雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

新・本と映像の森 183 鶴彬さんの川柳

2018年09月27日 16時21分05秒 | 本と映像の森


新・本と映像の森 183 鶴彬さんの川柳

 川柳(せんりゅう)というモノは、ボクには刺激が強すぎてかなぜか、あまり好きではありません。

 でも鶴彬(つるあきら)さんの川柳はなぜかフィットすることが多いのです。感性は戦後のものと思います。宮沢賢治さんと、似ている感じもします。

 以下は、作品のほんの一部です。


  ヘーゲルの弁証法を
  逆さにして
  網窓の春!秋!

  地下にくぐって
  春へ、春への
  導火線となろう

  工場へ!学校へ!
  わかれて行けといふ
  道よ!

  高梁コーリャンの
  実りへ
  戦車と靴の鋲

  目かくしされて
  地下にくぐって
  踏みにじられた芝よ

  フジヤマと
  サクラの国の
  失業者

  飢饉とは知らず
  胎内の闇に
  生まれる日を待ってゐる

  暁を
  いだいて闇に
  ゐる蕾

  赫灼の
  火となる
  ときを待つ鉄よ

  太陽に飢えて
  つるはし
  闇を掘りつづける


 鶴彬さんは1909年に石川県に生まれました。1931年に金沢第七聯隊第九中隊でプロレタリア新聞「無産青年」配布で検挙され、治安維持法違反として懲役を受けました。

 1933年12月に刑を終えて除隊。1935年上京します。

 1938年、川柳が治安維持法違反とされ検挙。中野区野方署で赤痢にかかり病死しました。

 「青空文庫」では「鶴彬全詩」「鶴彬全川柳」「鶴彬全評論」の3つを現在、作業中だそうです。期待します。