ユタになる運命は生まれたときから定まっていると
信じている沖縄の人々は少なくないと
桜井徳太郎は述べているが
彼が面接したユタもまた例外なく
ユタになるのは宿命であったと答えている
宿命であると考える理由を問うと
サーダカンマリであると言う
「性高い生まれ」と訳される資質は
神霊・死霊・精霊の霊界と交渉を持ち
巫女として超自然的超越者の意志を聞くことができる
聖職者となるために備え持つ基本的資質であり
不可欠な要件である
サーダカンマリの素質は神に選ばれた者ののみに
与えられるとユタは信じているが
選ばれているユタは最初から思っているわけではなく
巫事(ユタグトゥ)を積み重ねるうち次第に形成されている
沖縄では幻覚症状を伴った無意識行動を取ることを
ターリィと言い、その内容が神事
つまり神々に関係がある場合にカミダーリィと言う
しかし夢遊病者的行動に出るのは
神の導きによって生起すると見られるので
ターリィ全般をカミダーリィと言うことが多い
このカミダーリィは
精神病者である狂人(フリムン)
物狂い(フリトゥーン)
狂暴(フラーグァ)とは区別される