・『無法松の一生』 (1958年・東宝)
映画よりも、村田英雄の歌で有名ですが、三船敏郎主演のこの映画を前から観たいと思っておりました。
明治から、大正にかけて、人力車夫の三船敏郎と、軍人の夫を亡くした未亡人高峰秀子との恋(恋と言って良いかどうか)を描いています。戦前に坂東妻三郎主演で映画化されていますね。
ハッキリ言って、少々物足りなかったです。松五郎の未亡人に対する思慕の情の伝え方が、やや弱いような感じですね。悪い映画ではありませんが・・・。
・『さびしんぼう』(1985年・東宝)
大林宣彦監督の、《尾道三部作》 の最後の作品です。これが一番完成度が高いと言うか、私は3本とも過去に観てますが、一番好きな作品ですね。
主演の富田靖子は、当時も高校生だったと思いますが、輝くばかりに美しい。尾美としのりも、まだ無名時代に、大林の『転校生』に主演してから、大林作品に多く出演しています。ちなみに私は今まで、『転校生』のタイトルは、『転向性』だと思っていました。(絶対こっちの方が、作品の内容に合致してますよね)
人は人を恋うる時、人は誰でも「さびしんぼう」 になる。
大林自身が考えたフレーズだそうですが、素敵です。
富田靖子の際立った美しさと、尾美としのりの決して二枚目ではないが、無理のない演技が好感が持てます。
又隠れた主役は、尾美としのりの母親役の藤田弓子でしょうね。言い過ぎかも知れませんが、映画の美しさとともに、年月が経つ残酷さも表現されていると思います。
富田靖子も40代の半ばに差し掛かりました。この年代の女優では、石田ゆり子とともに、私の好きな女優です。女優として難しい年になって来ましたが、もっと頑張って欲しいなぁ・・・。