こんばんは
今日は午前中、午後と出張医療教育に精を出しておりました。いつも「聴く人にとって意味がある話を」とは思っておりますが、最近話をしている内容は結構うなづいたり、メモを取る人が多くいるので嬉しい限りです。
将来、聞いてくださった方の役に立つのではないかと期待しています。
さて、最初に先ほど中外医学社のホームページに行ったのですが、先日の血液学会で売れた本のランキングに僕の本が入っていました。
1位、2位は木崎先生の編集している本ですし、4位は金倉先生の編集している本ですので、その間に入っているのは嬉しい限りだと思っております。また、現場で立ち読みした先生が買ってくださっているということですので、僕は本当に嬉しいです(中外医学社の売上情報は知らなかったので)。
次にこのブログに来る方の中に「抗がん剤」「化学療法」+「子供」、「妊娠」で検索している方がいるのに気がつきました。色々ご不安があって調べられているのだろうと思いまして、軽く書いてみようと思います。ただ、他に良い記事がいっぱいありますので、そこへのリンクを貼らせていただきますが・・・。
まず、血液疾患には様々な治療がありますが、リンパ腫の標準治療や通常のAMLやALLの治療ではリスクは低いとされています。
しかし、一般的な話ですが、年齢が高くなればなるほど性線機能障害が出る確率は高くなると言われています。
僕は血液疾患では探しきれませんでしたが、乳がんでは「30歳未満では大きな影響は受けない」とされている抗がん剤治療が「40歳以上で治療を受けると90%以上で性線機能不全(閉経)する」という記載があるものもあります。
ですので、確かにいくつかの論文にあるように上記のような治療(骨髄移植を除く)では、若年者での妊孕性の危険は少ないかもしれません。ただ、若くても0にはなりませんし、年齢が上がれば上がるほどリスクは上がると思います。
僕の担当した患者さんでは20代の女性は抗がん剤治療中に妊娠してしまい、堕ろすかどうかの相談をされたことがあります。「一般的に抗がん剤治療中は胎児異常の可能性があるので、妊娠を回避すべきというものがあります」と、お伝えしたところ諦められたということがありました。
(国立がんセンターの一般向け情報ページにも記載があります)
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/attention/chemotherapy/side_effect/sexual_dysfunction.html
もちろん、妊娠後半に見つかる場合は胎児への影響は少ないと思うのですけど(やりようはある)、器官形成期などに抗がん剤に暴露されているのは、胎児のリスクが低いとは言えないのです。
逆にリスクが少ないとも言われているAMLの治療でも、40歳くらいの女性では「性線機能障害になる可能性が高く、半分以上と思ってほしい」旨をご説明して治療に入ったことがあります。
ですので、一概には言えないのですが、20代であればリスクは比較的低いかもしれませんし、自然に閉経のリスクが出て来る40歳に近づけば性線機能障害で妊孕性が落ちる危険は高くなると言えると思います。
時間があって(白血病はあまり時間がないですが、リンパ腫などですぐに治療に入らなくても少しタイミングがずらせるタイプ)、妊孕性の相談などをするのであれば、主治医の先生と婦人科の先生によく相談する必要があると思います。
参考資料として
国立がんセンター がん専門相談員向け手引き
http://www.j-sfp.org/ped/dl/teaching_material_20170127.pdf
「小児・若年がん長期生存者に対する妊孕性のエビデンスと生殖医療ネットワーク構築に関する研究班」のPDF
http://www.j-sfp.org/ped/dl/Cancer_treatment_brochure_F.pdf
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
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それでは、また。
