新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

電子タバコと禁煙:うちはみんな上手くいってますけどね(笑

2017-12-17 16:00:39 | 医療

こんにちは

 

今日はブログ用記事の作成(説明シリーズ)を作ったり、EZR(フリーの統計ソフト:自治医大血液内科教授の神田先生が作られた)をMACにダウンロードして、少し解析をしていました。

 

解析していたのは少人数ながら禁煙外来で禁煙の成功失敗に関連する因子がありそうだなと思ったので、ちょっと調べてみただけです。

 

有意差がついたのは「家族に喫煙者がいる」「2回目の受診時の呼気一酸化炭素濃度が>10ppm」でした。まぁ、家でタバコを奥さんが吸っていたら、なかなかやめられないよね・・・。

 

ちなみにICOSだと呼気一酸化炭素濃度が上がらないのですが(その他、タバコで白血球が増えていた人は、ICOSに変えたら正常範囲に下がりました)、ニコチン依存から脱却するわけではないですよね。

 

ということで、こちらの記事です。朝日新聞です。

 

電子たばこで禁煙「成功率低い」 国立がん研究センター

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171217-00000006-asahi-soci

12/17(日) 8:13配信

 

 「電子たばこ」を使って、紙巻きたばこの禁煙に取り組んだ人は、電子たばこを使わなかった人に比べて禁煙成功率が低い――。国立がん研究センターによるネット調査でこんな結果が明らかになった。担当者は「禁煙目的で売られているものもあるが、その手段として推奨すべきではない」と指摘する。

(以下略)


そもそも電子タバコも喫煙だよね・・・(汗

 

電子タバコも紙巻きタバコほどではないとするものの、健康の害は報告されています

呼吸器学会の声明(http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/photos/hikanetsu_kenkai.pdf)

 

 

ただ、電子タバコに変えた方は健康上の理由など、何か理由があって変更されたと思います(少なくとも紙タバコをやめようと思った)。「これで禁煙」と思わなければ、タバコをそのままスパスパ吸っている方よりも良いような気がします。少しでも周りに害が少ないもの、自分に害が少ないものと思って紙から変えられたと思いますので。そういう意味では素晴らしいと思います。

ただし、電子タバコに変えたことで満足してはダメだと思います。もうワンステップを進める気力があれば、禁煙できるのではないかなと。電子タバコが禁煙でないということを認識できれば(笑

 

ちなみに僕の禁煙外来でICOSなどを使っている患者さんの禁煙成功率は今のところ100%です。期間が短いので1年後はどうなっているかはわかりませんが(笑

 

職場の人に鍋会に呼ばれているので、今から出発します。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また。

 

P.S  今日は宇宙への旅立ちの日ですね。半年間頑張ってきてほしいです。

宇宙への出発がおよそ5時間後に迫った、日本人宇宙飛行士の金井宣茂さん(41)が17日午前、滞在先を出発し、激励の声援に笑顔で応じた。
(以下略)

P.S2
 
コメントをいただきましたが、電子タバコと加熱式タバコを区別できておりませんでした。
電子タバコはニコチンが入っていないのですね。
 
そんなものを吸ってどうするのかと・・・少し思ってしまいましたが、ニコチン依存ではなくて、雰囲気依存なんでしょうか・・・?
 
コメントいただきまして、ありがとうございます
 

コメント (4)
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僕の骨髄異形成症候群/骨髄増殖性腫瘍の説明(患者さん向け)

2017-12-17 15:39:30 | 患者さん用(説明の仕方シリーズ2017年版)

骨髄異形成症候群/骨髄増殖性腫瘍(MDS/MPN)は骨髄異形成症候群の特徴である「異形成」を持った細胞が増えるという特徴と、骨髄増殖性腫瘍の特徴である「血球増加」の2つを特徴とした病気です。急性骨髄性白血病に進行することもあります。

 

 

ここでは10万人あたり0.3人とされる慢性骨髄単球性白血病(CMML)を例にとり、説明をさせていただきます。ちなみにBCR-ABL陰性非定型慢性骨髄性白血病(aCML)とかは100万人あたり0.1名なので滅多にお会いしません(今まで2名くらいです担当したのは・・・)。CMMLは結構詳しいと思います(研究していましたから)。

 

 

それでは、説明の方を書いていきます。


 

Oさんは貧血を主訴に近医を受診され、白血球増加、貧血、血小板減少を認め、血液疾患が疑われて、当科に紹介となりました。

 

血液検査では白血球は32000/µl、ヘモグロビン(Hb)は6.5 g/dl、血小板は7万/µlとなっています。白血球の中身を調べてみますと、芽球と呼ばれる未熟な細胞は認めませんが、単球が45%と上昇しており、好中球が50%、リンパ球が5%となっていました。LDHは250 IU/Lと軽度上昇しておりますが、他の血液検査では大きな異常はありません。

 

今回は輸血のために、一度入院していただき、骨髄の検査も行いました。骨髄検査の詳細はまだ出てきませんが、少なくとも急性白血病の基準を満たすような芽球の増加は認めません。また、形態学的に異常のある(異形成あり)血液細胞を認めています。

 

今の時点ではBCR-ABLがまだわかっていませんので、絶対ではないのですが慢性骨髄単球性白血病の可能性が最も高いです。

 

慢性骨髄単球性白血病は単球の増加(1000/µl以上)と異形成を特徴とした疾患です。症状としては貧血による症状や血小板減少による出血のほか、発熱や激しい寝汗、体重減少、全身倦怠感など様々な症状を認めます。

 

この病気を完治させるには骨髄移植のほかないのですが、Oさんは70歳になりますので、骨髄移植はリスクが高いと思います(将来的にはどうなるかわかりません。70歳以上でも骨髄移植を実施する施設が出てきていますので)。

 

今の状況だとアザシチジンという骨髄異形成症候群の治療で使う薬を使用するか、血球が増えてきたときにハイドロキシウレアなどで血球コントロール(現時点ではハイドロキシウレアが血球コントロールには一番良さそう)を行うなどになります。

また、現在行なっているように状況に合わせて輸血をしたり、抗菌薬治療を行ったりします。

 

Oさん:今、最も良い治療法はどれでしょうか?

 

この病気は数が少なく、タイプが色々分かれているため、明らかにこれが良いという指標はありません。先ほど申し上げたような治療が既存の薬では候補になりますが、今の段階であればアザシチジンを使用してみたいと思っています。

 

Oさん:宜しく御願い致します

 


 

こんな感じでしょうか。

 

慢性骨髄単球性白血病は不均一な腫瘍です。今でも標準治療といって良いものはありませんが、骨髄移植ができるならば実施します。

 

診断は急性白血病ではなく、異形成が1つはあり、特徴的な遺伝子異常がある疾患群(CMLやそのほかの遺伝子異常)を否定しますが、CMMLの表現型でBCR-ABLが検出されたこともありますので、きちんと確認は必要だと思います。

 

治療選択は難しい病気だと思いますが、将来的にはリゴサチブ(RAS阻害薬)なども加わってくると思います。

 

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