雲は完璧な姿だと思う。。

いつの日か、愛する誰かが「アイツはこんな事考えて生きていたのか、、」と見つけてもらえたら。そんな思いで書き記してます。

ギザギザ

2020-07-25 00:12:34 | 初めに、タイトルの話
「メジャー・デビュー盤のジャケットって、
何かイメージある?」



と、僕は、
向かい合って座っている14歳の少女に話しかけました。
いわゆる、レコード会社による、
レコード会社らしいビルの、
暖炉のあるロビー!に、
置かれている大きなソファーでの会話.......
だったような覚えがあります。
僕の横には美人デザイナーのちーさん
14歳の少女詩人「螢(ほたる)」の横には、
彼女の敏腕女性マネージャーさん。

今回のお話は、
このブログのスタートから見てくれている皆さんとの約束の記事。
ブログが一年経つ毎にマイルストーン的に記してみます、と、
話してきているもの。
このブログのタイトルの元となった、
「当時」14歳だった少女詩人「螢(ほたる)」
にまつわるエトセトラの話となります......



「うーんと、ね、、」

「お!?(゚ω゚)なにかある?」

「ギザギザしてるの」

「ギザギザ?」

「そう。ギザギザしていて、トゲトゲしてる」

「?」

「でもね、マルイの。
ギザギザ、トゲトゲした、丸いモノ。
それを持って写真を撮りたい」

「ほーーーー。。。
そーーーでっか。。。。。。
どーうお?
ちーさん?」

「わかるわ。それ」

「わかっちゃうの!?それで!?(@ 。 @)?」



その後、螢の話を聞いていると、その
「ギザギザして、トゲトゲした、丸いもの」
というのは、その時の彼女の心を表したようなモノであるらしく。
彼女の心は、どーも、そんなふうになっているらしいのです。



「ギザギザなの。でも丸いよ」



螢は大きな丸い目で、真剣に、そう言っていました。



「トゲトゲは時々血が出るの。
だからそれも必要」



そうも言っていました。



この言葉を受けたデザイナーのちーさんは、
その後すぐ、僕を連れて、東京、渋谷の東急ハンズに出かけていき。
いろいろな工作用具と用品とを一式買い揃えました。
僕の頭には依然

「?」

マークが洋服のタグのようにひらひらとそよいでいたのですが、
そんなこともお構いなしに、ちーさんは、
その買い揃えたモノモノ一式をオフィスの大部屋に持ち込み、
大きなテーブルの上に並べ。
ナニやらイソイソと作り始めました。
僕は彼女のアシスタントワークをしながら、
だんだんと姿を表してくる、そのヘンテコなものを見ていると、
それはバレーボールぐらいの球体で。
凸凹としたイビツな輪郭を持ったモノ。
素材は太めの、鈍い銀色をした針金(ハリガネ)で出来ています。
針金をぐるぐると円形に整形していき。
ボールの形になったところで、
部分部分に別で用意していた「有刺鉄線」を巻きつけていきました。
最後の仕上げには、
濃い茶色のスプレーラッカーを吹き付けていきます。

さすが、ちーさん。

彼女は美大出身のグラフィックデザイナー。
こんなこともお手のもの。
想像力も創造力も、螢に負けず劣らず......いや、それ以上!?か。
螢がポソッ......っと放った一言から、
ここまで作り上げるとは......流石!
としか言えません。

グネグネと歪んだ、
ダークブラウンの、
ギザギザとした、
トゲトゲとした、
硬い針金と有刺鉄線で出来たボール。
ココロ?......なのか.......



螢はこの出来上がったハリガネ・ボールを見ると、
ナニやらとても嬉しそうに笑いました。
この「ギザトゲ・ハリガネボール」を胸に抱いて、
外で写真が撮りたいと、
スタジオの中は嫌だ、と、
そう言いました。
僕らはいくつかの場所をロケして、
最終的に決め込んだ撮影場所は、
富士山の裾野にある、とある牧場の隅っこ。
出来上がったジャケットは、こんな感じ。
メジャーデビューシングルのタイトルも「ハリガネ」で決定。



この時は、
このギザギザのハリガネボールは、
どうも、
僕の中にもあるように思えていて。
これを即座に作り上げたちーさんも、
もしかして?
同じだったのではないのか?と。
だから彼女は、
すぐに理解できたのではないか?と。

僕らは時折、
こんなトゲトゲとした心を抱えて。
持て余して。
そうして暮らしていて。

自分も、
触れる人も、
傷つけて。

でも、
どうにもならなくて。

そんな心も、

流れゆく月日や経験や、

時折触れる優しさに、

丸く、

ピカピカに磨かれていくようでもあって。

螢の、

このギザギザ、トゲトゲのハリガネの心は、

2年後ぐらいには、

キラキラと輝く玉になっていた、ような......

