新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

がんのオーダーメイド治療:まだまだ始まったばかりですが、未来への第一歩でしょうか

2017-12-30 07:30:59 | 医療

もう一つオマケの予約投稿です。

 

この記事を見て、「オーダーメイド治療が進むと、医師の負担はどうなるのだろうか?」と思いました。個別化が進めば進むほど、覚えるものは増えますしね。それ以上に可能性も考えますが。

 

朝日新聞の記事です。

がん治療、遺伝情報でオーダーメイド 保険適用めざす

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171226-00000004-asahi-soci

12/26(火) 5:00配信

 

 

 日本人の死因1位で、年間新たに約100万人が診断されるがんのオーダーメイド型医療を国が推進している。国立がん研究センター中央病院は来月にも、個人ごとに最適な治療をするため、患者の遺伝情報(ゲノム)を検査する「がんゲノム医療」を先進医療に申請する。認められれば一部で保険がきくようになる。他にも複数の施設が申請を準備中で、国は2019年度中の保険適用をめざしている。


 がん細胞の遺伝子100種以上を網羅的に調べ、どの遺伝子に異常が起きているかを突き止め、変異に応じて薬などを使い分ける方法。個々の患者のがん細胞の特徴に合う抗がん剤を使うことができ、より効果的な治療ができるようになると期待される。検査は数十万円かかり、一部の施設で臨床研究や自由診療で実施されてきた。中央病院は年明けに厚生労働省に申請。同省の有識者会議の了承を得て来年度の早い時期の実施をめざす。第一号となる見込み。

(以下略)


まぁ、いずれはそうなると思っていましたが・・・。

 

患者さんのために、できるだけ最適な医療を行うこと。これについては誰もが「良いことだ」と感じると思います。

今回のように多くの患者さんが集まるのであれば、検査費用も安く抑えることができるようになります(通常、次世代シークエンサーを動かすと1回動かすだけでかなりの費用:数十万円がかかるので、取り扱う患者さんの数が多い方が良いはず)。検査を受ける患者さんが増えれば商業ベースにもなりますし。

 

ただ、その全ての意義を知っておく必要が出て来ますし、複数の遺伝子に異常がある場合にどういう治療が良いのかなど、パターン化するのはこれからの仕事になるでしょう。今回はとりあえず、今わかっている知識で重要とされているものが引っ掛かれば治療を「〇〇」と決めるというようなものです。多くのことを調べれば、それだけ結果に多様性が出るはずなので、今までとは異なる情報も出てくるかもしれません。

 

そういった意味で、いろいろ大変になるとは思います。

今回は治療、特に抗がん剤治療を念頭に置いて、検査から最適な治療という記事になっています。

 

しかし、いろいろなことがわかってくると・・・遺伝子異常から「この腫瘍は進行が遅いので、腫瘍の摘出だけでも大丈夫な可能性が高い」となるかもしれません。

 

色々なことがわかる可能性もありますが、それで全てが説明できるかはわかりません。

 

例えば患者さんの他の遺伝子の一塩基多型(SNP)で抗がん剤の代謝が早いとか遅いとか・・・。メインの遺伝子異常以外の影響もあるかもしれません。個別化というのはなかなか大変だとは思います。

 

それでも、新しい治療戦略、未来の医療に向けた第一歩が踏み出されるわけで、今後どうなっていくのか注目したいと思います。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また。

 

 

コメント
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