雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

新・本と映像の森 215 宮部みゆき『泣き童子(わらし) ー 三島屋変調百物語参之続 ー』角川文庫、2016年

2018年12月03日 09時43分09秒 | 本と映像の森

 

新・本と映像の森 215 宮部みゆき『泣き童子(わらし) ー 三島屋変調百物語参之続 ー』角川文庫、2016年

 角川書店、475ページ、定価本体760円、2011~2012年連載

 江戸時代の神田三島町の袋物三島屋に働くおちかは、主人伊兵衛の姪で、川崎宿の実家・旅籠<丸千>から訳あって出てきた。

 女中のおしま・お勝に混じって、奥さんのお民、番頭の八十介、小僧の新太といっしょに働いて1年になる。

 伊兵衛は「変調百物語」の聞き手を心が破れているおちかにまかせるようになる。

 「その不可思議な話は、おちかを魅了した。語った客も、語ったことで、あたかも見えない重荷をおろしたように、なにがしかの安らぎを得たようだった。その安らぎの温(ぬく)もりが、おちかの心にも小さな灯りをともした。」(p13)

 「怪異を聞くということは、語りを通してこの世の闇に触れることだ。闇のなかには何が潜んでいるかわからない。そのわからなさまでをもまとめて聞き取って、胸に収めてゆく覚悟がなければ、この聞き手は勤まらない。
 語って語り捨て、聞いて聞き捨てる。」(p15)

 とても興味深くて、ボクは宮部みゆきさんの他の小説も読んでみたくなった。

 これは3冊目。現在は第1期が5冊まで出て了。目次は以下の通り。

 第一話 魂取(たまどり)の池
 第二話 くりから御殿
 第三話 泣き童子
 第四話 小雪舞う日の怪談語り
 第五話 まぐる笛
 第六話 節気顔(せっきがん)