古代史の本 森浩一さん著『古代史津々浦々』小学館、1993年
浜松市立中央図書館で借りて読んで、良かったので、本屋さんに注文して買いました。十年前の本ですが、古びていません。
森さんの名言「考古学とは、地域に勇気を与える学問である」が「はじめに」に掲載されています。ぼくの古代探求もそうありたいと思います。
目次を掲載した方が明快なので、以下、目次です。
北海道の古代史、日本海文化の再発見、越の世界と豪族、私の見る東国の古代文化、考古学からみた河内平野の古代、四万十川の古代文化、吉野ヶ里遺跡が語る古代九州、南九州の古代文化、南と北からの移住(一 近畿地方の隼人、二 西日本に拡がる「エミシ」勢力)、考古学用語と地域名
すべて紹介することはできないので、数例だけ紹介すると、『魏志倭人伝』の時代、魏の農作物は粟や麦で、米・稲作は魏と対立する孫氏の呉の国の農作物だったという指摘、そして北海道は粟や麦の国だったという指摘、非常に新鮮です。
北海道から海を越えて、北アジアとの交易・つながりも指摘されています。
あるいは、『魏志倭人伝』で描かれていて、どの土地か明確な国は、すべて北九州で、しかも縄文時代に鹿児島県の海上の「鬼界カルデラ」の6300年前の破局噴火「アカホヤ火山灰」が降らなかった地域だという指摘も新鮮です。
あるいは、継体天皇の父親の古墳と推定されている滋賀県高島町の鴨稲荷山古墳から新羅の国王的な、金銅の冠や金銅の儀式用の沓が出土している指摘。
歴史学・古代学・考古学って、新鮮な目で検討し直すと、ほんとうに、推理小説のようにおもしろいです。