バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

心理をよみすぎると疲れる

2009-09-29 06:41:57 | バネ
 国語読解問題。一通り文章を読み終えた頃を見計らって、設問解き始める前に「この後どうなると思う?」と切り出そうと思い、読んでる子の様子を伺っていると、いつまでたってもその目は本文あたりをいったりきたりしている。案の定この子もそうだった。設問にあわせて、その箇所を部分読みし解答しながら読み進めている。せっかくの名文だし、ちょっと切ない子どもの気持ちと、大人の事情が交錯する危うい展開にドキドキしながら読むなんてとんでもなく無理なことですね。大人のとまどいを文章で表現するために、姿勢や語気やさらには物音まで加えているが、それを感じ取るだけの自己の共有体験が中学生にはない。では中学生の自分にはあったか。
 あった、と思う。純文学を読むことがステイタスかのように、本を飽きることなく読んでいたから、幾度となく心理描写のシーンに出会い、それが経験となっていると思う。日本映画なんかは心理描写が繊細だから、そういう意味では本読みがどうしてもできないのなら、映画を味わえば経験が広がるかもしれない。
 最後に部屋に飛び込んできた1匹の蛍は、子どもの心にともされた一筋の希望を象徴していることを感じとれるような中学生、どれだけいるのだろうか。登場人物の心理を解説しその後の展開を予想しながらも、いまいち心に届いていないような中学生達の反応に、「うすい!」としか言いようがない。
 しかし、待てよと思う。ここに登場している中学生と思われる子どもは、大人の心理に微妙に鈍感な部分がある。それがこの話を切なくしているが、本来子どもは大人の事情にはある程度鈍感だし、鈍感でいいのかもしれない。そうなると事細かに登場人物、特に大人の心理を探るような設問は少し無理があるのではないか。そう思いいくつか問題集をあたると、やはり子どもの心理を解説させる設問は多いが、大人のそれは少ない。

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