気もしています(^^)



「ハリガネ/螢」。1999年の作品。
以前の記事でもリンクしていたと思いますが、
あらためて置いておきます。



☆「初めに、タイトルの話」カテゴリー記事リンク☆
雲と螢
雲と螢 2
雲と螢 3
おちあがるように
平原の丘
少女の手
Klimt,Schiele,Hotaru
厳しいトコロだった
無駄な人数
みんな...
マイルストーン


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (まる)
2020-07-27 03:34:32
今年もマイルストーンありがとうございます。
ハリガネのボールはジャケットを見た時から気になっていて、私も同じようなものが欲しいと思って似たようなものを探していたんですが結局見つからず。デザイナーさんのハンドメイドのものだったんですね。
記事を読ませていただいて、私も丸くトゲトゲな思いを感じていて、それを具現化したようなハリガネのボールが欲しかったのだと感じました。
有刺鉄線をグルグル巻いた物を作ったこともあるのですが、かなりの重量になってしまったんですよね(涙)半分は針金にすれば良かったんですね。参考になりました。
返信する
まるさんへ。 (amenouzmet)
2020-07-27 09:45:36
こちらこそ、ありがとうございます。
ボールを作る際は、手を傷つけないように気をつけて下さいねー。
僕はあちこち刺さって血だらけになりました(T . T)
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Unknown (april)
2020-08-05 04:46:08
今年も素敵なマイルストーンありがとうございました。
1年が早いですね。
ちーさんのセンス凄い。。素晴らしいクリエイターさんに囲まれ螢さんも想像してた以上の物を残せたのではないかと思いました。確か歌詞カードに足の爪から血が出ている写真があったと思うのですが、あれも何とも言えないセンスを感じました。私はマーブルビニールのジャケットが一番好きです。amenouzmetさんも螢さんもそしてちーさんも。コロナ禍で大変ですがどうか元気で過ごしていらっしゃることを祈っています。
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aprilさんへ。 (amenouzmet)
2020-08-05 06:29:24
チーさんは凄いっす。
螢の一番の理解者だったと思います。
皆元気に過ごしていると思われまするよー(^ν^)
返信する
Unknown (mama)
2020-09-07 00:16:30
今年もマイルストーンありがとうございます。
前回こちらにコメントさせていただいたのはどうやら2014年でした。
一年一年が早いですね。

ハリガネ、今でも大切に持っております。聴いております。

amenouzmetさまも、螢さんも、お元気でいらっしゃいますように。
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mamaさんへ。 (amenouzmet)
2020-09-07 00:37:36
ありがとうございます。
mamaさんも、お元気でいらっしゃいますように☆
返信する
Unknown (蓮華)
2020-09-16 18:15:26
マイルストーンありがとうございます。
毎年の楽しみにしています。
私はメジャーから退いた後のインディーズでの
「黒ひつじ白ひつじ」の頃のデザインが好きでしたねー
メジャーの時はトゲが立ち過ぎてて。

今はどんな深く青い色になっているのでしょうかね
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蓮華さんへ。 (amenouzmet)
2020-09-16 18:44:56
どんな色でしょーかねー(^^)
毎年ありがとうございます。
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Unknown (ミカ)
2020-09-30 03:30:22
あの物体のエピソードが、まさかまさか、今知れるなんて...ものすごくうれしいです。
当時、同じようなものが欲しくて雑貨屋さんで探しましたが見つからず...「ちーさん」さんが螢の言葉から汲み取って生み出したモノだったのですね!
アートワークも細部に至るまで妥協せず蔑ろにせず、螢が スタッフの皆さんが、大切に表現を追求してくださったから、素晴らしい完成度の いつ見てもいつまでも人の心に刺さる作品となったのですね。

こんなご時世ですが、今年も大変貴重なエピソードを記してくださり、変わらぬ優しさをありがとうございます。
返信する
ミカさんへ。 (amenouzmet )
2020-09-30 10:21:08
なんだか、とても嬉しいコメントです。
ありがとうございます。
泣けちゃいます。。(T . T)ホロリ
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