雨宮智彦哲学経済学メモリー 29 20200405 本と映像の森 26 川端裕人さん著『算数宇宙の冒険 アリスメトリック!』実業之日本社、2009年 20100403
「2010年04月03日 23時21分16秒 | 本と映像の森
本と映像の森26 川端裕人さん著『算数宇宙の冒険 アリスメトリック!』実業之日本社、2009年11月25日初版、定価1500円+
昨年12月頃かな、高林のイケヤ書店に寄ってぶらぶら「本見」をしていたら、この本の表紙が「私を読んで!私はあなたが読む意味のある本ですよ!」と言っていたので、つい,手にとって買いました。
「算数宇宙」と書いてありますが「数学宇宙」です。
物語が始まるのは、東京23区の端の「都心の田舎」,桃山町です。
主人公の語り手は、小学6年生の千葉空良(そら)で、数学よりも数学によって成り立つ音楽が好きで,歌がすてきな男の子。
空良の幼なじみの数学好きの女の子、河邑ユーキ、バイオリンを習っている男の子紺野アラン、そして転校生の女の子那由(なゆ)、この4人が桃山町から始まって、数学宇宙に入り込み、この宇宙を成り立たせている数を守るために奮闘します。
那由が空良にいいます。
「宇宙は数で出来ている。数をめぐる真理は、どこにいっても真理。きっとあなたはそう思っている」「地球上でもアンドロメダ星雲の中でも1+1=2。素数のうちの最初の5つは、2、3、5、7、11。あなたはそう思っている。」(p92)
那由の連れてきたウサギ「うさよし」が語ります。
「宇宙と宇宙の戦争なの。より正確にいうと、別の数的実在同士の存亡をかけた戦い。」
(p94)
むずかしい公式もありますが、空良が言われるように数式を眺めて,イメージとして鑑賞するのも、入り口としてはいいのです。
副題の「アリスメトリック!」は、もちろん「不思議の国のアリス」の少女アリスのイメージです。
「数学の国のアリスたち」、アリスはもちろんユーキさんです。アリス役ののユーキさんの彼氏として空良くん、不思議な科学少年アランくん、そして謎の転校生少女・那由さん。
やはり19世紀ではアリスの単独行動なんですが、20世紀末では「集団主人公」あるいは「主人公たち」でないと、小説が成り立たない時代ではないでしょうか。
英語では「数論」は「arithmetoric(アリスメトリック)」、不思議の国のアリスは「Alice」で、英語ではスペルも発音も違いますが、日本語のカタカナにすると同じになるので、だじゃれ的にはすてきですね、いいですよ。
「算数宇宙の冒険」の話なのに、算数や数学の話がまったく出てこない書評でごめんなさい。
最終の到達点は「リーマン予想」ですが、ゼータ関数や量子カオス、ハミルトニアン行列などなど、雨宮ももっと数学を学習したいなと、おもしろく読めた小説です。」
「2010年04月03日 23時21分16秒 | 本と映像の森
本と映像の森26 川端裕人さん著『算数宇宙の冒険 アリスメトリック!』実業之日本社、2009年11月25日初版、定価1500円+
昨年12月頃かな、高林のイケヤ書店に寄ってぶらぶら「本見」をしていたら、この本の表紙が「私を読んで!私はあなたが読む意味のある本ですよ!」と言っていたので、つい,手にとって買いました。
「算数宇宙」と書いてありますが「数学宇宙」です。
物語が始まるのは、東京23区の端の「都心の田舎」,桃山町です。
主人公の語り手は、小学6年生の千葉空良(そら)で、数学よりも数学によって成り立つ音楽が好きで,歌がすてきな男の子。
空良の幼なじみの数学好きの女の子、河邑ユーキ、バイオリンを習っている男の子紺野アラン、そして転校生の女の子那由(なゆ)、この4人が桃山町から始まって、数学宇宙に入り込み、この宇宙を成り立たせている数を守るために奮闘します。
那由が空良にいいます。
「宇宙は数で出来ている。数をめぐる真理は、どこにいっても真理。きっとあなたはそう思っている」「地球上でもアンドロメダ星雲の中でも1+1=2。素数のうちの最初の5つは、2、3、5、7、11。あなたはそう思っている。」(p92)
那由の連れてきたウサギ「うさよし」が語ります。
「宇宙と宇宙の戦争なの。より正確にいうと、別の数的実在同士の存亡をかけた戦い。」
(p94)
むずかしい公式もありますが、空良が言われるように数式を眺めて,イメージとして鑑賞するのも、入り口としてはいいのです。
副題の「アリスメトリック!」は、もちろん「不思議の国のアリス」の少女アリスのイメージです。
「数学の国のアリスたち」、アリスはもちろんユーキさんです。アリス役ののユーキさんの彼氏として空良くん、不思議な科学少年アランくん、そして謎の転校生少女・那由さん。
やはり19世紀ではアリスの単独行動なんですが、20世紀末では「集団主人公」あるいは「主人公たち」でないと、小説が成り立たない時代ではないでしょうか。
英語では「数論」は「arithmetoric(アリスメトリック)」、不思議の国のアリスは「Alice」で、英語ではスペルも発音も違いますが、日本語のカタカナにすると同じになるので、だじゃれ的にはすてきですね、いいですよ。
「算数宇宙の冒険」の話なのに、算数や数学の話がまったく出てこない書評でごめんなさい。
最終の到達点は「リーマン予想」ですが、ゼータ関数や量子カオス、ハミルトニアン行列などなど、雨宮ももっと数学を学習したいなと、おもしろく読めた小説です。」