目取真俊の10月1日のブログ「海鳴りの島から」には「沖縄県民が死に物狂いで選挙をたたかい、結果を示しても、民意を踏みにじる安倍政権を支えているのは、大多数の日本人である。玉城さんが当選してよかった、ではない。安倍政権の沖縄に対する強硬策をヤマトゥの人たちは止めないといけない」とあった。同じ日の北上田毅の「チョイさんの沖縄日記」には「政府は以前、翁長知事に対して就任後4ヶ月も安倍首相との面会を拒否し、その後も沖縄県の要請を徹底的に無視するなど、ありとあらゆる嫌がらせを続けた。翁長知事の急逝も、こうした心労と無関係ではない。今回、沖縄県知事選史上最大の圧勝をした玉城新知事に対しても、メンツを潰された安部政権の露骨な報復が始まるだろう。これからは厳しい局面となることが予想されるが、県民が支えるほかない」とあった。
沖縄知事選の翌日の朝日以外の各紙の報道ぶりが気になって近くの図書館に出かけた。読売、産経はやはり政府広報紙の評判通りだった。読売は一面トップに「辺野古反対を継承。政府は承認撤回を無効化のため今月上旬にも訴訟」二面には那覇支局長の署名記事で、「移設問題停滞させるな。軍備拡大を進める中国や、核、ミサイル開発を進めてきた北朝鮮は依然として大きな脅威だ。在沖縄米軍の抑止力を維持することは不可欠といえる」2日の社説で「選挙戦で玉城氏は普天間の危険性除去の必要性も訴えていた。辺野古への移設は、普天間の返還を実現する上で、唯一の現実的な選択肢である。知事の立場は野党議員とは異なる。沖縄の発展に重い責任を負うからには、県民所得の向上や正規雇用の拡大に向けて施策を推進する必要がある。政府との緊密な連携が欠かせない」と主張する。
毎日は選挙結果が朝刊に間に合わなかった。それで2日の一面のノーベル賞記事の隣に、「玉城氏は1日に報道各社のインタビューに応じ、普天間飛行場の計画を巡り、米海兵隊の訓練を海外に移転できれば、普天間飛行場や辺野古移設は不要になると述べ、在沖米海兵隊の運用について米政府と交渉するよう日本政府に求める考えを明らかにした」とある。2日の社説では「民主主義国家では最終的に多数決で政策が決定されるが、議論をしたうえで少数派の意見を可能な限り取り入れることが前提となる。外交安保は政府の専権事項だからといって、圧倒的な多数派の本土側が、少数派の沖縄に不利益を押し付けるのを民主主義とは言わない」とある。
この毎日の社説は1日の産経のつぎの社説を念頭に置いたものだろう。「米軍基地を国内のどこに置くかという判断は国の専権事項である安全保障政策に属する。憲法は地方自治体の長に、安保政策や外交の約束を覆す権限を与えていない。この民主主義の基本を玉城氏は理解して欲しい。中国が狙う尖閣諸島は沖縄の島である。防衛の最前線である沖縄の知事である自覚をもってほしい」と政府広報紙以上の偏りだ。しかし産経のつぎの記事は正直だ。「辺野古の軟弱地盤の改良工事や設計変更について新知事の承認を得なければならない 。防衛省幹部は、これまで知事の承認を得ないで進められるギリギリの工事をしてきたがそれも限界に近づきつつあると述べる」とある。