ことばと詩 31 かわぐちかいじ『沈黙の艦隊 1』講談社、1989年 20200504
モーニングKC、226ページ、定価500円。
SFなのか空想マンガではあるがリアル戦争マンガです。でも、航行している反乱原潜ヤマトをアメリカ軍が1発の巡航ミサイルトマホークで撃沈しちゃわないのが「空想」といえば「空想」です。
それとやたら人物の顔がでかいのがボクの感性には合わない。
それはともかく、もう1人の主人公・潜水艦「たつなみ」艦長深町洋(ふかまちひろし)二等海佐はたつなみの水測室で聞く。
「俺が確認したわけじゃない。
潜水艦乗りが信用するのは何だ」
渡瀬三等海佐は答える
「自分の眼と耳と勘……だけであります!」(p24)
もう1つの場面。
潜水艦隊司令長官・田所進海将補は聞く。
「知ってどうする?」
深町は答える。
「オン・ステージにある艦の任務の第一は状況の正確な把握だと思っとります!」
(p57)
そういう意味では『沈黙の艦隊』のなかのアメリカ海軍の艦船は強大な武力をもちながら「状況の正確な把握」ができず命令まちの情けない状況に陥っている。