は、

 1)「ダメな自分」「良し」とすることと、

 2)人間を上下2つに分けるウソ」を自覚的に乗り越えて、「人間皆兄弟」『みんな違ってみんな良い」と改宗すること

 だと、お分かりかと思います。

 

 

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見通しのある環境

2016-08-01 03:46:53 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す

 

 

 
≪究極的な見通し≫が、人生を左右するのにね
  高齢者が、「ひどい目にもあったけど、人生は上手く出来てるね」と感じるのか? それとも、「良いこともあったけど、人生に何の望みもありゃしない」と感じるのか? という危機に......
 

 

 Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self   consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、脳科学、治療』の翻訳。 発達トラウマ障害(DTD)のセラピーだけでなくの良し悪しも、セラピストの態度いかんです。

 最終章の第7章、p.279の、第2パラグラフの8行目途中から。

 

 

 

 

 

このような境界線には、次のことを理解することも含まれます。(1)セラピストの役割と、セラピーの場面以外には、セラピストはクライアントと関わることはできないこと、(2)面接の頻度と期間と、治療機関、(3)危機管理に関するガイドラインで、予定されている面接に必要なもの、です。このような境界線を守ることは、クライアントにとって見通しのある環境になりますし、この見通しのある環境こそが、安心感と信頼感を育む上で欠かせません。安心感と信頼感のある環境を創り出すことが、特に大事になるのは、それまで繰り返しトラウマを負わされ続けて来たクライアントは、自分の暮らしの中でも、人との関係の中でも、見通しのある、という経験を滅多にしたことがないからです。

 

 

 

 

 

 発達トラウマ障害(DTD)のセラピーで最初にすることは、ですから、見通しのある環境を整えることです。それができれば、ラニウス教授らが指摘するように、安心感と信頼感を、発達トラウマ障害(DTD)の子どもでも育むことができます

 

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