「見ました?
感想とか聞きたいのですけどーー(^^)」
というメールやLINEがアチコチから届いておりまして。
Eriさんとか、udokさんとか、miwanさんだとか、
プリリンねーさんだとか。
あの人や、この人などからも。
聞けば、どーも、
今話題のスタジオジブリの最新アニメーション映画
「君たちはどう生きるか」
に関してのことだそうで。
ええ。ええ。
宮崎駿監督の最新作。
公開されるやいなやカンカンガクガク、賛否両論。
既に膨大な数の評論や議論が巻き起こっているそうです。
相変わらずスゴイっすのぉぉ......(*´ー`*)
勿論、
僕さんもファンとしてしっかりと見させていただきましたが。
やはり、
モネの絵画のように美しい駿さんの作品はとても好きだなぁ、と。
心からそう思います。(^ω^)
それでもって、感想!?
などと聞かれてしまうと、
まぁ、このブログの映画関連記事に関しては、
常にネタバレなど無いように気をつけて書いても来ましたので、
その美学に沿って記すことにもなりますが......
「感想や評価などがあまり意味をなさない作品」
なのかな、と。
「そう作られている」
のかな、と。
そうも思いました。
例えば一つの料理があって。
それがカレーとかであれば、どんな味で、
辛いのか甘いのか。
どこどこと比べてあーで、こーで。
インド系か欧風系か。
はたまたスパイス系か小麦粉家庭系なのか、とか。
進化系で新ジャンルなのだ、とか。
様々な評論や感想は他者にはとても参考になりますし、
意味も価値もあって、役立つとも思います。
しかし、
コース料理の様に一つのテーブルに沢山の料理が一度に並べ出されて。
そこにはカレーの皿があって、パスタの皿もあって。
サラダもあって、パンも数種類置いてあって。
肉料理や魚料理も美味しそうなものが一皿づつ置かれていたり。
となると、
その料理一品一品に対しての評価だけになると、
全体評価に関しては不足が生じるかもしれません。
今回の作品はそんなふうにテーブルに沢山の品が並んでいて、
その品々は物語の「柱」とも呼べるものだと思うのですが......
宮崎監督の「過去作品のベスト盤的な柱」でしょうか。
生きることすら厳しかった戦時中の描写とか、
アチラ世界とコチラ世界とか。
コチラとアチラでは強者と弱者が反対になるのだ、とか。
魂の存在とか。
輪廻転生の不思議とか。
この世に生まれ出るだけでも大変なことなのだよー、とか。
DNAの螺旋構造とか。
このキャラはアノ作品のアノキャラのイメージじゃね?とか。
この部分はあの作品のオマージュじゃね?とか。
主人公は駿さん自身で、
アオサギは鈴木敏夫さんじゃね?とか。
鳥って神様じゃね?とか。
そんなふうに、
わかりやすく置かれた柱の上には「何か」が組み上がっていて。
その組み上がっている「何か」や「全体」がどんなものなのか?
は見る人それぞれに
「ゆだねる作り」
となっている作品のように思えました。
となると、今作で重要なのは全体としてどう見るか。
なぜこの皿の料理やメニューになっているのか。
なぜこの料理達が選ばれているのか。
俯瞰して、
全体を眺めて、
その構造から全体の意図を読み解く。
そんな感想や評価ならかろうじて意味が持てるのかも?
しれないのかな、と。
そして、そんなことこそが、
この作品のタイトルとなっていて、
テーマとなっているようにも思えました。
そういう意味では、
駿さん渾身のメッセージ作なのかもしれないな、と。
それぞれが、
それぞれの思いや感覚で全体の意味や意図を考えてみよう。
モノゴトを真剣に考えていこう。
その行為や行動は生きるということでもあるし、
そんなことを、この作品に対してだけでなく、
社会に対しても、
人生においても、
諦めずに皆で頑張っていかないといけない。
この映画の様に明確な答えなど無いかもしれないけど、
自分が暮らす世界が少しでも良くなるように頑張っていこう。
一人一人の考えと生き方がこの世界を創っていくのだから。
......僕はそんなメッセージを勝手に感じながら
この映画を見ていました。(^^)
言わずと知れた吉野源三郎さんの名著作
「君たちはどう生きるか」
当然ですが、
この本と合わせて味わいと理解を深めていく映画ではないかと。
そして、個人的にはもう一つ。
物語中、重要な舞台となっていた建物が、
僕には「ボーリンゲンの塔」のように見えていました。
駿さんのボーリンゲンの塔。
「ボーリンゲンの塔」とは上の写真にあるもので。
心理学界の巨星「ユング」さんが晩年に1人で
長い年月をかけて建てていた石造りの家のこと。
スイスのボーリンゲンという所にあるのでそう呼ばれています。
別の言い方をすれば、
「集合的無意識の塔」
とでも言えますでしょうか。
今も残るユングさんの最後の作品といえるものでもあり、
世界から隔絶された私的な癒やしの場所であり、
避難場所であり、
心の拠り所であり、
自分の内面世界を表現した建物と言っても良いかもしれません。
ユングさんにとってはとても大切なものだったのだと思います。
以下には、そんなユングさんの本から抜粋した言葉などを。
ええ。ええ。(^^)
