§7[意志の抽象的自由]
Die/abstrakte Freiheit/des Willens besteht also in jener Unbestimmtheit oder Gleichheit des Ich mit sich selbst, worin eine Bestimmung nur ist, insofern er sie zur seinigen macht oder in sich setzt; zugleich aber darin mit sich selbst gleich bleibt und von jeder Bestimmung wieder abstrahieren(※1) kann. — Es können zwar dem Willen/von Außen/mancherlei Reizungen, Beweggründe, Gesetze vorgelegt werden, aber, wenn der Mensch denselben folgt, so geschieht es nur, insofern der Wille selbst sie zu den seinigen macht und sich dazu entschlossen hat. — Dies ist auch der Fall mit den Bestimmungen des niederen Begehrungsvermögens oder dem, was aus den/natürlichen/Trieben und Neigungen herkommt.
七
意志の/抽象的な自由/は、意志の無規定性のうちにあるか、あるいは、「私」の自分自身との相等性のうちにある。意志がある規定を自分自身のものとする限り、あるいは、その規定を自己のうちに設定する限りにおいて、「私」の中には一つの規定のみがある。同時に、しかし、そこでは自分は自身と同じままにとどまっていて、そして、それぞれの規定を再び捨象(抽象)することができる。意志には、/外から/さまざまな刺激や、動機、規則などが与えられることがあるが、しかし、人間はそれらに従うことになるのは、意志それ自体がそれらを自らのものとして決断する限りにおいてである。⎯ このことはまた、人間がより低級な欲求能力に規定される場合も、あるいは/自然の/衝動と性向から生じるものに規定される場合も同じである。
※1
意志の抽象的な自由は、意志が本来的に無規定なものであるとともに、また一つの規定を選択することができるところにある。また、人間の意志は規定することもその規定を捨象することもできる。
精神の「捨象(抽象)するabstrahieren」能力は、すなわち悟性的能力のことであるが ⎯⎯ ヘーゲルはこの能力の意義を高く評価するとともに、その否定的側面の重大性もさまざまに指摘している。そして人間のこの「捨象(抽象)するabstrahieren」能力をもっとも象徴するものは人間の自裁する能力である。人間はその意志の自由において一切を、自分の命さえ捨て去ることができる。