春の交通安全運動も日曜日で終了しましたが、気を抜かないように事故と違反には注意してください。最近、1号車に乗っている時間が無いですが、キャブレター内部のガソリンが劣化すると面倒なので、たまにエンジンを掛けています。
某オークションで購入され、納車日にご来店頂き、コンディションレベルチェックパックAでお預かりです。車検証を見ると3年前から継続検査は受けているものの、100km以下の走行距離のため車検証上の距離がそのままです。車検証を見ると国内仕様でしたがメーター文字盤書き換え、キャブレターを逆車用に換装、サイレンサーも逆車用でした。一応、イグナイターを確認すると国内仕様でしたので、リミッターの作動を確認しました。停止状態でエンジン回転数を上げると数秒で6000回転で点火カットが入ります。逆に走行していると6000回転以上で点火カットが入らないのでリミッターは正常作動しているようです。(制限速度内なので、速度上限リミッターは未確認)文字盤書き換えなので、320km/h出すとリミッターが入るはずです。(現実問題出ません)
フロントタイヤは、溝残約2mm、製造年月日2015年17週、リアタイヤは、溝無、製造年月日2012年35週でした。通常、このリアタイヤの状態だと車検は通りませんし、ハンドル振れの原因になります。
キャブレター脱着時にアクセルワイヤーのステーを曲げてしまっています。(修正済)最初、Vブーストが作動しなかったので、コントローラー不良かと思いましたが、カプラーを確認後作動したので、接触不良のようですが、国内仕様の配線にはVブースト関連の配線はないので、後付け配線がちょっと心配です。
エンジンを始動した際、排気漏れがあったので、見てみると、エキパイに小さな穴が開いていますので、割れるのも時間の問題です。
マフラー取付ボルトが一部無いことと、錆で穴が開き始めています。
ハンドルバーですが、少し曲りがあるようです。ハンドルスイッチも国内仕様ですが、現状、フロントポジション、テールランプの配線がおかしいです。ヘッドライトスイッチオフでヘッドライト内のポジション球とテールランプは消灯するはずですが、ヘッドライトのみしか消灯しません。また、パッシングスイッチが作動しません。この年式は、ヘッドライトスイッチは純正装備なので、違反ではないですが、ヘッドライトは純正で暗いままです。
過去にカウル等が付いていたようで、ステーのみ残っています。ウインカーステーが純正ではなく、また、左側は、恐らくSR用です。ラジエターの取り付けですが、右側から押されたようで左にずれています。
各フルードですが、クラッチはマスター交換等の作業が行われたらしく、フルードは比較的新しいです。リアブレーキフルードが一番劣化しています。
パッド残量はありますが、要清掃です。パッド抑え板の向きが3カ所とも反対です。(修正済)
フロントブレーキのタッチが悪く、何度か握らないと効きが悪いですが、おそらくキャリパーが金属疲労でへたっており、ピストンに圧力がかかってもキャリパーボディが緩く、ピストンを押す反力でボディが開ききってからでないとパッドに圧力がかかりづらいからだと思います。
リアですが、アクスルシャフトとサポートの間に入れるワッシャーを間違えてサポートとホイールの間に入れているためキャリパーのセンターがワッシャーの厚み分ずれています。ワッシャーを入れ替えてキャリパーとローターのセンターを修正しましたが、ピストンの動きが悪く引きずりが出たので、少し修正しました。
ヘッドカバーガスケットが前後ダメですので、オイルが漏れています。
クラッチレリーズは、フルードのにじみが出ているようです。
ステーターの配線の持病もありますが、クランクケースカバーの右後ろ周辺オイル漏れ有ります。
プラグキャップは、新車時からの部品のようでゴムキャップ部が溶けています。スパークプラグは、純正のNGK製DPR8EA-9で錆びています。また、納車前に3番のみ新品にしたようです。
エアクリーナーボックスの蓋に配線がつながっていたので、確認するとバッテリーのプラス端子とマイナス端子につながっていました。剥きだしで接触すると危険なので、撤去しました。ヒューズボックスですが、標準のアンペア数以上のヒューズを入れると配線に負担がかかるので、アンペア数は、標準のままの方が安全です。
クーラントですが、リザーブタンクが空で、本体のラジエターキャップを開けてみたら、クーラントがエンジンオイルで乳化したねっとりした液体が入っていました。ひどい状態なので、水回りはオーバーホールと洗浄が必要です。量も減っていたので、一応、水を足しました。
外装を外したところ、各部のボルトが緩んでいました。現在使用していない後付配線も多いようです。
バッテリーを点検し、電圧と容量も、まだ、平気そうです。エンジン始動前と始動後(ヘッドライト消灯時)の電圧です。通常より、電圧の上昇が低いです。
逆車のキャブレターが装着されていますが、パイロットスクリュー部で2番と4番が破損しています。あまり状況が良くないので、キャブレターボディの交換が必要です。
リアサスは、オイル漏れはないようですが、バンプラバーが劣化していてありません。電動ファンスイッチは純正ではないですが、作動はしています。
フロントフォークは、インナーチューブに点錆が出ているので、オイルシールに傷が入る可能性があります。現時点で走行後少しにじみが出るようですが大きな漏れは無いです。ただ、ダストシールがだめで、オイルシール周りも錆びているので、いつまで持つかは不明です。
エアクリーナーは、汚れがあるので、要交換です。ダイヤフラムは回転していないようなので、現状使えそうですが、キャブレター自体が正常作動しているとは言い難いです。
なぜかギアケースの色が違います。また、ギアケースのオイルが漏れていますので、オイルシール破損の可能性があります。
一応、各部点検、増し締め、キャブレター調整後に試乗しました。オーナーからアクセルを開けていれば平気だが、アクセルを戻すと異音が出るとのことでした。試乗中もアクセルを戻すとうなり音がするので、ギアケースの点検が必要です。エンジン回転数と車速をみるとギアケースは、逆車用のようです。
試乗後、クーラントがドレンボルトから垂れてきたので、ドレンボルトを増し締めして止めました。また、問題のギアケースを外してみました。
ギアケースのボルトが破損しています。ここが折れると修理はできないので、ギアケース交換が必要です。試乗中に、クラッチやミッションは問題無かったので、エンジン本体の破損はないようです。エンジンオイルの上りや下がりはなさそうで白煙も無いようです。ただ、状態を戻すには、順番として、ギアケース交換、水回り修理、キャブレター交換、エアクリーナー交換、点火系修理が必要で、タイヤ交換も必要です。その後、フロント周り修理、マフラー交換等も必要になってくると思います。
2018.04.17 作業担当 ヤダ(矢田)