=============================
塔は、最初から私にとって成熟の場所となった。
子宮、あるいは、その中で私が再び、ありのままの現在、過去、
未来の自分になれる母の姿だったのである
=============================
=============================
ボーリンゲンでは、
私はありのままの本来の自分に帰っている。
=============================
=============================
1950年に、
私は塔が私にとってなにを意味しているのか表わすために、
石で記念碑のようなものを作った。
(中略)
最初に心に浮かんできたのは、
ヴィルヌヴのアルノーという錬金術師の書いたラテン語の詩で、
私はこの詩を石に彫った。
それは、翻訳すると
「ここに、みすぼらしい、不恰好な石が立っている。
それは、金にしても安いものだ。
その石は愚者に軽蔑されればされるほど、
ますます賢者に愛される」
=============================
=============================
人間の原始的な感情に対応するような住処であり、
物理的な意味でだけでなく、心理的な意味でも
庇護されているような感じがするものでなければならなかった。
=============================
この塔の入口と、それと、
ユングさんの自宅玄関と墓石にも刻まれているラテン語があります。
「Vocatus atque non vocatus deus aderit」
英語では
「Called or not called, the god will be there」
日本語では......
=============================
呼ばれようと、呼ばれまいと、神は存在する。
=============================
☆関連過去記事はコチラ☆
「我想う、帰り道」
「マーニー」
「IBARA」
「Shima Blue」
「風の谷」
「諏訪徒然 3」
「三鷹徒然」
「マジックを 2」
「三峯徒然」
「風立ちぬ」
「アテルイ 2」
「日傘をさす女性と宮崎駿」
感想とか聞きたいのですけどーー(^^)」
というメールやLINEがアチコチから届いておりまして。
Eriさんとか、udokさんとか、miwanさんだとか、
プリリンねーさんだとか。
あの人や、この人などからも。
聞けば、どーも、
今話題のスタジオジブリの最新アニメーション映画
「君たちはどう生きるか」
に関してのことだそうで。
ええ。ええ。
宮崎駿監督の最新作。
公開されるやいなやカンカンガクガク、賛否両論。
既に膨大な数の評論や議論が巻き起こっているそうです。
相変わらずスゴイっすのぉぉ......(*´ー`*)
勿論、
僕さんもファンとしてしっかりと見させていただきましたが。
やはり、
モネの絵画のように美しい駿さんの作品はとても好きだなぁ、と。
心からそう思います。(^ω^)
それでもって、感想!?
などと聞かれてしまうと、
まぁ、このブログの映画関連記事に関しては、
常にネタバレなど無いように気をつけて書いても来ましたので、
その美学に沿って記すことにもなりますが......
「感想や評価などがあまり意味をなさない作品」
なのかな、と。
「そう作られている」
のかな、と。
そうも思いました。
例えば一つの料理があって。
それがカレーとかであれば、どんな味で、
辛いのか甘いのか。
どこどこと比べてあーで、こーで。
インド系か欧風系か。
はたまたスパイス系か小麦粉家庭系なのか、とか。
進化系で新ジャンルなのだ、とか。
様々な評論や感想は他者にはとても参考になりますし、
意味も価値もあって、役立つとも思います。
しかし、
コース料理の様に一つのテーブルに沢山の料理が一度に並べ出されて。
そこにはカレーの皿があって、パスタの皿もあって。
サラダもあって、パンも数種類置いてあって。
肉料理や魚料理も美味しそうなものが一皿づつ置かれていたり。
となると、
その料理一品一品に対しての評価だけになると、
全体評価に関しては不足が生じるかもしれません。
今回の作品はそんなふうにテーブルに沢山の品が並んでいて、
その品々は物語の「柱」とも呼べるものだと思うのですが......
宮崎監督の「過去作品のベスト盤的な柱」でしょうか。
生きることすら厳しかった戦時中の描写とか、
アチラ世界とコチラ世界とか。
コチラとアチラでは強者と弱者が反対になるのだ、とか。
魂の存在とか。
輪廻転生の不思議とか。
この世に生まれ出るだけでも大変なことなのだよー、とか。
DNAの螺旋構造とか。
このキャラはアノ作品のアノキャラのイメージじゃね?とか。
この部分はあの作品のオマージュじゃね?とか。
主人公は駿さん自身で、
アオサギは鈴木敏夫さんじゃね?とか。
鳥って神様じゃね?とか。
そんなふうに、
わかりやすく置かれた柱の上には「何か」が組み上がっていて。
その組み上がっている「何か」や「全体」がどんなものなのか?
