こんばんは
今、帰ってきました。
今日も昨日の続きのような大荒れで、医師・看護師ともにバタバタしておりました。
0時には出勤してくる深夜勤務の看護師が帰ったのは20時すぎ。
「帰るより、このまま泊まった方が良くない?」
という話をしたりしておりました。
昨日挿管した人は、呼吸状態も改善。改善したのを機にCTをとったところ以前にあった病変も改善し、どうにかなるだろうと考えております。
まぁ、急変しても助かる可能性が低かったら挿管しないと思いますが・・・・。完治しない腫瘍を抱えている患者に対して…ですけど。
もちろん、家族の希望が強ければべつですけど・・・・ね。
結局昨日挿管した患者さんは、そういう理由で個室をでて他の病棟の2人部屋へ・・・。個室に別の急変中の患者さんを移動させて対応中です。
その他にもいろいろありまして、現在に至っております。
さて、救急搬送の話題が朝日新聞に出ておりましたので紹介します。
9病院に断られ1時間20分後に搬送 奈良で発作の男性
2009年11月17日3時31分 http://www.asahi.com/health/news/OSK200911160100.html
奈良県生駒市で7日、自宅で低血糖発作を起こした男性(69)が県内や大阪の9病院に搬送を断られ、通報から約1時間20分後に大阪府の民間病院に運ばれたことがわかった。男性は今も治療中。同市では3月と10月にも患者が6~7病院に搬送を断られ、その後死亡しており、県地域医療連携課は「根本的な救急受け入れ態勢を整備する必要がある」と話している。
市消防本部などによると、7日午後11時45分ごろ、男性の家族から119番通報があった。救急車は6分後に到着。救急隊員は脳卒中の疑いもあるとみて、2次救急の当番病院や県内、大阪府の病院などに照会したが、「処置中」などの理由で断られた。10回目の照会で大阪府大東市の民間病院に搬送が決まり、8日午前1時6分に収容された。
奈良県は5月、消防が受け入れ病院を検索するシステムに、従来の診察科別のほか「心筋梗塞(こうそく)」「脳卒中」など症状別の可否情報を加えた。市消防本部は今回、「脳卒中」を受け入れ可とした県内2病院に照会したが、いずれも「処置中」で断られたという。(東裕二)
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救急搬送に関しては本当に難しいところだと思います。
僕はまた今週の3連休ど真ん中で当直をするのですが、自分たちでどこまで対応できるかというのは患者さんの予後に影響します。
うちの大学も基本的には各科当直は「かかりつけ」の対応を行っています。それぞれの当直が専門性を生かして連携したりはしますが、基本的に「各科」対応です。
先日、救命・社会復帰できてはいるのですが・・・こんな患者さんがいました。
ふたを開けたら急性腹症・・・という患者。緊急手術が必要な状態で、ショックになっていました。僕は病院を離れる当直の先生の代わりにバックアップでこの時当直に入ったのですが・・・いろいろ大変な状態でした。
患者さんが手術が必要だとわかったとき・・・・当大学はすでに外科、麻酔科が別の緊急手術に入ってしまって対応できないということで、他大学へショックの治療を行いながら搬送したという。
僕は当直が帰ってくるまで当直代理をしながら待っていました。
もっとも、そこで「DNR」と言って術後に逆搬送されてきて、全身状態がすこぶる悪い状況から後輩がきめ細やかな管理を行ってレスキューしたわけですが・・・(うちの診療科全員が「DNR」と書いて送ってきた病院に元気な姿を見せてやれ…と言っていましたw)。
とりあえず「緊急手術」ができなかったら死亡していたわけです。
緊急手術ができない=受け入れ不能です。
今回のケースは下血=消化器内科…での連携のはずが、救急隊からの情報が急性腹症(腹膜炎)の可能性を全く除外するような情報だったということだったわけですが・・・それによって対応に遅れが出たということですけど・・・・(時々、受け入れが悪いと救急隊の方が必要な情報を言わなかったりします。僕も何回も騙されて、入院ベッドがない状況で患者さんの対応をしなくてはならなくなったことがあります)。
脳梗塞かもしれない…と言われたら、その対応ができない施設が「受け入れ不能」というのは理解可能です。そしてその風潮を作ってしまったのは間違いなくマスコミではあると思います。
http://blog.with2.net/link.php?602868
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善意で動いて患者に不利益があれば、どれだけ力を尽くしてもたたかれる。それが先日までのマスコミですから。
大学病院ならこの「連携」がまだあるわけですが、病院当直が一人ですべての患者に対応する場合、いろいろ受け入れ困難なこともあります。
そういった、様々な理由が受け入れ困難・・・な状況を作っているのだろうと思います。
因みに同じころ、こんな記事も出ていますが・・・・これは一部意味がわかりません。
透析患者、7病院が搬送断る 奈良、3日後に死亡
2009年11月13日
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200911130003.html?ref=recc
奈良県生駒市で10月24日、意識が低下した腎臓病の人工透析患者の男性(83)が、県内や大阪の7病院・医療施設に計8回受け入れを断られ、通報から約1時間45分後に大阪府の病院に搬送されていたことがわかった。男性は3日後に肝臓がんで死亡した。同県では救急患者の搬送不能問題が相次いでおり、県地域医療連携課は「今回のケースを調査し、対応を検討したい」としている。
生駒市消防本部などによると、男性は同市在住。24日午後4時半ごろ、家族から「発熱があり、体が震えている」と119番通報があった。3分後に救急車が到着。男性が診察を受けたことのある同市内の病院をはじめ、2次救急の当番病院や県立病院、大阪市内の病院などに照会したが、男性が透析患者だったため、「専門医がいない」「専門外」との理由で断られた。
9回目の照会で受け入れ先となった大阪府大東市の民間病院に午後6時15分ごろ到着したが、27日、持病の肝臓がんで死亡したという。
奈良県では06年8月、入院中に意識不明になった妊婦が同県や大阪府の19病院に受け入れを断られ、8日後に死亡。07年8月にも下腹部の痛みを訴えた妊婦が、11病院に断られて死産した。今年3月には意識を失った男性が6病院に断られ、約1時間半後に大阪府の病院で死亡した。(東裕二)
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持病の肝臓がんで死亡したというのは今回の搬送と何か関係があったのかは、まったくもって意味がわかりません。
ただ、唯一わかるのは「長期の入院」になることを念頭に「うちで受け入れても透析ができないからこの患者さんは死んでしまう。だから透析ができる病院で診てもらうしかない」という判断で、各病院が断ったのだろうということ。

逆に透析が翌日にはできるようになるのであれば断る理由がないと思う。
入院=長期的な管理が必要…ということになるため、大学病院などでなくては受け入れは難しいかもしれません。
それでは、また。