雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

新・本と映像の森 154 永田萌『てのひらの虹 ー とても私的ないわさきちひろ論 ー』大和書店、1993年

2018年07月11日 14時30分12秒 | 本と映像の森


新・本と映像の森 154 永田萌『てのひらの虹 ー とても私的ないわさきちひろ論 ー』大和書店、1993年

 251ページ、定価1600円(本体1553円)

 ちひろさんについいて語りたいことはいろいろあるが、まずこの本から。

 著者は、言わずと知れた、ボクも好きなイラストレーター。ちひろさんと似た女性かも知れない。そんな永田萌さんがちろさんの生きた跡を辿る。

 それぞれの実像がおもしろい。

 夫の松本善明さんや、息子の松本猛さん。画家や編集者たち。それぞれ面白い。

 たとえば猛さんは言う。
「おやじの両親と同居したのは、おふくろが44歳のとき。おやじが衆議院に初当選したときは48歳。おふくろの母親、つまり岩崎のおばあちゃんが脳血栓で倒れたのが50歳。後で車椅子の生活をするようになったので、やっぱりこちらもひきとったのが51歳」

 「10人近い人間がひとつ屋根の下にいたわけです。」

 「それに、ぼくは二浪してましたからね」(p102)

 葉祥明さんは言う。
 「ちひろさんの絵の最大の魅力は、あの自由自在に使えるえんぴつの線の美しさだね。」(p171)

 萌さんは言う。
 「ちひろさんの白は、紙の白よりも白く見えるし、バックに濃い色をつけてまっ白に抜いたものより、白い清潔な輝きと気品がある。」(p189)

 萌さんは、『あかまんまとうげ』の「かくちゃん」、『ひさの星』の「ひさ」、『ゆきのひのたんじょうび』の「ちいちゃん」を「ちひろさんの描く三大美少女と呼んでいる。」(p1832)

 などと書いていると延々、終わらないので、この程度でひとまず終えることにする。

 ボクは思う。ちひろさんの「外側の無限の優しさ」と「内側の無限のきびしさ」は、どうやって育ったものだろうか。

 ボクの家のなかに、たぶん数十冊のちひろさんの本がある。それらを辿り直す余裕があるだろうか。

 


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