は見る人それぞれに
「ゆだねる作り」
となっている作品のように思えました。
となると、今作で重要なのは全体としてどう見るか。
なぜこの皿の料理やメニューになっているのか。
なぜこの料理達が選ばれているのか。
俯瞰して、
全体を眺めて、
その構造から全体の意図を読み解く。
そんな感想や評価ならかろうじて意味が持てるのかも?
しれないのかな、と。
そして、そんなことこそが、
この作品のタイトルとなっていて、
テーマとなっているようにも思えました。
そういう意味では、
駿さん渾身のメッセージ作なのかもしれないな、と。
それぞれが、
それぞれの思いや感覚で全体の意味や意図を考えてみよう。
モノゴトを真剣に考えていこう。
その行為や行動は生きるということでもあるし、
そんなことを、この作品に対してだけでなく、
社会に対しても、
人生においても、
諦めずに皆で頑張っていかないといけない。
この映画の様に明確な答えなど無いかもしれないけど、
自分が暮らす世界が少しでも良くなるように頑張っていこう。
一人一人の考えと生き方がこの世界を創っていくのだから。
......僕はそんなメッセージを勝手に感じながら
この映画を見ていました。(^^)
言わずと知れた吉野源三郎さんの名著作
「君たちはどう生きるか」
当然ですが、
この本と合わせて味わいと理解を深めていく映画ではないかと。
そして、個人的にはもう一つ。
物語中、重要な舞台となっていた建物が、
僕には「ボーリンゲンの塔」のように見えていました。
駿さんのボーリンゲンの塔。
「ボーリンゲンの塔」とは上の写真にあるもので。
心理学界の巨星「ユング」さんが晩年に1人で
長い年月をかけて建てていた石造りの家のこと。
スイスのボーリンゲンという所にあるのでそう呼ばれています。
別の言い方をすれば、
「集合的無意識の塔」
とでも言えますでしょうか。
今も残るユングさんの最後の作品といえるものでもあり、
世界から隔絶された私的な癒やしの場所であり、
避難場所であり、
心の拠り所であり、
自分の内面世界を表現した建物と言っても良いかもしれません。
ユングさんにとってはとても大切なものだったのだと思います。
以下には、そんなユングさんの本から抜粋した言葉などを。
ええ。ええ。(^^)
=============================
塔は、最初から私にとって成熟の場所となった。
子宮、あるいは、その中で私が再び、ありのままの現在、過去、
未来の自分になれる母の姿だったのである
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=============================
ボーリンゲンでは、
私はありのままの本来の自分に帰っている。
=============================
=============================
1950年に、
私は塔が私にとってなにを意味しているのか表わすために、
石で記念碑のようなものを作った。
(中略)
最初に心に浮かんできたのは、
ヴィルヌヴのアルノーという錬金術師の書いたラテン語の詩で、
私はこの詩を石に彫った。
それは、翻訳すると
「ここに、みすぼらしい、不恰好な石が立っている。
それは、金にしても安いものだ。
その石は愚者に軽蔑されればされるほど、
ますます賢者に愛される」
=============================
=============================
人間の原始的な感情に対応するような住処であり、
物理的な意味でだけでなく、心理的な意味でも
庇護されているような感じがするものでなければならなかった。
=============================
この塔の入口と、それと、
ユングさんの自宅玄関と墓石にも刻まれているラテン語があります。
「Vocatus atque non vocatus deus aderit」
英語では
「Called or not called, the god will be there」
日本語では......
=============================
呼ばれようと、呼ばれまいと、神は存在する。
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☆関連過去記事はコチラ☆
「我想う、帰り道」
「マーニー」
「IBARA」
「Shima Blue」
「風の谷」
「諏訪徒然 3」
「三鷹徒然」
「マジックを 2」
「三峯徒然」
「風立ちぬ」
「アテルイ 2」
「日傘をさす女性と宮崎駿」
前から気になっていたものの同タイトルの本も未読で、事前情報もなにも知らず、まっさらな気持ちでひとり観賞しました。
感じ方は人それぞれでしょうけど、今の私にとってはたまらなく心の琴線と涙腺がふるえる映画でした。
個人的には、エンドロールのあと、珠玉の名曲「糸」のラストフレーズが思い浮かんで…。
こちらの記事も含めて、すべてのめぐりあわせに感謝です。
あちこちに散りばめられている過去作品のオマージュに気づいたときは嬉しくて、ボーリンゲンの塔は初めて知りましたが「なるほどなぁ…!」とuzmetさんの博識さと表現力に感嘆するばかりです^^
映画館で映画を見るのは良いものですよねぇ(^^)