都江堰(日本語読みで”とこうえん”)は今から2000年以上前に造られた水利施設です。
ダムではない方法によって水運を妨げずに水量調整できることが特徴です。
岷江は最後に長江(揚子江)へ合流する全長700kmを越える大河です。
都江堰は、岷江が平野部へ流れ出る扇状地の扇頂部に建造されています。
昔はこの辺りから下流にかけて氾濫による水害が多発する場所でした。
今でも現役で治水や水運と農地の灌漑に活躍しています。
2008年の四川大地震でも被害は少しの損壊だけでした。
Wikipediaに分かりやすい都江堰の構造の説明と図がありましたので転載します。
中央の中州(4)が人工の堤防で、先端の「魚嘴」(2)で川を左右に分水する。
左(3)が岷江本流、右(5)が灌江であり、「飛沙堰」(6)で土砂を灌江から排出し、
「宝瓶口」(8)から灌江の水を右下の農業用水へと導く。
出展:Wikipedia
人工で造られた中州が金剛堤、ここへ渡る吊り橋が安瀾橋です。
安瀾橋が最初に架けられたのは宋代、現在の橋は清代に再建されたもの元に修復したものです。
魚嘴は岷江の流れを適切に本流と灌江に分ける役目を持っています。
位置は過去の洪水や地震で変動してきたそうです。
現在の位置は1936年の改修工事によるもので建設当初より下流にあります。
飛沙堰は灌江側から岷江の本流へ土砂や余分な水を戻す役目です。
増水しても灌江が氾濫しないように、灌江側の水流が岷江本流へ戻る設計になっています。
宝瓶口は灌漑や水運に使われる蒲陽河の入り口、導水路です。
飛沙堰と同じように水量を調節する機能も持っています。
宝瓶口の導水路によって元の山から切り離された右の部分は離堆と呼ばれます。
離堆には都江堰の建設を推進した蜀の郡守、李冰を祀る伏龍観があります。
断崖を切り抜いた狭い水路を流れ出る水の勢いは結構すごいです。
宝瓶口から少し下流にある南橋の下を流れる蒲陽河を見るとちょっと怖くなるぐらい。。
二王廟には都江堰の建設を推進、完成させた、李冰と息子の李二郎が祀られています。
四川大地震の際にお寺の多くの建物が倒壊しましたが現在は復元されています。
二王廟のある山に登ると都江堰の全体像を見ることができます。
天気が良ければ。。ですけどね。
都江堰は成都市から西北に50kmほど離れた場所にあります。
建設工事中には諸葛孔明も視察に訪れたといわれています。
2000年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。
また、都江堰のある都江堰市はもともと灌県という地名でしたが、
世界遺産登録に因んで改名されました。
都江堰の周囲には公園なども造られており一帯が観光景区になっています。
中国国内では有名な観光地で多くの人が訪れます。
また、景区の外にも食事の店や土産物屋などが並ぶ古い町並みの通りがあります。
事前にしっかり予習してから行けばよかったかなぁと反省しています。
魚嘴や飛沙堰の役割や都江堰の設計思想をもう少し理解してから見学すれば、
天気が悪くてももっと楽しめたと思います。
今回は旅が終わってから、撮った写真とネットの情報を見比べながら勉強しました。