エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

抜け穴と青空

2016-08-03 07:08:23 | 聖書の言葉から

 

 

 
「自分の孤独を確立する」って?
  昨晩、須賀敦子さんの「ダヴィデに」を取り上げた時に、須賀敦子さんが「自分の孤独を確立しないかぎり、人生は始まらない」と記していることを引用しましたでしょ。 ......
 

 今朝は、鶴見俊輔さんの言葉から。『教育再定義の試み』(岩波現代文庫)より。

 

 

 

 

 

芹沢俊介の書くように、学校は、戦中から戦後へとファシズムを温存するトンネルの役割を果たした。途中数か月、トンネルがきれて青空のもとに教室がおかれたことがあったが。

 

 

 

 

 

 これは、おそらく、無着成恭さんと同じ思いです。青空教室は、もちろん掛詞。

 私どもは、もう一度青空を取り戻さなくてはなりません。

 

 

 

 

 

 

 


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

察し合う関係 大事にし合う関係

2016-08-03 06:58:45 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す

 

 

 
人間は、的外れであると同時に、価値ある存在
  根源的信頼感は、春先に春を待つ気持ちに近い。 Young Man Luther 『青年ルター』p216の第2パラグラフから。     自我が超自......
 

 

 Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self   consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、脳科学、治療』の翻訳。 発達トラウマ障害(DTD)のセラピーでも、徹頭徹尾、子ども中心です。子どもの信頼を育むことが中心です。

 最終章の第7章、p.279の、下から6行目途中から。

 

 

 

 

 

 

クライアントで治療にまだ早い人がいましたら、そのクライアントと治療の心構えができたかどうか話し合い続けることが大事なことが分かりますし、また、その心構えができたら、いつでも、治療したいと思っていいんだよ、とクライアントを励ますことは、とても大事です。多くのクライアントが、言うに言われぬ苦難や苦労をガマンしてきたとも言わないで、このやり取りが進むんですね。クライアントの勇気と不屈な思いは、最初の面接からずっと大事にすべきです。

 

 

 

 

 エリクソンではないですが、ずっと握っていたい気持ちを解き放って、相手ゆとり、クライアントの自由を大事にして行く…。

 日本人でなくても、察すること、察しあう関係、ということがあんですね。この、ラニウス教授らの文章は、クライアントとセラピストとの関係で、無言のやり取りの中で、クライアントが大事にされる関係がはっきり示されていますからね。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

子ども達を安心させたかったなら

2016-08-03 06:20:40 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 
いつでも叡智に希望をもつこと vs 「正しいこと」の押し付け 改訂版
  自己嫌悪のある人は、そもそも「自分そのものが上下2つに分裂している」ので、すぐに「人間を上下2つに分けるウソ」の毒牙にやられやすいんですね。 The life cy......
 

 発達トラウマ障害DTD愛着障害の子ども心拍などの身体のリズムが触れ合いなどを通して母親から赤ちゃんに伝わることが、心ばかりではなくて、脳の生成においても大事な働きをする、というのは驚きですね。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第6章、本のタイトルにもなっている「犬として育てられた少年」のp.143、最後のパラグラフから。

 

 

 

 

 

 赤ちゃんがお腹を空かせたり、泣いたりする時、ストレスホルモンのレベルは上昇します。でも、もし母親か父親が、必ずミルクを上げている場合は、ストレスホルモンのレベルはすぐに下がりますし、ストレスホルモンのレベルが、徐々に、日々の決まった日常のお陰で、パターン化されて繰り返されるようになります。それにもかかわらず、時には、その赤ちゃんが悲しくなって、泣く事もありますよ。お腹が空いたわけでなし、お尻が濡れたわけでなし。ガマンでない身体の痛みがあるでなし。それでもその赤ちゃんは、癒しがたいように見えるでしょう。こんな時には、親であれば、その子を、優しく抱いてあげたり、あやしてあげたりします。それは、ほとんど本能的に、リズムのある動きや気持ちが籠ったタッチをして、その子を落ち着かせます。面白いことに、人が自分の赤ちゃんを揺らす時の間合いは、一分間に80回くらいですが、これは、平常時の大人の心拍と同じです。これよりも速ければ、その赤ちゃんは、その動きは景気づけだと思うでしょうね。これよりも遅ければ、その赤ちゃんは、泣き止まないものです。自分の子ども達を安心させたかったら、私どもは子ども等を、人生一の時計の鼓動に、連れ戻すことです

 

 

 

 

 ブルース・ペリー教授のこの件は、まるで詩です。

 子ども等を安心されたいと思ったら、

 子どもを人生で一番大事な、すなわち、人生一の時計に戻すこと。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

発達トラウマ障害(DTD)治療の地道な宣伝

2016-08-03 05:16:19 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
「自分の孤独を確立する」って?
  昨晩、須賀敦子さんの「ダヴィデに」を取り上げた時に、須賀敦子さんが「自分の孤独を確立しないかぎり、人生は始まらない」と記していることを引用しましたでしょ。 ......
 

 

 発達トラウマ障害(DTD)の子ども公衆衛生上でも、社会福祉の上でも、学校教育の上でも、最大の問題だ、と考えますが、ニッポンでは、まだ、発達トラウマ障害(DTD)の存在すら認識されていないのが、悲しき現状です。残念です。

 アメリカでは、150以上の発達トラウマ障害(DTD)治療のための、トラウマセンターが出来ています。日本では、まだまだです。

 The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.353の、第4パラグラフから。

 

 

 

 

 

 トラウマセンターは、NCTSN(国立子どもトラウマ・ストレス・ネットワーク)にいくつかある治療・発達・評価部門の1つです。同僚のジョー・スピナゾラ、マーガレット・ブルースタインと私は、(訳注:発達トラウマ障害(DTD)の)子どもと青年向けの包括的なプログラムをいろいろと開発してきました。その様々なプログラムは、ハートフォード、シカゴ、ヒューストン、サンフランシスコ、アンカレジ、ロサンジェルス、ニューヨークのトラウマに精通した仲間達の助けを借りて、実施しています。私どものチームでは、全米の特定の地域を2年毎に選び出して、活発で、開放的で、人々から一目置かれている組織を特定するために、地元との関わりを大事にしています。こういった地域ごとの関わりが、結局は、(訳注:発達トラウマ障害(DTD)の)治療を宣伝する新たな拠点として、役立ちます。たとえば、私は2年間、モンタナ州ミズーラの仲間達と協同して、地元の人々の文化を大事にするトラウマプログラムを、ブラックフート先住民居留地で、開発したことがあります。

 

 

 

 

 

 「地球規模で考えて、地元で活動する」という言葉があります。ヴァン・デ・コーク教授等のトラウマセンターの働きは、正にこの言葉を地で生くやり方だと言えます。特に、2年毎に1つの地域の良心的な組織と深く関わり、そこで優れた発達トラウマ障害(DTD)治療を実践することで、その地域の人々の、発達トラウマ障害(DTD)治療に対する信頼を勝ち得ていくやり方をしていると言いますね。このように地道な働きが、結局は、発達トラウマ障害(DTD)治療の恰好の宣伝になる、という訳です。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする