バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

春を待つバン

2014-03-22 09:14:05 | 川上犬
 整形外科の待合室すいている割には,次々と人が入ってくる。皆予約制だし、リハビリの人は2階に上がるから,1階待合室は混み合わないということですね。
 こうした開業医の魅力の一つは待合室の本棚。たいていそこには院長先生とか医院関係者の趣味が現れる。ここはアウトドア雑誌が多いなとか、旅ものが多いなど。そしてここから掘り出し物を見つけることが多い。「こんとあき」「けんぼうは1年生」「つみきの家」等はこうして出会った。
 さてこちらの医院は。できたばかりとはいえ本棚はガランとしている。何も無いに等しい。航空会社の機関誌数冊、地元ミニコミ紙の他は前日の読売新聞と朝日新聞がおかれているだけ。待ち時間に仕方なく読売新聞を手にする。
 投書欄に目を通す。

 その人はこんなことを言っていた。猫(犬だったか)が逝ってしまった。悲しみの日々が過ぎた今は満足感に包まれているというような内容だった。それはペットを家でケアし最期まで看取ることができたから。人の場合は病院にお任せになるからこういう気持ちになれないのではないか。そんなことが書いてあったと記憶する。
 身につまされる。
 もうあれから10年過ぎた。飼い猫が体調を崩し、1月間家族でケアした。毎日病院に通うがジワリジワリと衰えていった。そんな日々、死期を悟ったのだろうか,ある晩最後の力を振り絞るように寝室に入ってきて私たち全員を起こし、そのまま猫は外へ出て行った。月明かりの中に消えていく猫の姿を見送った。
 そして今。ある日突然犬が体調を崩し,危篤状態に陥った。さっきまで元気だったのに。つい数時間前に庭走っていたのに。このまま逝ってしまうなんてとうてい受け入れられない。そうして一晩過ごす。障子越しに朝日が当たると、バンは力を振り絞り立ち上がり外へ出たいという。あの時と一緒。猫の時と。
 テラスの窓を開けるとゆっくり外に出る。立つことすらやっとの状態で,腰がフラフラしている。ゆっくり庭の奥へ奥へと進む。呼んでも反応しない。そしてゆったり座り込んだ。一声吠えようとするが、声が出ない。
 これは受け入れられない。すぐに抱きかかえ家の中に戻した。

 1ヶ月が過ぎた。
 何とか元気にしている。「バンちゃん,いつまでたってもふけないね」とよく言われたけど、今は年相応になったのかもしれない。
 そういえば先日、子犬を散歩していたおじいさんが、「前飼っていた犬は19歳まで生きたよ。野田市最高齢だったよ」と誇らしげに言った。その時は「へー」ぐらいにしか思わなかったけど、今ならわかる。犬が19歳まで生きるにはそれなりの日々があったということを。

 バンは今15歳。


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