過去現在未来のメモリーノート 85 「銀河鉄道」の「車室」とは? 20200701
今日から7月。宮沢賢治さんの「銀河鉄道の夜」は「ケンタウル祭」の夜のおはなしです。たぶん「七夕」の夜のおはなし。
ますむらひろしさんのマンガ「銀河鉄道の夜」は『赤旗日曜版』で連載されているが、いまジョバンニが銀河鉄道に乗ったところ。
そのシーンでますむらひろしさんは、列車のなかの席を通勤電車風の橫1列に描いている。
ボクは銀河鉄道の中は1つの車両のなかを4人がけの車室に分けられていると思っていたので、あれ?と思った。
宮沢賢治さんの「銀河鉄道の夜」は第4次原稿まである。第4次原稿の「六 銀河ステーション」のところから引用しよう。
「ほんとうにジョバンニは、夜の軽便鉄道の、小さな黄いろの電燈のならんだ車室に、窓の外を見ながら座っていたのです。車室の中は、青いびろうどを張った腰掛けが、まるでがら明きで……すぐ前の席に、ぬれたようにまっ黒な上着を着た、せいの高い子供が、窓から頭を出して外を見てゐるのに気が付きました。」
≪ 鎌田東二『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読』<岩波現代文庫>、岩波書店、2001年、p182~183より ≫
「軽便鉄道」というと通勤席だけしかないようにも思えますが、ジョバンニとカンパネルラとの関係性からいって、互いに正面を向いて座っているほうが2人の心にふさわしいと思うのですが。
それに通勤席では、外の風景はふつうでは向こうの窓に見えて、後ろの窓を見るには振り向かないといけない。
まあ、ますむらさんはいろいろ考えてこうしたんだろうから、ボクも固執はしません。静かに見守りましょう。