G214(西景線)は青海省を起点にチベット自治区、雲南省を通る全長3296kmの国道で、
雲南省内ではシャングリラのある迪慶蔵族自治州と麗江や大理白族自治州などを結ぶ主要幹線道路です。
現代の茶馬古道といったところでしょうか。
この国道はチベット族、ナシ族、白族など雲南の少数民族の暮らす村を繋いでいます。
道沿いには、世界自然遺産の三江併流地域や哈巴雪山もあります。
麗江市の郊外には、長江源流のひとつ金沙江が流れており、長江第一湾、虎跳峡などの観光名所があります。
中国の大河、長江上流の金沙江と東南アジアの大河、メコン川上流の瀾滄江とサルウィン川上流の怒江が、
狭い範囲で合流することなく並行して流れていることから三江併流と呼ばれています。
3つの大河の中で、金沙江だけが麗江近郊で約100度と大きく湾曲して四川省方向に向かいます。
この湾曲した部分は長江第一湾と呼ばれています。
もしここで金沙江が曲がっていなければ、他の川と同じように東南アジア方向に流れており、
中国文明や歴史は大きく変わっていたと考えられます。
G214沿いからでは曲がっているのがよく分かりません。。山の上にはよく見える場所があります。
金沙江流域の多くは深い谷の中を流れているのですが、麗江近郊は川幅が広く流れも緩やかになります。
このためこの辺りは昔から戦いの要衝になっており、ここで川を渡って諸葛孔明が四川から雲南へ侵攻したり、
フビライハンがモンゴルから攻め込んだりという歴史があります。
麗江からシャングリラへ向かう途中、虎跳峡付近でG214は金沙江を渡ります。
橋を渡ると迪慶蔵族自治州、もうシャングリラ地域です。
橋を越えて迪慶蔵族自治州に入ってもすぐにすべてがチベット族の集落に変わる訳ではなく、
ナシ族や白族の村々もあります。
また、この辺りにはまだ所々に農作物を育てている畑も見えます。
G214と現在建設中の香麗高速道路は大部分で並走してしていますが、
トンネルがないG214は途中で山越えのために大きく迂回します。
すでに標高は3000mを越えています。
山道の途中にある哈彝雪山(哈巴雪山)観景台では真っ黒に日焼けしたチベット族のおじさんが、
車が来ると記念撮影用のヤクとスタンバイして待っています。
天気の良い日はもっと綺麗に哈巴雪山が見えるはずです。
山の中のトイレはすべて有料です。
トイレは扉のないオープンタイプでしたが珍しく?中は綺麗に掃除されていました。
売店ではいろいろ売っていますが買ってもよいのは果物だけ、それ以外はちょっと。。だそうです。
山道を抜けると景色は変わって広い放牧地とチベット族の村になります。
チベット族の家の屋根には必ず旗が数本立っています。
この旗の色によって、来客中であるとか妊婦がいるなどなどをお知らせします。
道沿いのあちらこちらにはタルチョや仏舎利塔が見えます。
夏になると牧草の緑が多くなりもっと景色も鮮やかになると思います。
巨大な仏舎利塔、香格里拉塔中塔が見えるとシャングリラ市街地へ到着です。
ここが街の玄関口になります。
一番北で標高も高いシャングリラ、順に麗江、大理と南に行くにつれ標高も低くなります。
大理白族自治州ではシャングリラと違って緑豊かな田園風景が広がっています。
車で数時間走るだけで景色も食事の彩りもずいぶん変わります。
洱海という大きな湖がある大理は大昔から豊かな街でした。
現在は大理や麗江からシャングリラに向かうにはG214(西景線)を通りますが、
香麗高速が開通すると、この道を通る車は激減するのではと思います。
高速道路を通れば移動時間は今の半分ほどに短縮されるので、観光バスなどは高速道路を利用するはずです。
途中の売店や休憩所などはそのうちなくなってしまうのかもしれません。
大理についてはまた後ほど写真の整理ができてから記事にしようと思います。