雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

新・本と映像の森 337 小島信一『万葉集 運命の歌』新人物往来社、1979年

2020年07月06日 19時29分35秒 | 本と映像の森


新・本と映像の森 337 小島信一『万葉集 運命の歌』新人物往来社、1979年

 359ページ、定価1300円。

 『万葉集』の「現代詩訳」というか「現代語自由律5行詩訳」とでもいおうか。『万葉集』のうち数百首を現代語訳している。

ボクはこの詩情がすごく好きです。ボクの「詩的メッセージ」がもしかしたら似ているかも知れない。

 たとえば額田王の有名なうたがこうなる。


   征旅

  だれよ月を叩くのは
  あれ月じゃないドラだよ
  さよならはたっぷりいった
  帆は予感にふくらみ
  汐あいはいま 熟した
    (p348)

 あと、いくつかあげておこう。


  君がゆく 道のながてを 繰りたたね 焼きほろぼさむ 天の火もがも
3724

    炎  茅上娘子(ちがみのおとめ)

  焼くのよ
  あなたがたどる旅路を
  はしからはしまで
  もし神さまが あたしに
  火をくださったら
     (p216)


 海の底 沖をふかめて あが思へる 君にはあはぬ 年はへぬとも
                676

      中臣女郎(なかとみのいらつめ)

  私の心はしずんでいる
  遠い沖 海の底に
  うきは海面にただよわせ
  錘(おもり)は深くおろしている
  あのひとの心に


 だから『現代語訳 ○○○』は『○○○』とは違う、異質のものだと思います。でも、ボクは小島信一『万葉集 運命の歌』が元の『万葉集』と同じくらいに好きなのです。



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